2006年9月4日 ホームページ『「日の丸・君が代の強制」と闘う人たちと勝手に連帯するレジスタンスの会』からの引越し完了しました。
「財源=税」問題を考える。(14)
消費税導入後の税制改悪(8)


 これまでに知ったことは、「金持ちから貧しい者への税・社会保障負担の付け替え」がおこなわれ、それが「収入の二極化と、収入に反比例した形の負担の二極化」を引き起こし、「日本における格差と貧困を増幅させてきた」とまとめることができよう。

 さて、第6章の終わりで富山さんは、1987年から2005年の年度ごとの「再分配所得の不平等度(ジニ係数)、租税・社会保障による再配分係数、租税負担率、社会保障負担率」をまとめた詳しい資料を用いて、「消費税導入後の税制改悪」を総覧する解説をしている。ここではこれまでの議論の総まとめの意味で、その結論だけ記しておく。

○所得の再分配について
 本来の意味での再分配(高額所得者から低所得者への配分)がなされていない。したがって、社会保障も本来の再分配とはかけはなれたものになっている。

○税・社会保障負担について
 政府は、日本の税負担は国際的にみて低いという口実をつくり、税・社会保障負担を合わせた「国民負担率」を50%以上に引き上げることを目標とした増税と社会保険料の引き上げを画策し、2000年以降、社会保険料では介護保険料を含む負担増と所得税の控除を中心に増税を続けてきた。
 個人課税、法人課税それぞれに最高税率・基本税率が引き下げられ、租税特別措置の温存・拡大があり、租税負担率は大幅に下がって当然なのに、それほど下がっていない。それは消費税の導入・税率引き上げ、所得税の諸控除の廃止・縮小の増税によって下支えされているためである。
 政府の目論む高額利得者のための利益保護政策を貧しい人たちが支えている構図がここにはっきりと現れている。

○社会保障負担について
 年々負担額、負担率とも増加傾向にあり、租税負担率が下がり、その分社会保障負担率が上昇するという、税金から社会保障負担への付け替え現象が起きている。
 保険料は高収入者であっても一定の収入額で頭打ちになってる。高額所得者の負担を減らし、中低所得階層の負担増で社会保障収支の帳尻を合わせていることを物語っている。

○税負担について
 高収益企業・高額所得者・大資産家への負担軽減のツケを、消費税と社会保障負担増という形で中低所得階層へツケ回しをしていることが明らかにみてとれる。

 2008年1月23日に財務省は、「国民負担率」が過去最高を更新する見通しになったと発表しました。再分配の原資を検証するためには「所得の再分配」と「国民負担率」を合わせてみることで、税・社会保障負担の実態と再分配の不平等度がいっそう鮮明に表されます。

 税・社会保障負担の応能負担を徹底することと所得の再分配を徹底することによってナショナルミニマム(最低保障)が達成できることを承知していながら政府はサボタージュしており、それをどのようにして本来の国民本位の制度に変えることができるのかは、国民も積極的に考えなければならない大きな課題です。

 次に富山さんは「貧困率悪化は非正規雇用の増加による格差拡大が主因」であることを、経済開発機構(OECD)による分析を通して論じている。

2007年9月20日、日本経済を分析した対日経済審査報告書

 「相対的貧困率」はOECD加盟国中最下位のアメリカの13.7%に迫る13.5%で日本はワースト第2位になり、ワースト第3位のアイルランドの11.9%より際立って高い数値であることが明らかになった。

 対日審査に出席した日本政府の代表は「格差の主因は高齢化による人口構成の変化」だとする日本政府の公式見解で反論したが、OECDは、高齢化は「格差の一因」ではあるが「主な要因は労働市場における二極化にある」と、これを退けた。

 さらに報告書は、格差の原因である正規と非正規の労働市場の二極化を是正することが重要な鍵だと指摘し、正規雇用者への「包括的な取り組み」を求めている。また、雇用水準に比べ相対的貧困率の高さは驚くべきことだと指摘している。

 また「税制改革については、所得分配への影響を考慮すべきだ」と勧告している。

2008年10月21日にOECDが発表した報告書『格差は拡大しているか』の分析

 加盟国平均で消費に税金をかけることによって格差を示す係数が、消費税がかけられていないときの0.299から0.321に大きく拡大している。この拡大幅は同平均で1980年から2000年にかけて拡大した数値に匹敵する大きさである。日本は0.309から0.316に拡大している。

 さらに同報告は際立った2つの特徴を示している。すなわち「第1に、消費税の重い負担が低所得者層に集中すること、第2に、全般的な消費税は、個別的な物品課税よりも低所得者の負担となっている。」

2009年9月16日、『2009年の雇用見通し』を発表

 つい二日前の報告である。そこでOECDは「日本では貧困層に占めるワーキングプア(働く貧困層)の割合が80%を超え、OECD加盟国の平均63%を大きく上回っている」と『日本の働く貧困層問題は深刻』という指摘をしている。

 さらに、「日本では就労者が少なくとも1人いる家庭の約11%が貧困に陥っており、トルコやメキシコ、ポーランド、米国に次いで5番目に高かった。」と報告している。ちなみに加盟国の平均は7%である。

 また、日本では昨年来の経済危機の影響で、パートなどの非正規労働者の数がことし7月までの12カ月間に3.6%減少した(いいかえれば解雇された)。正社員数の落ち込みは1.1%にとどまっており、非正規労働者の苦境が浮き彫りになったし、さらに「日本の非正規労働者の多くは失業保険などが適用されず、失職すると著しい経済的困窮に陥る」と指摘している。
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