2006年9月4日 ホームページ『「日の丸・君が代の強制」と闘う人たちと勝手に連帯するレジスタンスの会』からの引越し完了しました。
「財源=税」問題を考える。(8)
消費税導入後の税制改悪(2)


 大企業や高収益企業は、不況期にあっても高蓄積を続けてきた。それではどのようにして利益を上げてきたのだろうか。

企業の税・社会保障負担における優遇措置

 当然のことに利益を上げている少数の企業と、とんとんか赤字の企業もたくさんある。その中で景気を引っ張ったのは輸出企業であり、海外進出企業が中心となって景気を持続させてきた。業種的にみますと、自動車、家電、情報産業である。

 経済産業省委託調査の「公的負担と企業行動に関するアンケート」で、生産拠点を海外移転する理由(複数回答)を問う項目がある。その結果は
1位 労働コスト84.7%
2位 海外市場の将来性65.1%
3位 取引先の海外移転47.6%
4位 その他のコスト42.8%
5位 税・社会保険料負担40.2%
であった。税・社会保険料負担は5番目であり、これを海外進出の理由とする意識は低いと言える。この企業の判断は、企業の税・社会保障負担の国際比較からも、妥当な判断であることが分かる。

企業の税・社会保障負担の国際比較

自動車産業
 日本   30.4%
 ドイツ  36.9%
 フランス 41.6%

エレクトロニクス製造業
 日本   33.3%
 ドイツ  38.1%
 フランス 40.2%

 日本では税・社会保険料の負担の面で、企業が優遇されていることが分かるとともに、海外進出企業が日本以上の税・社会保険料の負担をしても利益を上げている実態が裏づけられている。

リストラによる収益増

 財務省の法人企業統計をみても10億円以上の大企業は増収増益であっても人件費などの抑制により利益の蓄積を増やし続けてきたことが分かる。企業の人件費抑制策は、今では周知の事実となっているように、派遣労働者の拡大など正規社員から非正規社員への置き換えを急速に進めることであった。

 この大企業の意図を政治政策として、自公政府はいわゆる「規制緩和」を強引に押し進めていった。その結果、非正規雇用者は労働者の3人に1人という状況が作られ、大企業は3社に1社が最高益を更新するというバブル期の2倍を超える好決算を得ている。このような「安上がり労働者」を酷使する大企業の貪欲な儲け主義が今日の日本の社会や経済の由々しき破綻をもたらしたことも、今では周知のこととなっている。

 財務省総合政策研究所の報告書(2006年)によると、35歳以上の「中高年フリーター」が2021年には現在の3倍の146万人になると予想されている。そして「正社員になれないことで失われる可処分所得は年4兆4000億円で、名目GDP(国内総生産)を0.9ポイント押し下げる」としている。

高収益企業の利益の行方

 いざなぎ景気を超えるといわれた景気高揚の中で、大企業は莫大な利益を挙げていった。その莫大な利益は、そこで働く労働者の努力のたまものであるのに、労働者の収入は減少し、格差と貧困が拡大し、国民の生活は窮地に追い込まれていった。利益は確実にあがってるのに、2002年以降、大企業での労働分配率は連続して低下している。では、その莫大な利益はどこに消えてしまったのか。

 莫大な利益の行方は、大まかに次の三つに絞られる。

 役員報酬が急膨張している。

 株主への配当が急激に増えている。

 それで残ったものは内部留保として蓄積している。

1について
 役員報酬の2006年分1人当たり平均額
日産自動車  2億9623万円
ソニー    2億3757万円
住友商事   1億3897万円
コマツ    1億2914万円
マツダ    1億2666万円
トヨタ自動車 1億2088万円

2について
 2003年から証券優遇税制によって株式配当や株式譲渡益の税率が所得税と住民税を合わせて、それまで20%だったものが10%と半分になった。所得税最高税率は現在40%だから、高額配当者は4分の1になる大減税である。総合課税でみると、消費税導入前の6分の1という大減税になっている。この租税特別措置が引き金になって配当の支払い金額が急膨脹していった。

3について
 内部留保増加の要因は租税特別措置拡大と税率引き下げある。課税の公平という観点からみると、企業課税における最大の問題点は、儲けた額に応じた税負担をしないですむ仕組み(税制度)になっていることである。その仕組みは、大別して2つある。

(1)
 儲けのすべてを課税対象としない仕組みになっている。具体的には、
①費用でないのに費用として認める制度(利潤の費用化=引当金・準備金・特別償却)
②利益であるのに利益でないとして除外する制度(利潤の資本化=株式発行差金・受取配当益金不算入)
③資本を少なく見積る制度(過小評価)
④税負担の公平を著しく損なわせている制度(税額控除・外国税額控除・連結納税制度)
⑤税の執行上著しく公平を損なわせている制度(公益法人課税)


 利益を実際の額より過少にすることができる仕組みが、外国に比し日本にはあまりにも多いのが特徴的です。一般的にいわれる「課税ベースの縮小」(税額を計算する際の基礎となる課税所得)です。これら租税特別措置は利益を多く上げたものほど多額になり(利用できる金額が多くなる)、そのことによる減税額も収益に比例して多くなります。

(2)
 もう1つは、法人税基本税率引き下げによる減税策である。これは消費税を3%から5%に増税したことによる不況に対処するため「定率減税」や法人税の基本税率引き下げ、所得税最高税率の引き下げを1つの法律で決めたものだった。そかしその後、定率減税のみ廃止し、法人税基本税率や所得税の最高税率は同じ理由でありながら元に戻さなかった。それは高収益企業・高額所得者優遇の不公平税制の拡大であった。ここでも自公政府は国民を欺いている。

 消費税導入前には43.5%あった法人税率がその後数次にわたって30%にまで引き下げられた。これによって例えば、トヨタ自動車のような大企業はこれまで年間1兆円を超える高利潤を上げており、この場合減税額は1000億円を超える。前出の租税特別措置による課税所得の縮小では、2007年3月期で5747億7400万円(国公労連試算)もの減税となっており、それに税率引き下げ分が加算される大減税額となる。

 トヨタ自動車の儲けによる蓄積額(内部留保額)はこの期で、従業員1人当たりなんと1億2251万円にもなる。これを用いれば、トヨタ自動車の労働者の大幅賃上げが可能だし、また期間労働者、派遣労働者の首切りをしないですむ原資にもなるはずだ。

 品川正治(経済同友会終身幹事)さんが「昔の経営者は、儲かったものはまず従業員に配り、その余りを経営者がもらったが、今の経営者はその逆だ」と苦言を呈している。

 従業員が頑張って働いてくれたからこそ利益が上げられたのであり、役員だけで儲けたといわんばかりに役員報酬を巨額にしたり、株主への配当を倍増するなど、労働分配率を低くすることが一流の経営者と考えているような経営が最近とみに目立ってきています。

 「昔の経営者は儲けをまず従業員に分け…」の話をトヨタの経営者は考えてほしいものです。なぜなら役員報酬を1億数千万円も経営者はもらっているのですから。

 最後に富山さんは法人税に関連して、政府や官僚の出す資料を鵜呑みにしてはいけないという例を提示している。

 現在、法人税率は30%であるが、租税特別措置により課税所得が大きく減少することにより、税額は本来の利益に対して計算する税額とはかなり異なった額になる。しかし財務省で計算している実効税率は、租税特別措置による減税額を課税ベース(課税所得額)から除外し、減税分を少なく計算している。従って、財務省発表の実効税率は、実効税率を客観的に表したものとはいえない。

 租税特別措置によって実質税率がどれだけ下げられているかを示す試算(国公労連)がある。例えば大企業がほとんど採用している連結法人(完全支配関係にある企業グループを1つの納税単位とする)の場合、実質税率は1.7%と極端に低く、資本金100億円以上の法人も4.8%と財務省試算の28.0%、27.7%とは大きく開いている。租税特別措置が大企業にいかに有利な仕組みになっているかがよく分かる。

 強欲財界は、さらなる法人税率の引き下げ(30%→10%)を要求しているという。
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