2006年9月4日 ホームページ『「日の丸・君が代の強制」と闘う人たちと勝手に連帯するレジスタンスの会』からの引越し完了しました。
「財源=税」問題を考える。(11)
消費税導入後の税制改悪(5)


 大企業・高所得者・資産家の大減税の総額は約20兆円にのぼるという(詳しくは後ほど取り上げる)。税率5%の場合の消費税の総額は約10兆円だから、大企業・高所得者・資産家の大減税分は消費税全額を使っても埋まらない。自公自滅政府は、医療・社会保障・教育などの福祉の充実を名目にして、消費税率を10%に挙げる政策を打ち出していたが、高齢化社会対策を名目に導入された消費税がその名目通りには使われなかったように、今度も名目通りに使われるのかどうか、疑った方がよい。税率10%だと消費税によって大企業・高所得者・資産家の大減税分を埋めることができる。とっても見え透いていないか。

 現行の消費税では大企業・高所得者・資産家の大減税分は埋まらない。その不足分はどこからひねり出しているのだろうか。中小企業・労働者(サラリーマン)・年金生活者がそのターゲットだ。

税制改悪が中小事業者を追い詰めている

 いま、政府の政策で最も取り残されているのは中小企業対策です。それは、中小企業対策費も年々減少しており、一方では支払う根拠のない米軍への「思いやり予算」は中小企業対策費を上回る規模になっているというのが現実です。

 2008年12月15日に日銀が発表した12月の企業短期経済観測調査(短観)では、大企業製造業の業況判断指数(DI)が第1次石油危機と並ぶ約34年ぶりの大幅低下となったと報じています。この調査は、大きく分けて企業心理と経営内容の2つに分かれ、「判断項目」と「係数項目」で表わされますが、政府のGDP(国内総生産)と並び広く活用されています。

 大企業のDIは4期連続マイナスで、中小企業も連続してマイナスの状態になっています。大企業はその対策として守りの姿勢に入っていることから、中小企業・中小事業者は、これまで以上の生産調整や外注(下請け)単価の切り下げの圧力が強くなることが予想され、厳しい情勢を迎えています。

 政府は、大企業以上に影響が大きい中小事業者や勤労者に対する有効な対策を講じておりません。政府の「総合経済対策」にしても、5人のエコノミストの採点は、2人が70点で中小企業向け新保証制度などを評価していますが、残りの3人は35点、30点、10点と落第点を示しており、木内登英氏(野村証券金融経済研究所チーフエコノミスト)は
「中小企業の資金繰り支援など"後ろ向き"の対策が多い。中小企業を強くする政策を増やすべきだ」
と辛口の評価をしています(2008年8月30日 日本経済新開)。

 中小事業者は「仕事がない」「収入が激減している」状態にあり、先にそのことの対策がない限り金を借りても当面返済の見込みが立たない状況にあります。安定した仕事が確保されることを最優先課題とすることが最も求められている問題です。

 そのような状況の中で、税・社会保障負担が、中小事業者にとっては大変な負担になっている。その実態を見てみよう。

1 消費税負担の問題

 消費税は本来商品価格に上乗せ(転嫁)することを予定しているもので、中小企業は大企業にくらべ価格決定の競争条件が弱く、なかなか上乗せできない。そのため、いわゆる「益税」(受け取った消費税を納税しない)どころか、「損税」(受け取れないため自腹を切る)になることが多いのが実態である。

 また、繁雑な消費税事務の負担を緩和するために一定額の免税や簡易な計算を認める簡易課税制度が設けられたが、繁雑さは一向に解消されていないにもかかわらず政府は一方的にその制度を改廃した。そのため新たに課税される零細事業者が増え、滞納が増加した。ところがその滞納に対する国税当局の徴収方法が年々権力的になり、事業の経営と生活を圧迫してきている。

2 課税所得算出の改悪(実質的な増税)

 事業者の場合、所得税の課税所得算出にはまず、収入-経費=所得(利益)という計算を行う。その計算における経費の項目に、配偶者やその他の家族が事業に従事した場合、記帳が不十分な納税者(白色申告者)に対し支払った給料を経費として認めないという規定(所得税法56条)で差別的扱いをしている。現実に働いていることを確認できても家族従事員の場合は認めないとしている。その代替措置としては事業専従者控除の名で配偶者の場合80万円、その他家族の場合は50万円の額を事業主の所得から控除されるだけである。(隣の人が働きに来る場合はその給与は全額認められる。)

 この法律は例外規定として青色申告者(正確に記帳している人で申請した人)には、配偶者やその他の家族でも専従者給与として経費を認めている。

 これは明らかに青色申告をしていないということへのペナルティであり、実際に労働しているにもかかわらずそれを確認しながら労働の対価を認めないというのは社会通念からいってもおかしな理屈です。

 それは「所得とは何か」の規定が不十分であることに由来するものであり、憲法違反でもあります。外国にはこのような理不尽な規定はありません。所得税法が欠陥税法であることを示す一例です。

 本来仕事に従事している勤労者に対する労働の対価としての賃金の支払いは、国の権限で額を決めるものではなく、雇用者の権限で決められるものです。税務当局のいう「所得分散」(累進税率を逃れるために所得を幾人にも分け、低い税率にする方法)であるとしたなら、その事実を指摘し納得させることはできても、現実に支払っているものを否定することは税法の枠を超えたものであり、課税権の逸脱といえます。国税当局のとっている行為は権力による一方的な低賃金の固定化であり、ワーキングプアーを国として作っている行為です。

 所得税法第56条についてはかなりの地方議会が反対決議をしており、社会的にも非難されて当然なものです。1日も早く解決すべき不公平税制です。このことは、それでなくともむずかしくなっている中小事業者の後継者育成を「給料がもらえない」という形で阻害していることにもなっています。

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