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2006年9月4日 ホームページ『「日の丸・君が代の強制」と闘う人たちと勝手に連帯するレジスタンスの会』からの引越し完了しました。
企業経営の社会主義化(2) 小売企業コスコトの場合(1)

 従業員を搾取することなく(=人間として大事に扱い)成功している企業は日本にもかなりあると予想しているが、私の狭い情報源には入ってこない。できれば日本の例で話を進めたいのだけれど、やむを得ない。

 コスコトは会員制倉庫型ディスカウント店チェーンで、その創業者はジェームズ・シネガルといい、小売業界の鬼才と言われている。現在(『大搾取!』の著者スティーブン・グリーンハウスさんが取材した当時という意味)アメリカ国内第四位、世界で第八位の規模を誇っているという。(ネット検索したら、コスコトは日本にも出店していた。)

 「会員制倉庫型ディスカウント店」という一風変わった店舗形態名称に私は初めて出会った。(こんな世間知らずは私だけかな?)「会員制」というのは分かる。「倉庫型」というのはどういう意味かな? コスコトは顧客(会員)によい品を安く提供するために余分な経費はかけない事をモットーとしている。店舗にも余分な飾りをしない。実質本位の店舗で、床はセメントだそうだ。商品もきれいに陳列するのではなく、倉庫に格納しているように置かれているのだろう。なるほど、それで「倉庫型」か。

 大概の小売企業は宣伝広告費に売上の2%ぐらいを当てている。コスコトは余分なサービスや宣伝広告をしないでコストを抑えている。その節減分を顧客に還元している。

 ところで、『大搾取!』の第8章は「低賃金の殿堂ウォルマート」だった。ウォルマートはアメリカ国内第一のディスカウント小売店チェーンだが、「低賃金の殿堂」、つまり従業員の大搾取を元手に大きくなってきた企業だ。これからあらゆる面でコスコトと比べられることになる。

 コストコとサムズクラブ(ウォルマートの一部門)は低価格販売で熾烈な競争を繰り広げている。コストコの年平均売上はサムズクラブのほぼ二倍、1億3000万ドル(117億円。以下、1ドル=90円で円に換算しておく。)を売り上げている。さらに、単位面積当たりの売上でも、従業員一人当たりの売上でも、サムズクラブを上回っており、マーケット占有率も高い。

 だが、サムズクラブの幹部たちも、価格はコストコより安いと言い張って譲らない。

「たわごとばっかり並べて」 と、シネガルは言う。「客が知ってるよ。レジの行列を見ればわかる。あっちがそんなに安いんなら、どうしてうちがサムズの2倍近くも売り上げるんだ」

 シネガルは「高く売るより多くを売る」というすサム・ウォルトン(ウォルマートの創業者)の発想を採り入れてきたが、その発想を当のウォルマートより一歩先まで進めている。

 シネガルは商品の販売価格をほとんど仕入れ原価プラス15%(値入率)までに押さえている。大半のスーパーマーケットでは値入率25%、デパートでは通常50%かそれ以上である。ウォルマートは15%以下のことが多いが、商品によっては、特に中国からの輸入品は、100%の値入率である。

 では、従業員の待遇はどうなっているだろうか。

 コストコとウォルマートの低価格論争はとどまることを知らないが、どちらが従業員を優遇しているかという論争はない。なにしろコストコは、国内の総合小売業界では最高水準の賃金および福利厚生を提供していると認められているのだ。

 コストコの従業員一時間当たりの平均賃金17ドル92セント(1617円)。これはウォルマートのフルタイム従業員の平均より70%も多く、サムズクラブ従業員の平均より40%多い。経験5年のコストコのレジ係は、ウォルマートの副店長と同じくらいの収入を得ているという。より詳しく見てみよう。

採用時の時給(フルタイム・パートタイムの区別なく)11ドル50セント(1035円)
 ウォルマートの全フルタイム従業員の平均賃金より1ドル高い。
 勤続4年半で賃金表の最高時給19ドル50セント(1755円)になる。さらにフルタイム勤務の場合、年間ボーナス4200ドル(378000円)と、各401k(確定拠出型年金制度)加入者には積立金4%分の補助がある。これらを合計すると、年収は46000ドル(4140000円)以上になる。

年間ボーナスは
勤続10年…5400ドル(486000円)
勤続20年…8200ドル(738000円)

401kの会社補助
勤続10年…年間賃金の6%
勤続25年…年間賃金の9%

 グリーンハウスさんはこれを「異例の高さ」と表現している。ちなみに、他の企業や職種の賃金は次のようである。

勤続4年の平均賃金
ウォルマート…23000ドル(2070000円)
マクドナルドのシフト主任…27000ドル(2430000円)
モンタナの教師…34000ドル(3060000円)


「けっこうな額ですよ」
と、モンタナ州ミズーラのコストコ店の店長マーク・ショーボエンは言った。
「こういう小さな町じゃ、いい働き口です。誰も辞めませんね」。

 コストコの従業員が満足している証拠として、シネガルはコストコが全米85000人の従業員に行ったある調査の結果を挙げた。従業員たちが訴えたおもな不満は驚くほどささいな ― 1年を通じてショートパンツを穿くことを会社が許してくれない ― ことだった (それ以来コストコはこの規則を変えている)。

 コストコがどこよりも安く売り、しかも従業員にどこよりも高い賃金で優遇できるのはなぜだろうか。またシネガルはどのような経営哲学をもっているのだろうか。
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