2006年9月4日 ホームページ『「日の丸・君が代の強制」と闘う人たちと勝手に連帯するレジスタンスの会』からの引越し完了しました。
企業経営の社会主義化(8)
介護会社コーポラティヴ・ホームケア・アソーシエイツの場合(1)


 グリーンハウスさんは従業員を優遇する企業のその動機に三つのケースがあること指摘した。これから取り上げる三例は、それぞれその三つのケースに対応する例だが、さらに驚くべき斬新にして大胆な経営方針を貫いている。今回取り上げる例は取締役に従業員が参加している。労働者による自主管理に限りなく近づいたという意味で、非常に社会主義的である。

 グリーンハウスさんはコーポラティヴ・ホームケア・アソーシエイツ(以下コーポラティヴと略す)の紹介を、銃弾を受けて両足が麻痺し自力ではほとんど何もできない被介護者(ウィルフレド・グラウロー)と、その人の訪問介護ヘルパーを務めている介護者(マルガリータ・ピロット)とのエピソードの紹介から始めている。

 マルガリータは明るくきびきびと介護をしながら、ウィルフレドにどんな話題で話しかければウィルフレドの気持ちを引き立てることができるかということにまで細かく配慮して、心の交流を確かなものにし、信頼関係を築いている。ウィルフレドは言う。

「もうどこにも出かけることはないのに、いまだに6時半になると日が覚めるんです。そして10時半か2時ころには気分が落ち込んで、どこかに行かなくちゃと考えるようになる。そんなときにマルガリータがやってきて、話しかけてくれる。すると気分がよくなってくるんです。彼女は僕を元気にしてくれます。何かしようという前向きな気持ちにさせてくれるんですよ」

 ウィルフレドはマルガリータを寄越してくれるコーポラティヴに感謝している。コーポラティヴではカウンセラーが長い時間患者にインタヴユ一し、どのヘルパーがその患者にいちばん合うかを考えた上で、担当の介護ヘルパーを選んだでいるのだ。

 そのマルガリータは10年以上もあちこちの訪問介護サ一ビス会社を渡り歩いてきた。そして、どこでも同じ問題に突き当たった。

低賃金と、福利厚生の貧弱さと、ヘルパ一を名前のない、取り替えのきく部品か何かのように扱う無神経な上司たち。

 私の縁戚に介護ヘルパーを勤めている女性がいて日本の介護サービス会社の様子を知る機会があるが、全く同じ状況である。周知のようにいま雇用拡大問題とも絡んで、介護ヘルパーの待遇改善が重要な政治課題となっている。

 さて、マルガリータはその会社がどんな会社かも知らぬまま、友人に紹介されて、コーポラティヴに応募し入社した。マルガリータは入ってすぐその会社がそれまでの訪問介護サービス会社とは違うことを知る。

 ほかの会社のように、研修費として300ドルを請求されることはなかった。健康診断の費用50ドルも請求されなかった。

 マルガリータはすでに介護の研修を受けていたが、無料で新たに研修を受けてほしいと言われた。コーポラティヴの研修プログラムは実に念入りに組まれていて、期間も大半の介護サ一ビス会社の倍の4週間だった。

 ほかの会社では2週間の研修の大半が、当然とは言え、家事のやり方とか、患者を受診に連れていくヴァンの手配のし方など、実際的な要請に応えることに重きを置いていた。コーポラティヴでは、あとの2週間で、心臓発作の症状の見分け方や、急病になったときの対処のしかたや、鬱状態の患者の心を動かすにはどうしたらいいかなど、健康上の問題に注意を向ける時間がたっぷりとってあるのだった。

「コーポラティヴのほうがいいと思う。患者さんにとってどうするのがいいか、そこを中心に考えているから」とマルカリータは言った。

 コーポラティヴは、患者ばかりではなく従業員にとってどうするのがいいかも、ほかのところより考えている。マルガリータが働いていたほかの会社では、医療保険もなければ、有給の病気休暇制度もなかった。息子が喘息の発作を起こしたので欠勤したいと電話すると、クビだと脅されたことも一度や二度ではなかった。

 15時間や20時間しか勤務を割り当てられない週も多く、3人の子供を抱えるマルガリータは家計のやりくりに苦しんだ。コーポラティヴでは、三年以上在職した従業員には、たとえ勤務の割当が少なくても、週最低30時間分の給与が保証される。

「前の職場では福利厚生なんて、いっさいなかったわ。会社は従業員のことなんて何一つ考えてくれなかった。でもコ一ポラティヴでは、従業員同士みんな知っているし、家庭の問題を抱えていたら、カウンセラーが相談にのってくれる」

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