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517 認識論と矛盾論(7)
矛盾論
2006年6月6日(火)


 これまでの議論をまとめると、認識論の要の一つは「真理と誤謬の相互関係と発展」を正しくとらえて構造的に体系化することであった。
 ところで、ある認識が相対的真理であるとは「いくらかの誤謬を含んだ真理」のことであり、相対的誤謬とは「いくらかの真理を含んだ誤謬」のことである。ここには「真理であるとともに誤謬」であるという矛盾が存在する。認識論を科学として確立するためには、こうした矛盾の存在に心を配り、矛盾の展開・発展を正しくとらえることがもう一つの要となる。

 矛盾という言葉の由来はもうほとんどの人が知るところだろう。私は高校の漢文の授業で知ったと思う。「どんな盾をも貫く矛」と「どんな矛をも通さない盾」を誇示して矛と盾を商っている商人が「その矛でその盾を突けばどうなるか」と問われ反答に窮したという話だった。
 この中国故事のように、一般には矛盾とは「不合理な認識のありかた」をさしている。しかしどんな矛盾にしても、それが生れるだけの合理性があるからこそ存在する。だから、解消しなければならない望ましくない矛盾だけではなく、のぞましいものとして維持したり創造したりすることが必要な矛盾もある。このことを三浦さんは次のように説明している。


 われわれ人間をもふくめたあらゆる生物は、どの瞬間においても、同一のものでありかつ同一のものではない。個体として同一でありながらそのありかたは異っている。どの瞬間においても、それは外からもたらされた物質をとりいれ、別の物質を排泄している。これは絶えず自己を定立しかつ解決しつつある一つの矛盾であって、この矛盾がやめば直ちに生命もやみ死がはじまるから、生きていくためにはこの矛盾を維持していく必要があり、とりいれる面と排泄する面との調和に努力する必要がある。


 このような矛盾を『非敵対的矛盾』という。精神の成長=認識の発展においても同じである。冒頭で述べたように、真理はすべて相対的真理であるという認識の本質的なあり方がすでに一つの非敵対的矛盾の例であった。


 現実の世界は時間的にも空間的にもまたその多様性においても無限であるにかかわらず、その現実の世界の一部分であるわれわれの頭脳への現実の世界の反映は、われわれの歴史的なありかたと個人の肉体的・精神的なありかたから規定されて、時間的にも空間的にもまたその多様性においても有限でしかありえない、という矛盾である。この矛盾は人間の認識にとって本質的なものであって、人類が消滅しないかぎり消滅しないのである。

(中略)

 現実の世界が無限であるのに対して、われわれ個人の認識に限界があるとしても、われわれは他の人間の認識を受けついでそれを補う方法を現に実践している。これは実際上限りなく継続していく人間の世代の認識を系列化することであり、個人が他の人間とむすびついてつぎからつぎへと認識を受けついでいく認識それ自体の交通・運動形態を創造することである。この無限の継続が、現実の世界の無限のありかたと正しく照応し調和するように定立させられるのであるから、これは非敵対的矛盾を実現しかつ解決することなのである。



 「非敵対的矛盾を実現しかつ解決する」ということを「対立物の統一」という。この統一のあり方は2通りある。その一つは「対立物が相互に転化し同一となる」あり方で「直接的統一(同一)」という。これを、『反デューリング論』でエンゲルスは「運動」を例に次のように述べている。

『すでに単純な力学的な場所の移動ですら、一つの物体が同一の瞬間にある場所にありながら同時に他の場所にあること、すなわち同一の場所にあるとともにそこにないということがなければ、行われえない。』

 ここで注意を要することは、「同一」とは、『対立した両者がむすぴつくことではなく、一者が同時にその対立物であるという論理構造』を指している点である。
 これにたいして『対立する両者のあいだの媒介運動、すなわち両者の媒介的なむすびつきを伴っている』対立物の統一を「媒介的統一」という。

 三浦さんは繰り返し次のことを強調している。
『直接的統一がとりもなおさず「同一」なのである。つまり、「同一」というのは「統一」の特殊な形態をさすのである。』

対立物の統一
 ① 直接的統一(同一)
 ② 媒介的統一

 レーニン矛盾論の誤りがこの点に大きく関わっているからである。

 ちなみに、資本主義社会における「階級的矛盾」を「敵対的矛盾」の典型例としてあげることができよう。
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