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2006年9月4日 ホームページ『「日の丸・君が代の強制」と闘う人たちと勝手に連帯するレジスタンスの会』からの引越し完了しました。
今日の話題
新聞の記事から3題(1)

「民主党政権批判」三面鏡(1)


 前回、「心に留まった文章が3編」と書いた。残りの2編はいずれも民主党政権への批判文である。ところで、今日の朝刊でまた一つ民主党政権批判の文章に出会った。これら併せて3編の論評を紹介して、それぞれに感想を付したいと考えているが、その前に私の立ち位置をはっきりさせておこう。

 私のホームページを続けて読んでくださっている方には改めて言う必要もないことながら、私はかって一度もあらゆる選挙でいわゆる保守政党に投票したことはない。それが昨年の総選挙の選挙区では民主党の候補に投票した。長年の自公政権の悪政に心底から怒っていた。民主党候補の対立候補である公明党候補を落としたい一心での行動であった。

 だから初めから民主党に多くを期待していた訳ではない。ただ自公政権よりはましなのではないかという期待はあった。いまマスコミからは「民主党には裏切られた」という声ばかりが届いてくるが、民主党政権がもたもたしている問題の多くは自公政権が残していた負の遺産である。私はまだ全否定はしたくない。私にはまだ期待したいことが二つある。

 一つは、雇用問題・社会福祉問題など個々の具体的な政策以前に、その政策実現の基盤となる「財源=税制」問題だ。未だにあちこちで消費税増税の声が絶えないが、自公政権が残していた悪政の一つ「大企業・資本家・資産家」優遇の改悪税制を再び改正すれば消費税は無用になるはずなのだ。「担税力に応じた税制」という正道を実施した上でなお消費税を必要とするならば、私(国民)は喜んでそれを受け入れるだろう。

『「財源=税」問題を考える』を参照してください。)

 『週間金曜日784号(1月29日発行9)』が「民主党政権の増税論」という特集をしている。
「庶民・小企業増税/資産家・大企業減税」(浦野広明)
と、さらなる改悪をもくろむ動きを危惧する記事がある一方
「消費税たのみではなく、税収調達能力の回復を」
という記事がある。

 後者は、民主党政権下の新しい「政府税制調査会」のシンクタンク機能を務める「政府税調専門委員会」の座長になった神野直彦氏へのインタビュー記事である。その中で
「神野さんはこれまでも政府税調に参加されていましたが、旧政権における税調との違いはありますか。」
という質問に答えて、神野氏は次のように述べている。

 もし、かつての政権だったならば、財界などの影響が強く、租税特別措置にも手をつけることはなかったでしょう。また、扶養控除の廃止など思い切ってやっている点も評価できます。扶養控除の廃止だけを取り上げて、増税だ、悪代官だ、と思われるかもしれませんが、全体の財政構造から見ることが必要です。ジグソーパズルの小片だけを見て、そこだけを変えていくようなことはもうやめましょう。

 問題は政府という共同事業体で何をやって、そのための共同負担をどうするのかということを私たちは考えないといけないでしょう。

 当面の課題は税収を上げる力を増やすということです。1990年代以降、税収調達能力が著しく小さくなってしまいましたが、その能力を回復させるのです。

 その一例が、租税特別措置の見直し、所得税の控除の見直しです。これらは景気回復したときに自然増収が出るように課税ベースを広げておこうという政策です。

 90年代の日本は、資本所得に対する租税負担を軽くすれば、日本に資本が流入し経済は成長する、と信じて法人税を引き下げ、所得税の累進税率の最高税率を引き下げてきた。その代わりに消費税に重点を置いていたのです。

 しかし、消費税の問題は、経済成長をした場合に自然増収がないことです。いくら経済成長をして所得が増えても、消費には、貯蓄に回る割合が増えて所得よりも少ない分しか回りません。しかも、税収を増やそうとすると、税率を上げるしかないのです。

 一方で、所得税の累進税率の場合は、国民所得が一伸びれば、税率が高い上のブラケット(所得階層)に入るために税収は一・五倍などに伸びる、という自然増収が働きます。

 不況のうちに、自然増収ができる構造を作っておけば、景気がよくなったら自然増収につながります。一方、不況が悪化すれば自動的に減税になり、利益が上がっていた企業の税金も軽減される。所得税も累進税率のブラケットが下がりますから、減税になるわけです。

 実は1990年の一人当たりの国民所得と2000年のそれはまったく同じです。日本は失われた10年を経て、2000年の時にはバブル時の一人当たり国民所得に追いついたのですが、所得税は16兆円減り、法人税は10兆円近く減ってしまっていました。これは税収調達能力が著しく小さくなっている例です。

 にもかかわらず、今後10年で2兆円増やさなければならない。だからこそ消費税を上げるしかないというのがこれまでの風潮ですが、このように所得税に見直す余地が多いのです。

 ただ見直すと言っても、単に最高税率を引き上げるという形式面ではなくて、課税ベースと税率を組み合わせる。または控除を考慮して、実質的に累進性を高める方法もあります。

 もともと日本は欧州のように所得税に限界が生じたので消費税を上げたわけではありません。ですから消費税ではなく、所得税こそ見直さなければならないのです。まずは所得税を見直して、税収の調達能力を回復させる必要がある。これが、今後、必要なビジョン的改革につながっていくのです。

 現在の日本のような構造転換期はチャンスなのです。これから必要とされるビジョン的改革は、「所得税と付加価値税を車の両輪とするような、基幹税(キータックス)とする租税構造を構築していく必要がある」と考えています。

 この神野氏の現状認識と改革ビジョンは、私(たち)が(『「財源=税」問題を考える』から得た認識とほぼ同じだと思う。実際にどのような税制改革が打ち出されるか予断を許さないが、注視していこうと思う。

 もう一つ期待していることは普天間基地返還問題である。これも自公政権が残していった大きな負の遺産の一つである。この問題は多くの人が言うように、アメリカの要求通りに追従してきた隷属外交から脱却するための試金石である。

 この問題に限らず、民主党政権は閣内不一致が多いとか、ぶれにぶれまくっているとの批判の声が大きい。しかし、ことこの普天間基地返還問題については、意図的であるか否かは知らないが、決着を先延ばしにしてきたこれまでのぶれぶりが大いに功を奏している。しかしこれからはアメリカと真っ正面から向き合い、真っ当な外交交渉を通して、対等な国家間関係を築く基とすべきだろう。

 これもたいへん難しい問題だが、自公政権ではとうてい望めなかった成果を上げることを、私は期待している。

 ところで、次の一文をどう読みますか。

『左翼の連中がいまつくろうとしているいわゆる「民主党」というのは、かての社会主義の最悪の部分を受け継ぎ一方で、新自由主義の最悪の部分をも取り込んでいるのです。』(アントニオ・ネグリ著〈廣瀬純訳〉『未来派左翼―グローバル民主主義の可能性をさぐる』より)

 ネグリはもちろん日本の民主党を語っている訳ではない。これはイタリアの民主党結成時のネグリの評言である。しかし最初の「左翼の連中がいまつくろうとしているいわゆる」を削除して読むと、なんと日本の民主党への評言としてぴったりである。

 日本の民主党は左翼がつくった訳ではもちろんない。中心となったのは小沢一郎氏で、むしろ小沢一郎氏がつくったといっても過言ではないだろう。しかしその内実はネグリの評言が当てはまってしまうような問題を抱えている。これはいわば民主党の宿痾のようなものである。多くの人が指摘している民主党のさまざまな「危うさ」はこの宿痾のよってきたる結果ではないだろうか。この宿痾をどう解決するかも、これから注視していきたい問題である。

 前置きが思いかけず長くなってしまった。3編の民主党政権批判の紹介に入ろう。(次回につづく)
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