2006年9月4日 ホームページ『「日の丸・君が代の強制」と闘う人たちと勝手に連帯するレジスタンスの会』からの引越し完了しました。
《真説古代史・近畿王朝草創期編》(181)

「天武紀・持統紀」(96)


「大化改新」の真相(19)
〈番外編〉「誤解の功名」について


 「孝徳紀」の大化1・2年の一連の詔をそっくりそのまま九州年号の大化1・2年に置いて『「大化改新」の真相(1)』を始めた。『「大化改新」の真相(7)』まではそれに従って論を進めてきたのに、『「大化改新」の真相(8)』では「朔日・暦日ともに合致する」移動を採用して、持統6・7年を選んで仕切り直した。これまでも「朔日・暦日ともに合致」でやってきていたという思い込みがあった為だった。また、持統3~5年に国制に関係する記事が多くあることに結びつけようという意図もあったと思う。

 さて、上記のような年代移動は間違いであるという指摘を向井さんからいただいた。続いて、その論拠の一つとして『「藤原宮」と大化の改新について』という正木さんの論文を教えていただいた。その論文は大化2年の「改新の詔」の次にある「鐘匱の反応」の詔をめぐる論考だった。

 「改新の詔」の後続文は次のようになっている。

646(大化2)年
是の月(正月)に、天皇、子代離宮に御(おわしま)す。使者を遣して、郡國に詔して兵庫(つわものぐら)を修営(つく)らしむ。蝦夷親附(まゐしたが)ふ。〈或本に云はく、難波狭屋部邑の子代屯倉を壊ちて、行宮を起つといふ。〉
二月の甲午の朔戊申(15日)に、天皇、宮の東の門に幸す。蘇我の右大臣をして詔せしめて曰く……


 これによると、2月15日の詔は子代離宮で行われた。正木さんは、考古学的事実を確認した上で、「宮の東の門」について次のように述べている。

 「宮の東門」は前期難波宮にすら無いとされている。いわんや「離宮」にあるとするのは極めて無理があろう。発掘調査では藤原宮の十二の朝堂の外側に、北の大極殿院から伸びる回廊が巡らされていた。東門は北から二番目の朝堂院東第二堂南東に設けられており、天皇は回廊を渡り東門に幸したと思われる。

 東第一堂には大臣が椅子に着座。最大の朝堂である第二堂では大臣に次ぐ納言・参事等の官僚が床に座り執務したと言われる。天皇の命で右大臣が東門付近の第二堂に参集した官僚に詔を発したとする書記の文言と藤原宮の遺跡状況は符号する。この記述は堂々たる朝堂院を備えた藤原宮での出来事として相応しく、「離宮」での事とは到底考えられないのだ。

 ちなみに平安時代の資料によれば東門は「宣政門 せんせいもん」と呼ばれていた。政の詔を宣する場所であった事を示す名称だろう。

 「朔日・暦日ともに合致する」移動の場合、この詔が出されたのは692(持統6)年ということになる。この時はまだ藤原宮はまだ完成していないので、この詔は飛鳥浄御原宮で出されたことになる。

 飛鳥浄御原宮の発掘調査の現況については「飛鳥浄御原宮の謎(1)」で取り上げている。それによると、今のところ飛鳥浄御原宮の門としては「内郭全体の正門である内郭南門」と「東南郭(エビノコ郭)の西門」が確認されているだけである。ただし、天武が引き続き用いたという説もある後飛鳥岡本宮(Ⅱ期遺構)は「東西193メートル以上、南北198メートル以上の大規模な回廊状の区画施設が検出されているが内部の構造は不明である」という。しかし、今後の調査でも「東門」が確認される可能性は少ないと思える。なにしろ「天武紀」には「大極殿・大安殿・内安殿・外安殿・向小殿・朝堂・前殿・御窟殿・後宮・西門・南門・新宮・旧宮」などなどの多様な殿舎がでてくる。ほとんど盗用記事の中で使われているものと思われるが、ともかく東門はない。

 以上により、「東門」は「朔日・暦日ともに合致する」移動が不当である証左と言えそうだ。思いがけないところから反証が出てきた。私は「とりあえずは国制に関する事項だけにしぼってすすめることに」して、他の詔を全く無視してきた。全体への目配りが足りなかった。

 「朔日・暦日ともに合致する」移動を採用したとき『取りあえず持統6・7年を採用して進めたい。そうしたために理論に矛盾が生じたら、「朔日・暦日ともに干支不変更」とした仮説が破綻したことになる』と書いとおり、この仮説に特に固執する理由はない。しかしまだもやもやとした思いがある。私には、改新記事を50年も時代を繰り下げた『日本書紀』編纂者の意図とその繰り下げ方法に関して、まだはっきり分からない点があるからだろう。国制に関するもの以外の詔も含めて全体像をつかむ必要がありそうだ。
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