2006年9月4日 ホームページ『「日の丸・君が代の強制」と闘う人たちと勝手に連帯するレジスタンスの会』からの引越し完了しました。
《続・「真説古代史」拾遺篇》(31)

狗奴国の滅亡(12)
崇神記をめぐって(3)
番外編


 『週間金曜日』に「無名人語録」という永六輔さんの連載記事がある。愛読しています。11月18日号に次のくだりがあった。

穂希、夢穂、桂里奈、愛実、亜紗乃、梓、奈穂美、彩、紗希、明日菜、瑠美、梢、優李。

 これ読めるかい。澤穂希を始めとする『なでしこジャパン』の選手だよ。
 これで驚いちゃいけません。代表以外の 選手なんかタイヘン。

海青、望央、麗依、麻理鈴、令渚。

 女房の友達は『子』や『枝』の方が多いし、うちの婆さんの友達になると、クマ、とら、なんてのが残ってるぞ。

 「穂希」は一時マスコミに毎日のように登場していたので「ほまれ」と読むことを知っていた。始めて見たら、まず読めない。こうじゃないかな、となんとか読めるのは愛実(まなみ)、梓(あずさ)、奈穂美(なほみ)、彩(あや)、紗希(さき)、瑠美(るみ)、梢(こずえ)だけ。

 日本語の漢字表記はやっかいである。「音」で読むのか「訓」で読むのか、あるいは重箱読みか。何通りもの読み方がある。さらに名前の場合は、表記された漢字には読みだけが託されていて、意味にはご両親の思いが託されている。そしてその意味は漢字の意味とは全く関係ないことがある。穂希さんの場合は漢字表記にも「まれに見る(すぐれた)穂」という意味が託されているかも知れないが、やはり「ほまれ」(栄誉ある人)が本意だろうと思われる。

 人名だけでなく地名も難しい。漢字の意味と読みの方の意味とが一致しない場合が多い。特にあの好字令「畿内七道、諸国の郡・郷の名、好字を著(つ)けよ。」(『続日本紀』和銅6年5月2日条)によって当て字の地名が大量生産されたのだからなおさらである。

 手元に『読めない漢字の読本』(小学館)という本がある。少し遊んでみましょう。「地名」問題として古代史の主要舞台である福岡県を選んでみた。古代史を勉強しているので読める地名が結構あるが、私には「?」の方が多い。(解答は全問題の後に置きました。)

【地名】
〈市区郡町村〉
浮羽郡 大任町 小郡市 遠賀郡 頴田町金田町 香春町 苅田町 篠栗町 早良区 志免町 大刀洗町 築城町 直方市 杷木町 前原町 三瀦郡 京都郡 宗像市 山門郡 八女市
〈駅名〉
 (筑豊本線)
  桂川 筑前垣生 筑前山家 天道
 (鹿児島本線)
  原田
 (篠栗線)
  長者原 柚須
 (日豊本線)
  朽網 新田原 三毛門
 (筑肥線)
  一貴山 鹿家 下山門 周船寺 大入
 〈平成筑豊鉄道)
  勾金  (久大本線)
  御井 〈半島・島・岬〉
 企救半島 能古島
〈山〉
 脊振山(佐賀県境) 英彦山(大分県境)


 動植物名を初め日常生活でお馴染みの熟語なども難しい。漢語や仏教用語に同じ意味の倭語を割り当てたもの、倭語に意味に合う漢字を選んで作った熟語、さらに倭語に当て字を付けたものとがある。例として「動物」と「こころにまつわる語」から見開き2ページを一つずつ選んでみた。なぜそのような漢字が使われているのか、ということまで分る人いたら、すごいですね。

【動物】
蜚蠊
蠍(蝎)
五月蠅
縞馬(斑馬)
紙魚(衣魚・蠧魚)
蝦蛄


【こころにまつわる語】
曖昧
齷齪
阿漕
婀娜
阿婆擦れ
鯔背


《答》

【地名】

〈市区郡町村〉
浮羽郡(うきはぐん) 大任町(おおとうまち) 小郡市(おごおりし) 遠賀郡(おんがぐん) 頴田町(かいたまち) 金田町(かなだまち) 香春町(かわらまち) 苅田町(かんだまち) 篠栗町(ささぐりまち) 早良区(さわらく) 志免町(しめまち) 大刀洗町(たちあらいまち) 築城町(ついきまち) 直方市(のうがたし) 杷木町(はきまち) 前原町(まえばるまち) 三潴郡(みずまぐん) 京都郡(みやこぐん) 宗像市(むなかたし) 山門郡(やまとぐん) 八女市(やめし)
〈駅名〉
 (筑豊本線)
  桂川(けいせん) 筑前垣生(ちくぜんはぶ) 筑前山家(ちくぜんやまえ) 天道(てんとう)
 (鹿児島本線)
  原田(はるた)
 (篠栗線)
  長者原(ちょうじゃばる) 柚須(ゆす)
 (日豊本線)
  朽網(くさみ) 新田原(しんでんばる) 三毛門(みけかど)
 (筑肥線)
  一貴山(いきさん) 鹿家(しかか) 下山門(しもやまと) 周船寺(すせんじ) 大入(だいにゅう)
 〈平成筑豊鉄道)
  勾金(まがりかね)
 (久大本線)
  御井(みい)
〈半島・島・岬〉
 企救半島(きくはんとう) 能古島(のこのしま)
〈山〉
 脊振山(せぶりさん 佐賀県境) 英彦山(ひこさん 大分県境)

【動物】

蜚蠊(ごきぶり)
▼ゴキブリ目に属する昆虫の総称。アブラムシともいう。
〈漢字〉
 漢語「蜚蠊(ひれん)」を当てたもの。
〈語源〉
 「ごきかぶり(御器噛)」が変化した語という。御器はお椀のこと。

蠍(さそり)
▼蛛形(ちゅけい)類サソリ目に属する節足動物。尾部に毒針を持ち、クモや昆虫などを捕食する。
〈漢字〉  漢語「蠍(かつ)」を当てたもの。「蝎」とも書く。

五月蠅(さばえ)
▼陰暦五月ごろ、うるさく群れ飛ぶハエのこと。夏のハエ。
〈漢字〉
 「サバエ」の「サ」は、サツキ、サミダレ(五月雨)のサで、五月を表すところから、「五月」と「蠅」を用いた。「五月蠅い」と書いて「うるさい」と読む。

縞馬(しまうま)
▼ウマ科の哺乳動物。馬をやや小型にした形で、からだの表面は白または淡黄褐色の地で、黒い縞がある。
〈漢字〉
 からだの黒い縞模様から「縞馬」と書くほか、その縞を「まだらな斑」と見て「斑馬」と書くことも。

紙魚(しみ)
▼総尾目シミ科に属する昆虫の総称。家の中の暗い所に棲み、本や衣類の糊を食べる。
〈漢字〉
 からだの形を魚に見立てて、いずれの場合も「魚」の字を使う。そして紙を食う虫の意で「紙魚」、衣類を食う虫の意で「衣魚」と書く。「蠧魚(とぎょ)」の「蠧」はもともとキクイムシの意であるが、後に衣類を食うシミも意味するようになった。
〈語源〉
 シミは、同義の漢語「蟫(しん)」 の変化したものか。

蝦蛄(しゃこ)
▼シャコ科甲殻類の総称。浅い海の砂泥地に穴を掘って棲む。味にすぐれ、寿司の種などになる。
〈漢字〉
 漢語「蝦姑(かこ)」を当てたもの。
〈語源〉
 シャコは、その色が似ているところからシャククヮエビ(石花蝦。シャククヮはシャクナゲ(石楠花)の略)の転とみる説もある。

鯱(しゃち)
▼イルカ科の哺乳動物。雄は体長約九メートルに達し、性格は獰猛。クジラ、アザラシ、サメなどを襲って餌とする。
〈漢字〉
 「鯱」は国字。頭が虎に似て魚の体をなすという想像上の動物「しゃちほこ(鯱鉾)」 に当てた字の転用。

【こころにまつわる語】

曖昧(あいまい)
▼物事がはっきりしない様子。いかがわしいこと、怪しげなことにもいう。
〈漢字〉
 「曖」は、暗い意、「昧」も夜明け前の薄暗い時、また、暗くてはっきりしない意をもつ。

齷齪(あくせく)
▼心にゆとりがなく、目先にだけ心をうばわれたようにせわしく事を行うさま。
〈漢字〉
 「齷(あく)」は、こせこせする意。また、せまいさまをいう。「齪(せく)」は慣用音で、漢音・呉音「さく」は、せせこましいさまをいう。

阿漕(あこぎ)
▼度(たび)重なること。また、どこまでもむさぼるさま。情け容赦もないさま。「阿漕が浦に引く網の度重なれば…」と古歌に見える。
〈漢字〉
 伊勢国阿濃郡(三重県津市)の東方一帯の海岸、阿漕が浦の、「阿漕」から。その「阿漕」は、伊勢神宮に供えるための禁漁区であったが、ある漁師がたびたび密漁を行って捕らえられたという伝説があり、その伝説や古歌から度重なるの意が生じ、さらに転じたもの。

婀娜(あだ)
▼女性の、たおやかで美しいさま。また、女性の色っぽくなまめかしいさま。
〈漢字〉
 漢語「婀娜」の「婀(あ)」は、たおやか、「娜(だ)」は、なよなよとして美しい、の意をもつ。近世後期以後、「仇(あだ)」(害を加えようとするもの、恨みなどの意をもつ)を当てることがあるが、本来別語。

阿婆擦れ(あばずれ)
▼悪く人ずれがして、厚かましいこと。また、そのような者。多くは女性にいうが、古くは男女ともにいった。すれっからし。
〈漢字〉
 「阿婆」は、当て字。「擦れ」は、多くの人に接して世慣れる、などの意の動詞「擦れる」の連用形の名詞化。
〈語源〉
 アバはアバレ者から出た語とも、中国語の父母と同列以上にある血族関係の女性をいう阿婆からともいう。また、これに「すれからし(擦枯)」の「すれ」をつけたものとも。

鯔背(いなせ)
▼勇み肌で粋な若者。また、その様子、気風。
〈漢字〉
 「鯔」は、ボラの幼魚。江戸後期、江戸日本橋の魚河岸の若者たちが、イナ(鯔)の背のような髷(まげ)(鮨背銀杏(いなせいちょう)ともいう)を結んだことによるとも、新吉原の勇み肌で美声の地回りが「いなせとも」で始まる小唄を歌って歩いたところからともいわれる当て字。

 『週間金曜日』の記事を枕にしようと思って始めたが、つい長ーい枕になり、枕だけで終わってしまった。表題を「番外編」と変えた。本論は次回に。
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