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2006年9月4日 ホームページ『「日の丸・君が代の強制」と闘う人たちと勝手に連帯するレジスタンスの会』からの引越し完了しました。
ひらりちゃんの童話集
不思議なフウセンガム(1)


不思議なフウセンガム

「ねえママ100円ちょうだい。」
とゆり子は顔を真っ赤にして、お勝手口からとびこんできました。れいぞう庫に卵をしまっていたお母さんはびっくりして卵を一つ割ってしまいました。
「まあ、ゆりちゃんどうしたの? びっくりするじゃないの。」
おかあさんは、ぞうきんでゆかをゴシゴシふきました。ゆり子はもう一度大きな声で
「だからね、100円ちょうだい。」
と言いました。
「100円で何を買うの?」
お母さんがきくと
「あのね、マム買うの。イチゴとレモンとメロンとハッカーとチョコレートの味の。」
とゆり子はいっきに言いました。
「えっ? まむってなあに。ママ知らないわよ。」
「だって、てつくんがいってたよ。マムって、あのね、おもちみたにクチャクチャってかんで、プーってふくらむマムよ。」
お母さんは笑いながら言いました。
「それはフーセンガムでしょ。マムじゃないわよ。ガム。」
そして、エプロンのポケットから、100円玉をひとつ出してゆり子ににぎらせてくれました。
「昨年おばあちゃんにもらったビーズのかざりのおさいふに入れていくのよ。」
「はあーい、いってきます。」
ゆりこはバババババーッと二階の自分の部屋に走りこんで、宝物のふくろからおさいふを出すと、その中から、いっぱいつまっていたおはじきをベッドの上にぶちまれると、100円玉をいれて、ニッコリ笑ってから、いちばんきれいなおはじきを一枚入れて、またバババババーッとお勝手口から出ていきました。
お皿をあらっていたお母さんは
「まあ、ゆりちゃん!」
と言ったとたん、おさらをわってしまいました。「ハーッ」と大きなため息をつくと
「まったくあの子は。」
と言いながら、マムのことを思い出してクスッとひとりで笑いました。

「マムはマムでもマムじゃない、マムはマムのなにかな、わーかる人。」
と歌いながら、ゆり子はスキップして行きました。そして坂の向こうの横断歩道をわたると、もういつもてつくんが行くおかし屋さんです。でも今日はちょっとちがいます。おかし屋さんが二つ並んでいるのです。
「あれー? おかし屋さん一つしかなかったのにー。そうだ、おちょんちょでどっちで買うか決めよう。どっちにしようかな、神様の言うとおり、おちょんちょおちょんちょまっくろこげやけた。こっちー。」
そして大きい声で
「こんにちは、マムください。いっぱいマムくださいな。」
するとニコニコ顔のおじいさんが出て来ました。ゆり子は、〈てつくんと来た時はおばあさんだったのに、私、まちがえちゃったみたい。でも神様がこっちって決めたんだから、ぜったいこっち〉と思いながらビーズのおさいふから100円玉を出しました。おじいさんが
「おじょうちゃん、この店のガムは100円。けれどもマムは100円とちょっとだよ。どっち買うの。」
と言いました。ゆり子は
「おじいちゃんて不思議ね。ママは私がまむって言うと『ガムよ』と言い直すのに、おじいちゃんはどうして言わないの?」
と聞きました。
おじいさんはやさしい顔で言いました。
「わしがマム屋だからさ。フォッ フォッ。」
「それなら私、マム買うわ。はい、100円とちょっと。」
ゆり子は100円玉とおはじきを差し出しました。おじいさんは大きな手で受け取って
「ほい、たしかに100円とちょっと。」
そして空色のガラスのビンをゆり子にくれました。ゆり子は栓をあけて、一つぶ口に入れてクッとかんでみました。イチゴの味でした。ゆり子はおじいさんのまねをして
「ほい、たしかに私のマム。」
と言いました。そしてスキップをしながら、てつくんの家に行きました。(つづく)
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