2006年9月4日 ホームページ『「日の丸・君が代の強制」と闘う人たちと勝手に連帯するレジスタンスの会』からの引越し完了しました。
ひらりちゃんの童話集
「グリーン グリーン」(2)


 サンライズとサンセットはやっと泣きやんで、ホッとしたような声で、
「ムーン、スター、ボクらはここだよ。」
すると、月は星たちと一緒にゆっくりとグリーンの方に降りて来た。そして、グリーンの角の先にスッと立った。月はとてもやさしそうな顔をしていた。そして、真っ白なドレスを着ていた。身体からは青白い光を放っていた。うしろの星たちはじっとしている事が出来ないらしく、絶えず
「キララ キラキラ キララ」
と歌いながらクルクル回っていた。不思議なことに星たちは一人残らず黄色いスカートをはいた女の子だった。グリーンは
「ああ、このきれいなお月さまがサンライズの言っていたお母さんのムーンだな。するとこのキラキラ光っている嬢ちゃんたちは、サンライズやサンセットの妹だな。」
と思った。やがて静かにムーンが口を開いた。
「サンライズ、サンセット、わかっていますね。おまえたちが勝手なことをしたばっかりに、この地球は夕日がないまま夜をむかえ、朝日がないまま朝をむかえることでしょう。こんなことは初めてです。」
サンライズとサンセットは悲しそうに自分たちの美しい母さんみつめていた。グリーンは二人をかばうつもりで言った。
「きれいなお月さま、どうかこの二人をしからないで下さい。私が偉大なアポロンをけがしたために、アポロンはおおこりになったのでしょう。私がいけないのです。」
すると、月はゆっくりと首をふって
「いいえ、グリーン、アポロンはあなたのことをおこっていません。アポロンはおこって空から消えたのではありません。人々やあなた方はこれを日食と思っているようですが、それは違います。アポロンは自分の仕事をやり終えたから空から消えたのです。空の仕事のしくみはこうです。まずサンライズがゆっくりやみの中から出て来ます。そしてある決まった場所に来るとアポロンに交代します。そしてアポロンも、自分の仕事場所の終わりまで来たらサンセットと交代します。そして、夜になれば私たちの仕事です。だから、今日は日食ではなく、夕日が出なくて、その間だけ暗くなったという事です。おわかりになったでしょうか。」
と言った。グリーンは嬉しそうに
「本当におこってないんですね。」
と声をあげた。月はやさしそうに目を細めて
「おこるどころか、アポロンはあなたがさみしそうなので心配しているのです。」
とゆっくり言った。グリーンは
「そうなんです。私はしたい事がたくさんあるのに出来ないのです。」
「どうして?」
ムーンはたずねた。グリーンは
「どうしてって、私は地上絵だから、飛びたくても飛べないし、水のたくさんある所へも行けない。それに歌も歌えない。」
ムーンは今度はきっぱりと言った。
「あなたは、したい事は何でも出来ますよ。あなたは地上絵じゃないもの。ただ人々が地上絵と言っているだけです。さあ、飛んでみなさい。歌ってみなさい。」
グリーンは不安そうに羽を持ち上げてみた。羽はバッサと音をたてて地面から離れた。みんなはじっとグリーンを見つめていた。グリーンはいよいよ地面から浮き上がり、やがて舞い上がった。星も月もない真っ暗な空に円を描いた。
「とべる!」
グリーンは叫んだ。
「とべる、とべるんだ。歌もきっとうたえる。」
グリーンのあとから、月や星たちもうれしそうに舞い上がった。
グリーンはとても嬉しかった。
「とべた、とべた。歌もきっとうたえる。」
そして、一つ大きく息を吸って歌い出した。

1
 みどりを ください
 はなを ください
 あめよ 降ってください
 かんかん 照りつける
 太陽は いらない
 やさしい やさしい
 朝日と 夕日が
 あればいいのです
   グリーン グリーン

2
 忘れることは できません
 昔 昔の あの雨を
 白い白い 真っ白い
 砂なんか いらない
やさしい やさしい
みどりが
あればいいのです
   グリーン グリーン

3
 友だちを ください
 自由を ください
 海よ川よ みずうみよ
 「めずらしい地上絵だ」
 とさわいでほしくない
 めずらしくなんかない
 花と朝日と 夕日と雨と
 そして 自由を
   グリーン グリーン

4
 とびたい とびたい
 ただ とびたい
 私の前に 大空は
 いっぱい いっぱいに
 広がっているのに
 コンドルだって
 とんでいるのに
 何もかもが
 暑い暑い 太陽のせい
 私に必要なのは一つ
   グリーン グリーン

 いつの間にか、月や星は見えなくなり、サンライズが仕事を始めていた。そして、グリーンにささやいた。
「グリーン。アポロンが、暑すぎるのはどうしようも出来ないけれど、その分、ナスカに雨を降らせてくれる、ってさ。」
グリーンは、とても嬉しくなった。そして 「ありがとう! ありがとう!」
と叫んで、宇宙にとび出していった。

5
 とべた 歌えた
 自由に なれた
 友達 だって
 たくさん出来た
 もう 一人ぽっちじゃない
 暑い 太陽でさえも
 大切な 友達
 白いナスカを
 みどりと花で
 あふれさせてみせる
   グリーン グリーン

 そしてグリーンは、いろんな星へ飛んで行き、いろんな木や花の苗や種子を持ち帰ると、ナスカに植えた。一年、二年たつうちに、太陽と雨のお陰で、ナスカは自然がいっぱいの美しい場所となった。グリーンはそこに絶対人間を入れなかった。

 グリーンはもう悲しいさけび声を決してあげなかった。 (終)
スポンサーサイト
 コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
 トラックバック
この記事のトラックバックURL
http://adat.blog3.fc2.com/tb.php/1385-4daf6cb8
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
この記事へのトラックバック