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518 認識論と矛盾論(8)
レーニン矛盾論の欠陥
2006年6月7日(水)


 レーニン矛盾論の問題点がこのシリーズの中心テーマなので、この部分については下手な要約はせずに、三浦さんの論述をそのまま紹介しよう。
 三浦さんはレーニンの「哲学ノート」の記述を検討しながら次のように述べている。


 レーニンは、「媒介と同時に直接性をふくんでいないものは、天にも、自然にも、精神にも、どこにも存在しない。」というヘーゲルのことばを抜き書きしていながら、対立物の統一もまた媒介と同時に直接性をふくんでいること、直接的統一こそ「同一」であることの理解にまですすむことができなかった。そのために、彼は対立物の「相互浸透」という概念に到達することができず、エンゲルスの理解に追いつくことができずに終ったのである。
 このレーニンの「同一」の理解の弱点は、『弁証法の問題によせて』における混乱となってあらわれた。彼はまず、矛盾を「対立物の同一性」と規定したが、すぐこう附け加えている。

「おそらく、より正しくいえば『統一』か? もっとも同一性という用語と統一という用語の差異はここで特に本質的なものではない。ある意味では両方とも正しい。」

 つまり、「統一」と「同一」との論理的な関係を正しく理解してはいなかったにしても、ヘーゲル論理学全体に目をとおしただけあって、「統一」のほうが正しいのではないかとおぼろげながら感じてはいたわけである。そしてこの曖昧だったことが、つぎのように矛盾の規定に大きな影響をおよぼすことになった。

「対立物の統一(合一、同一性、均衡)は条件付、一時的、過渡的、相対的である。相互に排撃する対立物の闘争は、発展、運動が絶対的であるのと同様に絶対的である。」

 このような、相対性は統一の部分に、絶対性は闘争の部分にという発想は、私が「ふりわけ論」とよぶ一種の形而上学的な思考で、弁証法的思考でも何でもない。レーニンが「合一、同一性、均衡」などを、すべて「統一」の特殊な形態であると明確に区別してつかんでいたならば、これらの形態はいろいろ変化ししたがって相対的であるが、それらが「統一」であることに変りはなく、したがってこの点では絶対的であると理解できたであろう。それでは対立物の闘争はどうであろうか。そこには何ら相対性はないのであろうか。

(中略)

 矛盾を関係としてとらえた場合、上と下であるとか、右と左であるとかいう関係は、直接的な同一性として、上は同時に下であるとか、右は同時に左でもあるとかいうような矛盾として存在している。有限は同時に無限であるとか、有は同時に無でもあるとかいうような、矛盾をとりあげることもできる。これらはたがいに相いれない両面の統一であるが、ここに果して闘争が存在するであろうか。飛ぶ矢が空間の一点に存在すると同時に存在しないという、運動の矛盾をとりあげて、存在する矢と存在しない矢との「闘争Jを論じることができるであろうか。

 マルクスが問題にしている「総じて、現実の諸矛盾がもって自らを解決する方法」は、いわゆる非敵対的矛盾の解決方法であるが、このような解決方法についてはレーニンは何ら考慮を払っていないのである。

 階級的矛盾その他、いわゆる敵対的矛盾にあっては、相いれない両面が闘争している。すなわち対立物の闘争は絶対的である。だが力学的運動にしても有機体としての運動にしても、いわゆる非敵対的矛盾にあっては、相いれない両面が闘争するのではなく、遠心力と求心力との調和や同化と排除との調和など、調和を正しく維持することによって矛盾が存在するのである。
 したがって、矛盾全体として見るなら、対立物の闘争は相対的なのである。この点でもレーニンの規定はあやまりだということになる。

 ミーチンその他ソ連の哲学者たちは、レーニンがマルクス主義の矛盾論をこのようにゆがめたことに気づかないばかりか、反対にこれをマルクス=エンゲルスを発展させて新しい段階に高めたものだと思いこみ、礼拝したのであった。
 彼らはエンゲルスのあげた三大法則の一つである「対立物の相互浸透の法則」を、対立物の統一にまで還元してしまったばかりでなく、レーニンが絶対的だというので闘争をもそこにつけ加え、「対立物の統一と闘争の法則」に修正した。そして、レーニンが闘争を加えたことは、帝国主義の時代の階級闘争の激化に照応して弁証法を発展させたものであり、エンゲルスをさらに深めたものであると、まことしやかにコジつけたのであった。

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