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541 新新宗教批判(8)
「幸福の科学」の基本教義
2006年7月2日(日)


 身体と意識(こころ)を分離して別個のものとする相対的誤謬を絶対的真理であると 大前提してしまえば、意識の世界についてはまことしやかにどのようなバカ話でも 創ることが可能だ。言い直せば、その大前提は際限なき逸脱を呼び起こし全くの 誤謬の深みにはまり込んでしまう可能性を孕んでいる。
 前回私は、バカばなしを真に受けてのめりこんでしまう「平常者」が絶えない ことを不思議だと書いたが、なんら不思議なことではなかった。それらの「平常者」 は「身体と意識(こころ)を分離して別個のものとする相対的誤謬を絶対的真理 」とみなしている点でバカばなしを創りだすものと同類なのだ。

 さて、「幸福の科学」の教義の核心は何か。
 宗教の信仰の対象(本尊)は阿弥陀仏であったり法華経であったり親神であったり 、教祖以外の絶対者あるいは絶対精神であったりするのが一般的だ。ところが 「幸福の科学」の信仰の対象は大川隆法自身だというから恐れ入る。

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主エル・カンターレ──かつて、インドに釈尊として、ギリシャにヘルメスと して生まれ、人類を導かれてきた御存在です。その意識の御本体が今、幸福の科 学の大川隆法総裁として地に降りられ、全人類を救うために、仏法真理を説かれ ています。
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 「幸福の科学」の基本教義は何かというと次のように述べている。

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  幸福の科学の基本教義は、「正しき心の探究」と、その具体化である 「幸福の原理」としての「現代の四正道」です。この「現代の四正道」は、 「愛」「知」「反省」「発展」の四つの原理からなります。「人を愛しなさ い」という教えです。現代人の苦しみの多くは、「他の人々からの愛や評価 がほしい」と思いながら満たされない苦しみです。ここから脱却するために は、自ら人々に愛を与えることが大切です。仏法真理の知識を学び、仏の心 を知るということです。

 さらに、単に知識として学ぶだけではなく、その仏法真理の知識を、職場 や家庭などでの実体験を通して「智慧」に変えていくことが大切です。釈尊 の「八正道」の教えを現代的に再構築したものです。反省によって心を浄化 することで、悪しき霊的な影響から離れることができます。過半数の人々が 悪霊の影響を受けている現在、非常に大切な教えです。大乗仏教の本領であ り、ヘルメス的な発展・繁栄思想の復活です。自分の幸福が「全世界の幸福」 につながる生き方を通して、「成功」という積極的幸福、発展的幸福を実現 し、ユートピア建設への道を開く教えです。
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 どうやら「愛」がそのキーワードであり、「四正道」とか「八正道」とか の仏教教義の概念を理論の正当性の論拠にしているようだ。しかし上記の 「幸福の科学」の公式サイトから転載した説明は、ただただ奥深くありがた い教えであると粉飾することに急で、肝心なところが曖昧で私にはよく分 からない。つまり「愛」を説くのにどうして「四正道」とか「八正道」とか 必要なのかがさっぱりわからない。「分からなければ本を買え。」とのご託宣か しら。本を買うのはおことわりして、吉本さんの読解を聞いてみよう。

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 大川隆法は高橋信次が天台宗の止観からつくりあげた「八正道」をじぶんが こしらえた「愛」の段階説と組み合わせて、実行すべき指針をつくり、それを 「幸福の科学」の教義としている。

 「八正道」というのは

(1)正しく見ること(正見)
(2)正しく語ること(正語)
(3)正しく愛すこと(正業)
(4)正しく生きること(正命)
(5)正しく思うこと(正思)
(6)正しくすすむこと(正進)
(7)正しく念ずること(正念)
(8)正しく悟ること(正定)

のことで、これにそれぞれ「愛」の段階を割りあてている。

一、正見、正語は、親子、男女、隣人のような人と人とのあいだの愛に 対応する。
二、正業、正命は、人を生かし導く愛に対応する。
三、正思、正進は、おたがいに神の子どうしとして許し、つつむ愛に対応 する。
四、正念、正定は、神仏のひとつになった悟りの境地の愛に対応する。
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 そしてこの愛の段階にも対応するのが、前回に説明した「n次元世界」という 仕組みなっている。

 ここで吉本さんの総合的な評価を聞いてみよう。

 まるで子供だましのようにつくられた霊の段階秩序は、スエーデンボルグの 霊的な世界のいかがわしさとおなじように、いかがわしいといえばそれまでの ことになる。でもよくもここまで風呂敷をひろげ大宗教から霊視者やUFOを見た ものまでの神秘意識を包み込んだものだと感心する。

 天台宗の仏教やキリスト教の「愛」をもとにして、UFOに乗ってほかの宇宙の 宇宙人と出会って平和な至福観を説かれたといった類の言説や、ある日突然に 一時的なヒステリー性の健忘に陥り、それからあと超常的な霊能力をもつよう になったといった類の体験まで、まんべんなく包み込んで段階説のどこかには め込んで調合してしまっている。

 全体的なムードとしていえば温和な(大川隆法は「中道」という言葉をつか っている)幸福感をどこまでも精神が保ってゆけるものだという教説をつくり あげている。

 大川隆法のように実在する物質の形態の概念も、精神や人間のあいだの精神の 関係も倫理も一緒くたにして「次元」をこしらえてしまうと、幼稚で子供じみ て感じられるが、根本の原則は肉体とこれを支配している意識・魂とは次元の ちがう別個に分離できる存在だという認識に根ざしている。高橋信次の『心の 発見―神理篇』をみるとそれがとてもよくわかる。高橋信次によれば意識・魂 の中心が「心」だとかんがえられている。そしてこの「心」は大宇宙の支配者 である神仏の意識と通じあって、「あの世」と「この現象界」を輪廻転生しつ づけてきた不死の存在で、そのゆえに過去世の想念、本能、感情、智性、理性、 意志、先天的な善悪の業をみんな蓄積してもっていることになる。こういう考 え方の秘密はどこにあるかといえば、高橋信次が、はじめに意識・魂を肉体と 別個のものと分離したところからきている。そして意識、魂の核である「心」 は自在に過去世も現世もあの世も転生しつづけているとみなされている。この 根本的な認識を承認してしまえば、大川隆法のようにどんな次元の世界もつく りあげることができることになる。

 高橋信次と大川隆法に共通している認識の特徴は、大宇宙の支配者である 神仏の意識に道を通じているどんな宗教も言説も、ひとしく神理に叶うものと していて、宗教に偏らない点だ。つまりどんな宗教も言説も、この神理に叶 えば、あるいは叶うところだけを視てゆけば、批判や排斥の対象にはならな い。肯定的に包み込もうとしている。高橋信次ではあまり目立たないが大川隆 法ではこれをどんな宗教でもやりようによってはとり込めるような体系につく りあげてしまっている。浅薄ないい加減な理解しかないが、そんなことは問 わない人士にとっては、決してほかの宗派宗教を誹謗したりしないで、当り のよい言葉でどんな宗派や宗教や超常的な関心も表面の形の類似で、大川隆 法の次元世界のなかにはめ込まれることになる。この特徴は文章のムードと しては、なかなか気持ちがいいものだ。


 『決してほかの宗派宗教を誹謗したりしない』温和な全体的ムード が『浅薄ないい加減な理解しかないが、そんなことは問わない人士』を 引き付けるひとつの要素になっていると、吉本さんは分析している。
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