2006年9月4日 ホームページ『「日の丸・君が代の強制」と闘う人たちと勝手に連帯するレジスタンスの会』からの引越し完了しました。
「財源=税」問題を考える。(13)
消費税導入後の税制改悪(7)


増税のターゲット・年金生活者

 年金生活者も、収入が減少した上さらに負担が重くなり、「広く薄く」「誰もが痛みを分かち合」わされた人たちだ。(私もその一人なので、身を以て痛みを感じている。)

 「高齢者は金持ちだ」などという物言いがあるが、そのような人はほんの一握りで、ほとんどの高齢者は収入への不安を抱えている。年金収入の額をみると
厚生年金の場合、現行水準は月額23万8000円ほどだが、年々減少傾向にある。
国民年金の場合、受給者は900万人を超えるが、月額平均は4万6000円(2005年12月)程度である。
 また無年金者は100万人を超えるという。

 高齢者の収入状況をみますと、共働き世帯は別として、年金収入だけでは生活が成り立たない人が多く存在し、その不足を給与所得で補っている人もいますが、現実には働く場所を探してもほとんどありません。

 日本の年金制度は、生活保障のための年金制度ではなく、生活水準の保持を目的とするもので、積み立てた額により受給額が異なる仕組みになっています。したがって、受給額で生活できることを前提とする「福祉」とはいえないものであり、現に議論されている「基礎年金」にしても、その額自体、最低生活水準には程遠い額です。それにもかかわらず、政府はその2分の1負担さえ、低所得者を含めた国民負担・消費税に特化した財源調達手段をとろうとしているのです。これは福祉というより民間の保険会社と同じ発想であり、「金を払わなければ支給しない」営利事業会社のような仕組みを政府は強めているのです。

 高齢者の税制を見ると、ここでも収入が減少しているにもかかわらずそれに反比例して税金や社会保障負担の増加していることが分かる。消費税導入時に消費税導入による増税への負担緩和策として創設されたり増額された老年者控除や配偶者特別控除や公的年金等控除などが、税制調査会の手により廃止・縮小された。約束を反故にする闇討ちのような増税である。この増税の実態を詳しく見てみよう。

 当初、公的年金は「給与の後払い」として給与扱いとしていた。したがって、経費的控除として給与所得控除を適用していた。それをなんの理由説明もせずに給与所得からはずし、どこにも区分されない「雑所得」に区分した。それに伴って、経費的控除は「公的年金等控除」と姿を変え、さらに、「年金の積立段階で掛け金を社会保険料控除として税金計算から控除したのだから、公的年金等控除するのは二重控除だ」という理屈をつけ、公的年金等控除を縮小し、結果的に今の制度に改悪している。

 65歳以上の年金生活者の場合
①公的年金控除の縮小
②老年者控除の廃止
③配偶者特別控除の廃止
の結果、それまでは所得税がかからなかった課税最低限387万7000円以下にいた人たちにも課税所得が140万円ほど生じ、所得税・住民税を合わせると少なくとも21万円を新たに払わされる結果になっている。この額は、消費税率に換算すると、収入比で5.4%の増税に匹敵する。厚生年金の当時の水準は月額23万8000円であり、夫婦2人の家族では9万円弱の課税増となり、消費税換算では約3%の税率アップに等しい負担増になっている。

 この発想は、社会保障といいながら社会保障を生命保険や損害保険と同等のレベルのものとして扱うのと同じ発想です。しかも、営利事業の保険会社の保険は優遇していながら公的年金についてはその控除額を減少させ、税・社会保障負担をより重くしてきているのです。このようなことによる被害は、所得の少ない人ほど大きいというのが特徴です。

 政府税制調査会は、「2008年度税制改正」答申で「女性の社会進出を促進するため、配偶者控除の廃止を含め見直す」としており、また、民主党の「税制改革大綱」(2007年12月25日)では「配偶者控除、扶養控除の廃止」を表明しています。

 これらの考えは憲法第25条の最低生活保障のための課税最低限を全面的に否定し、「世帯単位から個人単位」という発想で、現実の家族構成を全く無視した増税まっしぐらの道を進もうとする何物でもありません。世帯単位から個人単位の考え方を単純に税制に応用するのは間違いです。

 金融庁は、資産家、金持ち老人を対象とする減税策を財務省に要望すると報じられました(2008年8月23日日本経済新聞)。高齢者の株式投資を対象に500万円以下の譲渡益と100万円以下の配当金にかかる税金をゼロにしようというのです。麻生首相も自民党幹事長時代に株式投資から得る300万円までの配当を非課税にする案を提唱していました。

 減税する金があるのなら、生活できないでいる人に先に回すべきです。その人たちはその金を必ず使ってくれます。株で儲けるような人は儲けた金をすぐ使いません。経済をよくするには必ず使ってくれる人により多く配分することがもっとも良策なのです。

 さらに、毎年の保険料の引き上げで保険料を払えない人が増え、そうした人たちは1000万人を超えているといわれている。

 高齢者問題は、まずなによりも最低保障としての収入の確保が挙げられるが、そのほかに医療・介護体制や住宅の問題がある。小泉・竹中の構造改革は周知のように医療・介護体制をも破壊してきた。

 ヨーロッパなど福祉国家は、老後の生活を保障する全額国庫負担の最低保障年金などさまざまな制度をもっていますが、住宅・医療・介護などでも手厚い支援策がとられています。それらをモデルに日本も社会保障制度の根本的な改革、それも現今議論されているような制度ではなく、国民本位の制度改革プランを作り、国民に提示し、国民の納得を得ること、負担のあり方についても、その実現の国家的保障(国の責務として明確にする)の上に立った提起をすることが喫緊の課題でもあります。

 昨日、民主党・民主社会党・国民新党による新しい連立政権が発足した。この政権が, これまで見てきたような観点から、自公自滅政権が歪めてきた税制や雇用制度を抜本的に改正することができ、さらに公法においても民意を大幅に汲みとるようになれば(こちらはほとんど期待できないと、私は思っているが・・・)、この度の政権交代を「無血革命」と呼んでもいいだろう。

(「公法」については
「『国家意志』とは何か(1)」
を参照してください。)
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