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2006年9月4日 ホームページ『「日の丸・君が代の強制」と闘う人たちと勝手に連帯するレジスタンスの会』からの引越し完了しました。
今日の話題
社会主義におびえるウヨさん


 『週刊金曜日』に佐高信さんが「現代を読む ノンフィクション・ベスト100」というコラムを連載している。9月25日号では竹中労さんの「完本美空ひばり」(ちくま文庫)を取り上げていた。その中で女優・山田五十鈴さんの見事な啖呵が紹介されている。

 1950年に日本に吹き荒れたレッドパージは公職者追放にとどまらず、芸能界にも及んだ。こういうときは必ず権力に迎合して、ちくったりお先棒を担いだりする卑劣な奴がでてくる。山田五十鈴さんにも口さがない嫌がらせがあったようだ。それに対する山田さんの啖呵はこうだ。

「そのころ世間では、私が夫の加藤嘉に影響されて"アカ"になった、と、言っていた。腹が立ち、滑稽にも思えた。貧乏を憎み、だれでも誠実に働きさえすれば幸福になれる世の中をのぞむことが"アカ"なら、私は生まれたときから赤も赤、目のさめるような真紅である。」

 これと対照的なのがウヨさんのプロパガンダ。三日ほど前、「WiLL」という雑誌の新聞広告をみて吹き出してしまった。先日の総選挙でおおかたの失笑を買った麻生自民党の滑稽にして卑劣なネガティブキャンペーンの続きをやっているのだ。特に笑えたのが「総力特集 民主政権、ここが危険」の中の宇都宮慧『民主党政権は確実に「社会主義化」する』だ。副題は「社民との連立、国家戦略局にちらつく社会主義的「委員会」のイメージ。鳩山政権は危ない」だ。

 この人たちの恐怖の対象は「共産主義」だったが、ソ連崩壊後は「社会主義」に変わったようだ。一体この学者(「中国研究家」だそうだ)は何を「社会主義」と言っているのだろうか。「社会主義とは何か」などキチンと考えたこともなく、「社会主義」という言葉だけを独り歩きさせ、ネガティブなイメージだけを広めているだけなのではないか。

 社会主義とは何か。『吉本隆明の「ユートピア論」』から「社会主義のモデル」を転載しておこう。

①賃労働が存在しないこと
②労働者・大衆・市民がじぶんたち相互の直接の合意で、直接に動員できないような軍隊や武装弾圧力をもたないこと
③国家は、存在しているかぎりは、労働者・大衆・市民にたいしていつも開かれていること。いいかえれば、いつでも無記名の直接の票決でリコールできる装置をもっていること
④私有では労働者・大衆・市民の障害や不利益になる「生産の手段」にかぎり、「社会的な共有」とすること


 もちろんこのような社会主義を実現した国家など、かつてもいまもない。くだんの学者先生は、このような社会の何に恐れおののいているのだろうか。

『「財源=税」問題を考える。(15)』の一節を再録しよう。

 本来、大企業の儲けは、その多くの部分を賃金や下請け単価の引き上げなどに資することが重要である。これによって、消費支出が上がり、景気を高揚する。資本主義社会を維持・発展させるための鉄則である。むしろ資本主義経済下の資本家・経営者の堅持すべきモラルと言うべきだろう。

 大企業などに対する減税による厖大な利益もそのように使われるべきである。しかし実際は、大企業はその儲けを取締役などの役員報酬や株主への配当、その残りは内部留保となし、景気の底あげを阻害している。景気高揚に対しては無策であり、景気も財政も悪化させている。大企業の資本家・経営者たちは自らの首を自ら絞めていることに早く気づくべきだ。

 資本主義社会を成り立たせている核は消費者の購買力である。商品を買うものがいなければ資本主義社会成り立たない。初期資本主義の頃のようなむき出しの搾取を続ければ、資本主義社会は崩壊する。資本主義社会を維持、発展させるためには社会の富を再分配することが不可欠だ。

 どうやら通俗的には、市場が国家の支配下にあり、富の再配分が国家によって行われることを「社会主義」と理解しているようだ。それを社会主義と言うのなら、程度の差はあれ、どの先進資本主義国家も社会主義的政策を取り入れている。そうしなければ資本主義社会はもたないのだ。

 「スウェーデンの今」というサイト(以下「今」さんと略称する)におもしろい記事があった。それを紹介しよう。

 新自由主義という破滅的な資本主義の発信国であるアメリカ合州国においても、いま民間企業への大規模な公的支援や各種銀行への資金注入や保険会社の国有化など、大胆な市場介入策が取られている。つまり社会主義的政策が進められている。

 とはいえ、政府による大規模な経済介入を懸念する声も、さすがアメリカとあって根強い。オバマ政権の緊急経済プランを批判したい人たちにとって、アメリカ世論を震え上がらせるためには、ある一単語を叫ぶだけで十分。その単語とは、socialism

 そう「自由経済への介入は、社会主義への第一歩だ!」というわけだ。しかも「このままだと、スウェーデンみたいな社会主義国になってしまうぞ!」と叫んでいる人もいる。アメリカでは「社会主義」という言葉に対する拒否反応が強いらしく、このような大袈裟な主張もまことしやかに議論されているようだ。

 日本のほとんどのウヨさんは従米ナショナリストで、『「社会主義」という言葉に対する拒否反応』までまねているようだ。

 銀行や金融機関への公的資本の注入や国有化は、1990年代にスウェーデンが初めておこなった。それによって、当時の金融危機・経済危機を3~4年のうちに最悪の状態から立て直すことに成功した。アメリカのウヨさんたちはこれをもってスウェーデンは社会主義国とみなして、「スウェーデンみたいな社会主義国になってしまうぞ!」と、善良な(あるいは愚昧なと言うべきか)アメリカ人を脅している。

 しかし、スウェーデンの成功の実際は次のようだ。

 「the Stockholm Solution」はあくまで金融システムのメルトダウンを防ぐ措置であり、アメリカ政府が自動車産業に対して行っているような民間企業への積極的支援は含まれない。これまで書いたように、スウェーデンは企業の救済をすることには非常に消極的だ。また、アメリカやフランスなどで見られるような保護貿易主義や経済ナショナリズムも、スウェーデンの過去の教訓とは関係がない。

 だいたい、右であれ左であれ、イデオローグの言説は物事の本質を自分に都合のよいように誤解したり曲解したりしたものをもとに構成されている。そのような誤解・曲解をおちょくるテレビ番組を「今」さんが紹介している。アメリカの「The Daily Show」というコメディー番組が放映したスウェーデン特集。題して「The Stockholm Syndrome」

 「社会主義国」スウェーデンがどんなに恐ろしい国で、人々が惨めな暮らしをしているのかを調査するために、スタンドアップ・コメディアンのWyatt Cenacがスウェーデンに渡った!

(管理人注:自動車が川へ転落しようとしている絵柄の道路標識の画像が貼り付けられている。)

 高い税金のおかげでお先真っ暗なスウェーデンでは、車までもが海に身投げするほど。

 と、ここまでの出だしは良かったのだけど、次第に明らかになるのは全く予期しなかったスウェーデン像・・・。あれっ、人々は普通に生活しているし、何だか幸せそうではないか・・・!

 しかし、Cenac氏は『資本主義の魅力とは、成功した者が報われること。スウェーデンのお金持ちはきっと贅沢な暮らしをして、大きな家やテレビをいくつも所有し、「社会主義」の社会に不満を漏らしているに違いない』と思い直し、スウェーデンのポップスター、ロビン(Robyn)を自宅に訪ねる。

 だが、ここでも期待が外れる。しかも、最後の極めつけはロビンの台所で見つけたあるもの。
「スウェーデンではポップスターも、こまめに牛乳パックを洗って、リサイクルしていた!」

 頭の中がすっかり混乱してしまったこのWyatt Cenacは、最後にスウェーデン人に向かってこう叫ぶ。

「Wake up, people! You are living in a socialist nightmare!」

 「社会主義」に向かおうとしているアメリカの将来がどのようなものなのか? それを探るためにCenac氏は、身の毛もよだつような恐ろしいスウェーデンの旅をさらに続ける。

 今度は、スウェーデンという恐ろしい社会主義国家を作った責任者の責任を追及すべく、社会民主党の国会議員にインタビューすることにした。

 インタビューの相手はレイフ・パグロツキー(Leif Pagrotsky)、愛称パッガンと言う社会民主党の国会議員。中央銀行の職員をスタートに、財務省の政務次官など経て、外相・産業相・教育相などを歴任している。

「これまで国民を社会主義によって痛めつけてきたことを謝罪する気はあるのか?」
「謝罪することは何もない。むしろ、俺たちはアメリカに勝ったんだよ。」

それでも納得しないWyatt Cenac。社会全体によって国民の生活を支えるシステムも、イケア(IKEA)の家具のように壊れてしまうんじゃないのか!?

 そこでパッガン氏は非常に分かりやすい社会保障の講義をする。
「高い税金を取られるとしても、政府はそれを自分のふところに入れてしまうわけじゃないんだよ。必要に応じて、サービスとして現物給付で戻してくれる。」
Cenac氏「なるほど、つまりこれはgovernment-fundedということなんだね。」

 Cenac氏最後の頼みの綱は、Abbaのビョーン(Bjo"rn)。

 Abbaは「Money money money」や「The winner takes it all」などの資本主義賛歌(Capitalist anthem)を作ってきた。大金持ちの彼は、富の再配分の危険性を理解してくれる、世界で唯一のスウェーデン人かもしれない。

 しかし、ここでも期待は大外れ。American-inspired hitsを作ってきたビョーンが言うには、資本主義の絶賛ではなく、「非常にアイロニックな視点から“お金”を描写しているんだよ。」資本主義賛歌だと認めさせてインタビューを先に進めようとしても、頑なに拒む。

 極めつけは「Baconnaise」。ベーコンとマヨネーズを合わせた、この脂っこい食品が資本主義の恩恵だと説得しようとするが・・・。(こんなもの食べているから太るんだよ)

 退散していくCenac氏の捨て台詞
「I couldn't stay in a country that turns women into statues as pleasure creatures and men into bearded gnomes.」

 「今」さんのまとめのコメント。

 この短いエピソードには、もちろん誇張もあるのだけど、伝えようとしたメッセージとは結局、「FOX NEWSなどが描いている“社会主義国スウェーデンの恐怖”というプロパガンダがいかに根拠のないもので、スウェーデンという国でも人々は普通に生活しているし、むしろ満足している人もたくさんいるし、経済もアメリカと少なくとも同じくらい豊かなんだよ。」ということだと思う。

 アメリカの保守派が槍玉に挙げているのは、オバマ政権の大規模な経済介入や社会保障の改善などだが、これからの4年間、もしくは8年間のうちに、アメリカの社会が“まるでスウェーデンみたいに”なるわけでもないし、なれるわけでもない。だから、杞憂に過ぎないことを認めるべきだろう。

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 コメント
この記事へのコメント
当たり前だ。理屈よりも現実だ。右翼も嫌いだが、左翼は死ねばいい。
どれだけの無垢な人を殺したら気が済むんだ。歴史も殺して。
スウェーデンがそんなにイイならスウェーデン移住して、現実を味わってこいや。
俺は、理論武装と実力を用いて、社会主義者と傲慢な愛国者を、地獄へ落としまくっている。最近快感になってきている。
社会主義が進めば階級闘争も激化する。とはよく言ったものだ
東大の某教授にそれ言ったら何も言えなかったから、面白かったしな
左翼は口はウマいが現実離れ甚だし。
2009/10/06(火) 05:29 | URL | 憲法停止論者 #-[ 編集]
右翼が社会主義を恐れている? 寝ぼけたことを言うな。
右翼どころか、普通の人は皆、社会主義など非現実的でくだらない思想だと端から相手にしていない、というよりむしろ憐れんでいるのだ。
お前ら左翼には、恐れられるほどの力もないということを自覚すべきだ。弱い子犬が見栄を張るな。
2009/10/10(土) 01:38 | URL | 調子に乗るな #-[ 編集]
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