2006年9月4日 ホームページ『「日の丸・君が代の強制」と闘う人たちと勝手に連帯するレジスタンスの会』からの引越し完了しました。
《真説古代史・近畿王朝草創期編》(199)

「天武紀・持統紀」(114)


「大化改新」の真相(36)
番外編:「あづま」と「あずま」


 隠居さんからコメントを頂きました。二点あります。面白い問題なので、少し長くなりますが、お答えしようと思いました。一つ目は次のようです。
いよいよ大事な所に差し掛かって参りましたが,残念な事に,“あづま”と“あずま”がごっちゃになっています。(これは貴男,それとも古田武彦氏の責任なのでしょうか。)

◆以前木更津にある“きみさらず”タワーに就いての古田氏の話を聞いた事がありますが,滅茶苦茶でした。

『古事記』由来の「君不去」は「君去らず」。現在の地名表記は「木更津(づ)」で,最後の部分,所謂“四つ仮名”が異なるのです。その事を曖昧にしたままで話を進めると,“ハッタリコンクール”のオンパレードになってしまいます。

学問研究には,言葉(日本語)に就いての素養と厳密さが求められるのです。

 確かに「あずま」と「あづま」が混在していました。混在は不体裁ですから、すべて「あづま」に統一しました。ご指摘ありがとうございました。

 混在の原因は次のようです。
 『日本書紀』などの史書を扱っているので、そこで使われている古訓「あづま」に従って表記しようと心懸けてはいましたが、キーを打つとき(ローマ字入力)に、つい「azuma」と打ってしまい、そのままやり過ごしてしまったようです。これも見直しを面倒がる私の悪癖故の失敗です。しかし「azuma」とキー入力するのは私の従来からの理解(習慣)の故です。以上、古田さんとは何の関係もありません。

 「あづま」と「あずま」の混在は私の不注意が原因でしたが、「私の従来からの理解(習慣)」について述べておきます。

 万葉仮名を経て生まれた平仮名では、「え」と「ゑ」、「い」と「ゐ」のように、本来は異なる発音に対応して異なる平仮名が作られた。しかし、時代が経るに従って一般にその区別が分からなくなって、どちらも同じ発音になってしまった。ついに「ゑ」と「ゐ」は五十音図からの消えてしまった。「ず」と「づ」も同じような運命にある。この二字を発音で区別できる人は一般にはいないでしょう。現代人同士での使用なら「づ」でなく「ず」が当たり前なのです。これが「私の従来からの理解(習慣)」です。

 「広辞苑」を引いてみました。私が使っている「広辞苑」は第2版という古いものです。コンピュータ上で使っている「広辞苑」は第6版です。両方調べてみます。

 第2版は「あずま」だけで「あづま」の項はない。第6版は「あづま」で引くと
あづま【東・吾妻・吾嬬】⇒あずま
となっている。つまり「あづま」に対しては「あずま」を見よ、と言うわけです。その説明は次のようです。

あずま【東・吾妻・吾嬬】(地名他) アヅマ
(1)(景行紀に、日本武尊(やまとたけるのみこと)が東征の帰途、碓日嶺(うすひのみね)から東南を眺めて、妃弟橘媛(おとたちばなひめ)の投身を悲しみ、「あづまはや」と嘆いたという地名起源説話がある)日本の東部地方。古くは逢坂の関以東、また伊賀・美濃以東をいったが、奈良時代にはほぼ遠江・信濃以東、後には箱根以東を指すようになった。
(2)特に京都からみて関東一帯、あるいは鎌倉・鎌倉幕府・江戸をいう称。
(3)東琴の略。

(以下「東」を第一字目に持つ熟語・成句はすべてここに集められている。)
 次の項は
あずま【吾妻・吾嬬】わが妻。記「―はや」

 「あづま」は『古事記』では「阿豆麻」とも表記されていた。この「豆」はどうだろうか。例えば「あづき」と引いてみた。第2版にはない。第6版では「あずき」の誤りという注が出てくる。つまり「あずき」が公認表記となっている。

 隠居さんが例に挙げている「木更津」も調べてみました。第2版「きさらず」で「きさらづ」はない。逆に第6版では「きさらず」の項はなく、「きさらづ」でした。このように公認の表記が変わることもあるのですね。

 前々回「古田説の検討(5)」で引用した古田講演録ではルビは「アズマ」となっていた。講演録をおこした方は現代風の理解でそのようなルビを振ったのでしょう。私はこれが学問的に大きな瑕疵になるとは思いません。

 ところで、こうした現代の仮名遣いの法則を詳しく知りたいと思い、インターネット検索をしたら「連濁はいつ起こるのか?」というサイトがヒットしました。隠居さんが書かれている「四つの仮名」という言葉は実は私には初耳でしたが、そのサイトに「四つ仮名について」という章がありました。その一部分を転載します。

9.四ツ仮名について  前回の更新ではサ・タ行の変化を考えたのですが、ここでそれらの濁音であるザ・ダ行の発音をヘボン式ローマ字であらわすと、次のようになります。

ザ行:ザ ジ ズ ゼ ゾ
    za ji zu ze zo
ダ行:ダ ヂ ヅ デ ド
    da ji zu de do
 *ザ・ダ行の各音についてはのちに考察します。

 上のローマ字をみてもわかるように、ジ・ヂとズ・ヅは現在では同じ発音になっています。そして発音が同じであるこれらのジ・ズ・ヂ・ヅの四つの仮名はむかしから四ツ仮名といいならわされていますが、それらの表記については内閣訓令第一号・内閣告示第一号(昭和61年7月1日付)では、次のようにきめられています。(「現代仮名遣い」の実施について」:岡島昭浩氏掲載のものから引用)

「前書き
 1 この仮名遣いは,語を現代語の音韻に従って書き表すことを原則とし,一方,表記の慣習を尊重して一定の特例を設けるものである。(・・・以下省略。「ぢ」「づ」関係項目は次のとおり。)
 5 次のような語は,「ぢ」「づ」を用いて書く。
 (1)同音の連呼によって生じた「ぢ」「づ」
 例 ちぢみ(縮)(・・・以下省略。)
 (2)二語の連合によって生じた「ぢ」「づ」
 例 はなぢ(鼻血)(・・・以下省略)
 なお,次のような語については,現代語の意識では一般に二語に分解しにくいもの等として,それぞれ「じ」「ず」を用いて書くことを本則とし,「せかいぢゅう」「いなづま」のように「ぢ」「づ」を用いて書くこともできるものとする。
 例 せかいじゅう(世界中) いなずま(稲妻)(・・・以下省略。)」

 上の現代かなづかいの規則は発音に基づき仮名を表記することを原則として、例外としてたとえば「鼻血」(鼻はな+血ち)のように二語からできている複合語や「縮むちぢむ」のような同音連呼の単語については連濁をみとめた表記とするものです。しかしこのような例外については現代人にはなかなか難しい書き分けとなっていると思われます。たとえば「もとづく」(基礎が定まる)という語はもし「基づく」という表記を習っていなければ「基づく」とは書くことができないと考えられます。実際パソコンで「基づく」を打ち出そうとするとき多くの人は(私もよくまちがうのですが)「motozuku」と打って「基づく」がでてこず、あわてて「motoduku」と打ちなおすのではないでしょうか。

 隠居さんのおかげで一つ勉強ができました。

 さて隠居さんのコメントの二つ目です。

◆本件に就いては,中小路駿逸氏の『ヒナとアヅマ~古代文学に見える地理区分について』という非常に手堅い論が『追手門学院大学文学部紀要』No.34(1998)にあります。

この論考を無視,或いは気付かないままで論を進めるのはナンセンスです。

併せ,同氏の「『日本書紀』の書名の「書」の字について」『追手門学院大学文学部紀要』(1988)を読まれる事をお薦めします。

 「この論考を無視,或いは気付かないままで論を進めるのはナンセンスです」とは恐れ入ります。これは言いすぎでしょう。申し訳ありませんが、私は私の記事を、大した代物とは思っていなせんが、「ナンセンス」とも思っていません。勿論、中小路論文がそれほどにも必要不可欠な論文だというのですから、それらの論文が簡単に入手できるのであれば是非読んでみたいと思っています。しかし、門外漢の私には入手の手だてがありません。残念なことです。

 隠居さんのコメントはいつも古田さんの非を咎めています。私はそこに憎悪すら感じますが、穿ちすぎでしょうか。一方、中小路さんへにはたいへん大きな賞賛を与えている。私は古田さんと中小路さんは同じ立場に立ち、お互いに良き理解者だと理解していますが、古田さんと中小路さんの間に何か敵対関係でも生じたのでしょうか。あるいは隠居さん自身と古田さんの間に何かあったのでしょうか。私には発表されたお二人の論文の真偽にこそ興味があるので、上のような詮索は無用とは思っているのですが、一応このような疑念を持ったので書き添えておきます。
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 コメント
この記事へのコメント
あらためて。
・“四つ仮名”の問題,或いは仮名遣いの問題について,何か誤解をなさっているように思われます。

・一度,どなたか日本語学に詳しい方に貴殿の文章をお見せになり,ご意見を伺ってみて下さい。

★中小路氏の論考について,入手が難しいとの事。

・今時ですから,その気さえあれば,
?追手門学院大学附属図書館,
或いは
?国会図書館,
に複写依頼をされれば,比較的容易にコピーが入手出来るのではと思われます。

・貴兄がどちらにお住まいか分かりませんが,最寄りの図書館の司書にご相談になってはいかがでしょう。

?『季報・唯物論研究』
No.87(2004)特集“九州王朝説の現在”は下記サイトに詳細が載せられていますので,ネットでも注文出来るようです。

http://www.infonia.ne.jp/~l-cosmos/Link/kihoYuiken.html

・取り急ぎ,要用にて。
2011/07/21(木) 18:15 | URL | 隠居 #hvIICHmQ[ 編集]
うっかり。
丸で囲んだ数字(1.2,3)を使用しましたら,文字化けしてそれぞれ?になってしまいました。
(1)の形にすべきでした。
大変失礼しました。
2011/07/21(木) 18:21 | URL | 隠居 #hvIICHmQ[ 編集]
すいません、平仮名に濁点っていつ頃から使われ出したのでしょうか?
2011/07/23(土) 11:45 | URL | #-[ 編集]
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