2006年9月4日 ホームページ『「日の丸・君が代の強制」と闘う人たちと勝手に連帯するレジスタンスの会』からの引越し完了しました。
「財源=税」問題を考える。(9)
消費税導入後の税制改悪(3)


 消費税導入後、大企業が大儲けをしている一方、中小企業は青息吐息の状況で倒産する会社が増えている(中小企業の問題は後ほど取り上げる)。そして個人所得の面でも、高額所得者の大減税の一方、労働者(サラリーマン)・年金生活者に対しては増税が行われ、貧富の二極化が顕著になってきている。労働者(サラリーマン)・年金生活者に対する増税については後ほど見ることにして、今回は高額所得者の税金がどのようになっているのか、具体的に見てみよう。

高所得者の大減税

 2007年分の確定申告者のうち、所得金額が10億円超の395人の内訳は事業所得者が11人で、残りの384人は給与所得(報酬)が中心の人で占められている。前回、企業の儲けが大企業の役員報酬として多額に支払われていることを知ったが、そのことが確定申告にもはっきりと現れている。
所得100億円超が9人
50億円超100億円以下が27人
20億円超50億円以下が92人


 このような高額所得者の税はどうなっているのだろうか。  富山さんはまず、最高税率引き下げの不合理性(高所得者ほど減税額は多くなる)を示すため、消費税導入前と比較する試算を行っている。

 所得税の最高税率は消費税導入前の75%が、地方税への税源移譲前までは37%まで引き下げられている。最高税率引き下げは1986年頃からを始まったが、消費税導入直前の税率65%との比較で、その試算は行われている。

 それによると、2005年分確定申告で課税所得2000万円超の納税者は27万7073人(所得税申告者の0.03%)で、その人たちの減税額の合計は2兆133億円に達する。この減税額は、小泉政権時代における労働者・年金生活者の増税額1兆6860億円(定率減税の廃止分を除く)を大きく上回っている。

 この間の社会保障の負担増や給付減と比較しても、医療・年金を除く、介護保険・雇用保険・大学授業料の引き上げ・生活保護の老齢加算や母子加算廃止・年金給付減・失業手当減・障害者医療の縮減と自己負担増の額を上回る大減税を一握りの金持ちに与えているのです。

 さらに具体的にどの階級がどれだけ減税になっているのかを、課税所得別に見ると、(1人当たりの平均)
5000万円超 2337万円
3000万円超 499万円
2000万円超 243万円
という大減税になっている。

 では、これら大減税の恩恵を受けているのはどのような者たちなのか。5000万円超の所得階層では
豊田幸一郎(トヨタ自動車名誉会長)
奥田碩(トヨタ自動車相談役=前日本経団連会長)
御手洗富士夫(キヤノン会長=現日本経団連会長)
宮内義彦氏(オリックス会長)
西室泰三氏(東芝会長)
などで、その報酬額が1億円を超える高額所得者である。これらの人物は財界を代表する人であり、また、政府の主要な政策会議である経済財政諮問会議、規制改革会議、税制調査会、財政制度審議会、産業構造審議会、社会保障審議会等々の主要メンバーでもある。

 見方を変えれば、この人たちは消費税が100%になろうが、所得税の所得控除がゼロ(全廃)にされようが、既にそのことによる増税額を大きく上回る減税額を長年にわたって享受しているわけであり、それらの増税では痛くも痒くもない額なのです。

 所得税の最高税率引き下げによる減税額は、消費税導入以降2004年分までの累計額で22兆3369億円(筆者試算)という膨大な額になり、確定申告者だけでみた割合でも0.03%というごく限られた階層への恩恵となっています。

 収入の二極化の一方の側(高額所得者)への負担の減少は、財務省総合政策研究所の報告書でも「最高税率の引下げが格差を拡大している」と指摘されており、所得の再分配を損なっています。不公平税制の是正として早急におこなわなければならない喫緊の課題です。

 次に富山さんは、高額所得者の大減税のカラクリの一つとして、給与所得控除の不合理性を挙げている。

 所得税法では給与所得控除の規定は、収入180万円までは40%、30%、10%と所得階級別に割合を区分している。1000万円超の部分については5%であるが、上限の定めがない。つまり、収入額が多くなればなるほど多額の控除ができる青天井方式になっている。

 考えてみれば、多額な収入の人には企業の役員や高級官僚が多く、一般サラリーマンと比べ仕事にかかわる費用については企業で賄われていることもあり、給与所得控除の青天井は実態に反する不公平税制なのです。

 前回、大企業利益の分配が第1に役員報酬の急増となっていることを指摘したが、これを高額所得者の給与所得控除分の減税という観点から詳しく見てみよう。

 日産自動車役員の場合、平均給与所得控除を試算すると1651万円になり、平均的サラリーマンの給与の約4年半分に匹敵する額が控除されている。

 サラリーマン平均給与でみた給与所得控除額は年142万円で、月換算で12万円弱である(2004年分での試算)。それにひきかえ高額所得者トップの柳井正(ユニクロ会長)の場合は年収が29億3627万円あり、その収入で給与所得控除を算出すると、1億4851万円という膨大な額になる。サラリーマン平均年収の33.8年分という額が経費として控除されることになっている。この仕組みは給与所得控除が「青天井」になっていることによる不合理性に問題があることを示している。
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