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2006年9月4日 ホームページ『「日の丸・君が代の強制」と闘う人たちと勝手に連帯するレジスタンスの会』からの引越し完了しました。
企業経営の社会主義化(11)
ラスヴェガスのカジノホテルの場合(2)


 記憶が定かではないが、もう30年ほども昔になるだろうか。日本で組合の御用組合化という警鐘がさかんに論じられ、組合役員は労働貴族とかダラ幹とは揶揄されていたのは。以来、日本の労働組合の組織率は年々低くなってきた。

 アメリカの労働組合はもっと悲惨な状況にあるようだ。『大搾取!』目次の第十章を再掲載すると
「第十章 瀕死の労働組合
 労働者にとって必要なのは、労働組合なのだ。しかしアメリカの労働組合は腐敗しきっており、組織率は一割にも満たない。蘇る道はあるのか?」
である。こんなアメリカでも労働者の生活向上のために果敢に闘っている組合もある。前回紹介した「ラスヴェガス料理関連職トレ一二ングアカデミー」が生まれた背景には、この街が誇る二つの最強組織がある、とグリーンハウスさんは書いている。

 一つは、ラスヴェガスで急成長し、熟練労働者を飽くことなく求め続けるカジノホテル業界。もう一つは、並外れた先見の明を持つ労働組合、キュリナリーワ一カーズ(料理関連職従事者連盟〉第226支部である。

 キュリナリーと呼ばれるこの組合支部は、いろいろな点で、国内で最も成功した支部と言える。労働運動が全体的に衰退している今、組合員数を1980年代末の18000人から三倍以上の60000人へと増やしているのだ。キュリナリーが勢力を拡大した結果、今やラスヴェガスの住民の10人に1人が、この組合の医療保険に加入している計算だ。

 ベラジオ、MGMグランド、パリスなど、巨大カジノホテルが立ち並ぶ大通りに面したホテルの従業員は、90%以上がこの組合に加入している。キュリナリーはまさに「虹の連合」だ。65%が有色人種で、58%が女性、また、中央アメリカの農民や旧ユーゴスラヴィアの難民を含む移民と、最南部のアフリカ系アメリカ人が55%を占めている。

 大通りの労働者をこれだけ高い率で組織化することで、キュリナリ一はカジノホテルがいやでも無視できない一大勢力になった。

 しかし、キュリナリーがこのような成功した組合になるには次のような経緯があった。

 1984年の賃上げ闘争で、ホテル経営側は賃上げ交渉に対して強硬策を貫いた。それが組合をストライキに追い込んだ。ストライキ参加者は団結し、大規模なデモを敢行して、デモ隊とピケラインが通りを埋めた。この闘いで、900人が逮捕された。また、テレビカメラが入って、騒乱の逮捕劇が放映されてしまった。

 ラスヴェガスは不名誉な過去を清算して安全な(少なくともかなり安全な)リゾートになったと、大枚かけて宣伝してきたのに、それが台無しとなった。さらに街のサービス業者たちは、労働者にはむっつりしていられるより機嫌よくしてもらったほうが得策だと気づいた。

「遊びに来る人たちに、ピケだの、怒った労働者が通りをふさぐ光景だのを見せるなんて、いちばんあってほしくないことですからね。こんなことは二度とふたたび起こさないと、あのとき誓いました」
「サービス業では、お客様が最初に触れ合うのは客室係であり、食事や飲み物を給仕する人間であるわけでして、もしその人たちが気分よく働いていなければ、それはすぐにお客様に伝わってしまいます」
とJ・テレンズ・ラニは言った。客室数5035、従業員数8200を誇る世界最大のホテル、MGMグランドのオーナー、MGMミラージュの会長である。

 一方のキュリナリーもこの騒乱に大きな衝撃を受けた。協約にサインすることを拒んだ六つのホテルで組合が排除されてしまったのだ。キュリナリーは闘いの次のステップへの準備を開始した。

 まず、ベテランのオルガナイザーを招き入れ、各ホテルに活発な一般組合員の委員会を立ち上げた。

 また、ホテル側の対立意欲を殺ぐために、若い大学卒業者のチームを雇い、業界にとって不利な情報を探る調査を始めた。そして彼らは、「いくつかのカジノは高額な負債を抱え、ストライキが起きれば持ちこたえられないかもしれない」とウォール街に訴えた。これはカジノホテル会社を慌てさせた。

 このような組合の手ごわい攻勢を受けて、ホテル側は戦術変更をして、組合と友好的な態度とることにした。1989年、ミラ一ジュをオープンさせたとき、その責任者スティーヴ・ウィンは、キュリナリ一と画期的な協定を結んだ。

ミラ一ジュ側
 ミラージュの従業員の過半数が組合加入賛成を表明するカ一ドにサィンした時点で、キュリナリ一を認めると言明。

 これに対してキュリナリー側は二つの見返りを用意した。

キュリナリー側
 従来の協約を書き直して、134に区分されていた職種を30に減らし、柔軟性と効率を上げること。
 キュリナリ一の親組合である全米ホテル・レストラン従業員組合の政治的圧力によって、「外国から来たギャンブラーが大勝するたびに税金を源泉徴収する」という法案が議会を通過しないよう働きかけること。(そんな法律ができたら外国人のギャンブラーに逃げられてしまうと、ホテル側は恐れていたのだ。)

 このキュリナリ一とミラージュの協定に刺激され、シーザ一ズパレス、バリーズ、サーカスサーカスなど、ほかのホテルも同じような協定を結ぶことになった。組合の存在を認めさせて、キュリナリ一は組合員の生活向上のための活動を再開する。
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