2006年9月4日 ホームページ『「日の丸・君が代の強制」と闘う人たちと勝手に連帯するレジスタンスの会』からの引越し完了しました。
「財源=税」問題を考える。(10)
消費税導入後の税制改悪(4)


資産家の大減税

 資産と言うほどのものは何ももたない私には資産家に対する課税など全く無縁だし、関心も持ってこなかった。改めて資産家に対する課税について学習することとなった。

 資産家に対する課税として、資産性所得への課税、有価証券取引税、相続税の三点を見てみよう。

(1)資産性所得税の大減税

 資産性所得とは利子、配当、不動産、一時所得、雑所得のほか、不動産や株式の譲渡所得などである。

 これら資産性所得にも所得税・住民税が課税されるが、その大半は総合累進課税からはずされ、分離課税・比例(低率)税率という課税形態になっている。政府の方針では、これら資産性所得は、勤労性所得(事業所得や給与所得)と切り離して二元的所得税構想を目指して税制改正を着々と進めてきている。

 簡単ないいかたをすれば、額に汗して稼ぐ勤労所得については総合課税・累進税率という重い税金を課し、働かなくとも所得が得られる不労所得の資産性所得については分離して低い比例税率にし税金を軽くしようというのです。

「構造改革」路線の中で、竹中平蔵氏は「貯蓄から投資へ」と1500兆円に及ぶといわれる貯蓄に目を付け、株や投資にその資金を回そうと企てたのです。民主的な課税のあり方として「勤労軽課・不労重課」の原則というものがあります。額に汗して得た所得には軽く、働かずして稼いだ所得には重い税金をかけるという考え方によるものです。しかし、現行税体系は、それとは逆の仕組みになっています。

 収入の二極化のところでも説明しましたが、高収益企業の莫大な利益は、勤労者の賃金や下請け単価の引き上げには向かわず、役員報酬の大幅引き上げと株主への高配当という分配に主力を注いでいます。現在の世界同時不況下でも高配当は続けられています。

 ここで富山さんは『プレジデント』誌(2007年12月3日号)に掲載された配当金額表を参考に、次のような二つの観点から、どれだけ減税になっているのかを試算している。


 消費税導入後の高取益・高収入者を優遇するための税制改革は非常に極端であった。配当課税や株式譲渡に至っては、消費税導入直前の65%を10%にまで大幅引き下げ、大減税を行っている。これに着目して導入前との比較をする。

 現行法ベースで総合課税した場合の課税額と比べて、その減税額を算出する。

1位 任天堂相談役山内淳
受取配当額 97億7286万円
 1の場合の減税額 34億2085万円
 2の場合の減税額11億7286万円

 『プレジデント』誌の資料は自社株のみを対象にしている。このクラスの人たちは他社の株もかなり持っていると考えられる。それも加味すると、受取配当は100億を超すものと思われる、と富山さんは推定している。

2位 ユニクロ社長柳井正
受取配当額 63億1085万円
 1の場合の減税額 22億880万円
 2の場合の減税額 7億7286万円

 柳井正の場合、前回紹介した給与所得控除よる減税額を加えると25億円を超える大減税額になる。

3位 アイフル社長福田吉孝
受取配当額 40億4838万円
 1の場合の減税額 7億7286万円
 2の場合の減税額 4億8582万円

4位 SANKYO会長毒島邦雄
受取配当額 40億1400万円
 1の場合の減税額 8億8308万円
 2の場合の減税額 18億630万円
(配当軽減税率10%適用者)

5位 松井証券社長松井道夫
受取配当額 34億4563万円
 1の場合の減税額 4億1348万円
 2の場合の減税額 12億597万円


 富山さんは、上位5名のほかに、自公政府の政策づくりに深くかかわってきた財界代表者たちが受けた減税額を試算している。彼らも相当な恩恵に浴している。

トヨタ自動車名誉会長豊田章一郎
受取配当額 13億4064万円
 1の場合の減税額 2億9494万円
 2の場合の減税額 6億329万円
(配当軽減税率10%適用者)

ソフトバンク社長孫正義
受取配当額 8億3036万円
 1の場合の減税額 9965万円
 2の場合の減税額 2億9063万円

トヨタ自動車社長豊田章男
受取配当額 5億4720万円
 1の場合の減税額 1億2036万円
 2の場合の減税額 2億4622万円
(配当軽減税率10%適用者)

トヨタ自動車相談役奥田碩
受取配当額 768万円
 1の場合の減税額 93万円
 2の場合の減税額 269万円
(配当軽減税率10%適用者)

キヤノン会長御手洗富士夫
受取配当額 923万円
 1の場合の減税額 203万円
 2の場合の減税額 415万円
(配当軽減税率10%適用者)

オリックス会長宮内義彦
受取配当額 511万円
 1の場合の減税額 113万円
 2の場合の減税額 230万円
(配当軽減税率10%適用者)

(2)証券優遇税制

 小泉・竹中政府は「貯蓄から投資へ」のスローガンをかかげて、それを促進するため証券優遇税制を押し進めた。

 2003年にそれまでの20%の比例税率が半分の10%に軽減され、それに時を同じくして支払い配当額が2倍近くに急上昇した。個人株主の売買額による所得でみると、4年後には7.1倍にもなっている。

 2008年10月27日付「赤旗」紙によれば、2006年の株式譲渡による減税額は申告所得税だけで2322億円にのぼり、申告所得の合計額が100億円を超える10人の減税総額は約183億円に達している。

 国際的にみると日本の配当所得課税や譲渡益課税はアメリカ・イギリス・フランス・ドイツの諸国と比べ、2分の1か3分の1という低さだという。

(3)相続税の減税

 相続税は所得の再分配がもっとも求められる税制である。従来財産相続には、生活用財産や中小商工業者の事業用資産を除き、高い税率での負担が求められてきた。しかし、相続税の最高税率75%であったものが、1988年には70%となり、2002年には一気に50%に引き下げられた。この税率は、「各法定相続人の取得金額が20億円超」の場合に適用されるもので、相続人が配偶者子2人の計3人とすれば、相続財産は60億円超の人に適用されるという、ごく限定された人の場合であり、国税庁の統計によれば年間20人前後といわれている。

 最高税率を下げる一方で、2009年度税制改悪では、一般庶民の相続税課税強化の検討が進められていた。基礎控除の引き下げによる課税強化である。結果は先送りになったものの、次年度以降に基礎控除引き下げによる増税が検討されることは確実な情勢だといわれている。(政権交代がどう影響するのかしないのか、注目される。)

 ごく少数の大資産家が優遇され、ローンの支払いも済まない生活用財産程度の庶民にまで苛酷な税金を課そうという政府税制調査会の姿勢は問われなければなりません。資産家や金持ちへの大減税のツケを庶民の増税で賄おうとするやり方は、法人税の減税資金に消費税を当てようとする動きと同一のものです。

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