2006年9月4日 ホームページ『「日の丸・君が代の強制」と闘う人たちと勝手に連帯するレジスタンスの会』からの引越し完了しました。
企業経営の社会主義化(4)
小売企業コスコトの場合(3)


 コストコは賃金以上に従業員への手厚い福利厚生が魅力になっている。『マネー』誌の「福利厚生の充実している会社ベズト50」という記事によると、小売企業としてはコストコ1社だけがそのリストに入っているそうだ。コスコトの医療関係の福利厚生は次のようである。

 従業員が一年に負担する医療費は、だいたい総医療費の10%である(全国の企業の平均が25%、ウォルマ一トは約40%)。そして従業員の83%が会社の医療保険に加入している(ウォルマートは48%)。

 歯科医療保険制度では、従業員は家族保険料として週5ドルを支払うが、それで毎年検診が無料で受けられ、ほとんどの治療費の50%以上が保険でまかなえる。眼科医療保険では、毎年眼鏡が無料で新調でき、コンタクトレンズを作る際は100ドルが支給される。

 コストコの人事担当上級副社長ジョン・マシューズは言う。
「ジム [シネガル]が給与や福利厚生の設定を指示するときは、どこよりもいいものを、なんて程度じゃない。誰が見ても文句なくダントツにいいものを、というのが彼の望みなんです」

 コストコには、ほかにも少々風変わりな従業員優遇策がある。もしポストに就いて2年以上たつ従業員を店長がクビにしたくなったら、その決定はまず地区本部の上級副社長の了解を得なくてはならない。たまたまその日ご機嫌斜めの店長に癇癪を起こされて辞めさせられる従業員が出たりしないように、ということだろう。

 このような従業員へのきめ細かい配慮は勤務形態にも現れている。たとえば、家族のいる従業員には、夜10時から午前5時までは極力仕事をさせないようにしている。

 さらに、大半のディスカウント小売企業と違って、コストコには労働組合に加入している従業員が大勢いる。そしてコストコは従業員が14000人も入っている組合と良好な関係を保っている。

 最後にコスコトの従業員への手厚い配慮の典型例として、フロリダ州クリアウォーターの店のレジ係カレン・ジャクソンさんの例を引用しよう。
 ジャクソンはコストコに深い感謝の念を抱いている。15年勤めているあいだに、何度も便宜を図ってもらったのだ。

 初めカリフォルニア州フレスノの店に勤めたジャクソンだったが、夫が大学を替わり、やがてプロフットボールチームに入り、次にビジネスマンに転職しと、仕事と住む場所を替えるたびに、会社は彼女をモンタナ州の店へ、フロリグ州オーランドの店へと、転勤させてくれた。
「この仕事のおかげで、夫も大学を出ることができたんです。」

 ジャクソンはコストコで働きたいばっかりに、片道170キロの距離をドライヴして通勤したこともあったほどだ。

 ジャクソンのコストコ好きの理由は、最近ではその歯科医療保険制度にある。2人の10代の娘たちに歯列矯正を施して、それぞれ2000ドル(180000円)もかからなかったのだ。コストコの保険がなかったら、1人1万ドル(90万円)から2万ドル(180万円)は払わなければならなかったろう。

 熟練のレジ係の賃金が1時間当たり19ドル50セント(1755円)という、フロリダの多くの店の3倍近いコストコの賃金システムを、ジャクソンは心からうれしく思う。
「これ以上のところはどこにもないわ」

 コストコによくしてもらったから自分もコストコによくしてあげたいと、ジャクソンは言う。
「私たちが走り回って仕事をしていたとしても、それは誰かに鞭で脅されてやっているのではない。古めかしく聞こえるかもしれないけど、毎日、家に帰るとき、自分はいただいている分だけちゃんと働いたかと考えてしまうんです」

 まさに、ただやみくもに利潤を追うのではなく、会社と従業員が持ちつ持たれつで共生しているのだ。コスコトの例はこの意味で、創業者シネガルにはその意識がないかもしれないが、資本主義社会という限界の中での精一杯の社会主義化だと、私には思える。

 もちろん、従業員の待遇がいい会社はコストコだけではない、とグリーンハウスさんは次の2例を挙げて言う。
「これから見ていくように、莫大な収益を上げているわけでもなく、およそ平均的な労働者を雇っている雇用主でありながら、これらと同じような心意気を持つ会社がほかにもあるのだ。」

 ニューヨーク州ロチェスターに本社を置くスーパーマーケットチェーンのウェグマンズは、従業員にこの20年間で5400万ドル(48億6000万円)の奨学金を提供してきている。

 靴メーカーのティンバーランドは、従業員に地域活動をさせるために毎年40日間、また病気の家族がいる場合は看病のため2週間、それぞれ有給休暇を与えている。
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