2006年9月4日 ホームページ『「日の丸・君が代の強制」と闘う人たちと勝手に連帯するレジスタンスの会』からの引越し完了しました。
《真説古代史・近畿王朝草創期編》(198)

「天武紀・持統紀」(113)


「大化改新」の真相(35)
古田説の検討(6):「東国」問題(3)


 これまでに分かったことをまとめると、「あづまの国」はもともと「上野・下野」あたりを指す概念だった。それが時代が降るに従って「常陸・武蔵・上総・下総・安房・甲斐・駿河・伊豆・相模」などが加えられながら、概念が拡大されていったと思われる。

 さて、『古事記』本文にある「あづまの国」は前回に取り上げたものだけだが、もう一つ「序文」に「東国」がある。「壬申の乱」を素描しているくだりで使われてる。古事記序文が描く「壬申の乱」については『「古事記」序文が描く「壬申の乱」(1)』で全文を掲載しているが、ここではさわりの部分だけを再掲載しておく。

……然れとども、天の時未だ臻(いた)らずして、南山に蝉蛻(せいぜい)し、人事共給(そな)はりて、東國に虎歩(こほ)したまひき。……

 ここでの舞台は古賀さんが解明したように筑紫である。それをふまえて捉えれば、ここの「東国」は「あづまの国」ではなく明らかに「東の方の国」である。しかし「東の方の国」全部を指しているわけではない。

 『日本書紀』の偽装「壬申の乱(天武紀 上)」では「東国」が頻出する。こちらの「東国」は、そこに出てくる具体的な地名から、伊勢・伊賀・美濃あたりを指しているようだ。それらは明らかに「あづまの国」ではない。従ってこの場合の「東国」も「あづまの国」ではなく「東の方の国」と言う意である。しかし、この場合も「東の方の国」全部を指しているわけではない。

 それでは『日本書紀』の他の「東国」はどうだろうか。『日本書紀』のそれぞれ記事をヤマト王権自前の記事なのか、九州王朝の史書からの盗用記事なのか、判別するのが難しい。もしその判別ができなければ、この種の調査はあまり意味がないかも知れない。しかし、ともかく全てを抽出してみよう。

『日本書紀』

 初出は「神代 下」第九段(一書第二)である。

……此の神、今東國(あづま)の檝取(かとり)の地(くに)に在(ま)す。……

 言うまでもなく、「檝取」とは千葉県香取市である。下総国ということになる。

 次は「崇神紀」に出てくる。

崇神48年正月10日
……則ち天皇相夢(ゆめのみあはせ)して、二の子(みこ)に謂(かた)りて曰く、「兄は一片(ひとかた)に東(ひむがし)に向けり。當(まさ)に東國を治(し)らむ。弟は是(これ)悉(あまねく)四方(とも)に臨めり。朕(わ)が位に継げ」とのたまふ。

崇神48年4月19日
四月の戊申の朔丙寅に、活目尊を立てて皇太子としたまふ。豊城命を以て東國を治(をさ)めしむ。是、上毛野君(かみつけのきみ)・下毛野君(しもつけのきみ)の始祖なり。

 上の二つの記事は上毛野君・下毛野君の始祖譚である。『日本書紀』には下毛野君は一人も登場しないが(見落としていました。持統3年10月22日条に一人いました。「辛未。直廣肆下毛野朝臣子麻呂、奴婢陸佰口を免さむと欲ふと奏す。奏すままに可されぬ」。以上8月5日に追記。)、上毛野君は頻出している。唐・新羅戦に派遣された倭国の前将軍・上毛野君稚子が私(たち)にはおなじみである。上毛野君は天智紀のほかに崇神・応神・仁徳・安閑・舒明紀に出てくる。現在に「吾妻」という地名が残っているように、上毛野国が「あづまの国」の中枢国だった。

景行27年2月12日
 二十七年の春二月の辛丑の朔壬子に、武内宿禰、東國より還て奏して言さく、「東(あづま)の夷(ひな)の中に、日高見國(ひたかみのくに)有り。其の國の人、男女並に椎結(かみをわ)け身を交(もどろ)けて、爲人(ひととなり)勇み悼(こは)し。是を總べて蝦夷(えみし)と曰ふ。亦土地(くに)沃壌(こ)えて曠(ひろ)し。撃ちて取りつべし」とまうす。

 これも当然のことながら、蝦夷は「東(あづま)の夷(ひな)の中」であり、「あづまの国」には属さない。

 ところで、「日高見國」という印象深い地名が出てきた。「大嘗祭とはなにか(2)」で祝詞「六月晦大祓」を取り上げた。その祝詞の中に「大倭日高見之国」が出てくる。この地名の古田さんによる解読を「大嘗祭とはなにか(3)」で紹介した。その結論は次のようだった。

『本来対馬北部を呼ぶ国名だったものが「天孫降臨」後に「筑紫を中心とする地域」の名として使われるようになった。』

 これがどうして「「東(あづま)の夷(ひな)の中」にある国名として出てくるのだろうか。ちょっと横道に入る嫌いがあるが、こだわってみたい。(次回で)
スポンサーサイト
 コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
 トラックバック
この記事のトラックバックURL
http://adat.blog3.fc2.com/tb.php/1648-d442b398
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
この記事へのトラックバック