2006年9月4日 ホームページ『「日の丸・君が代の強制」と闘う人たちと勝手に連帯するレジスタンスの会』からの引越し完了しました。
「財源=税」問題を考える。(3)
各種審議会の仕組み


(やっと本題に入ります。『消費税によらない豊かな国ニッポンへの道』の第5章を読みます。)

 少数派のブルジョア階級だけでは、もちろんブルジョア独裁を貫徹することはできない。議会制民主主義という建前民主主義に他の諸階層諸階級の相当数を取り込むことが必須の条件となる。1970年代、高度経済成長のおこぼれに預かって、一億総中流化時代と呼ばれた頃まではその戦略は功を奏していた。「議会制民主主義=真の民主主義」という誤解がしっかりと根付いたのもこの頃だったろうか。

 一方、被支配階級の抵抗権の弱体化に成功した支配階級(政官財)は傲慢となり、議会制民主主義(ブルジョア民主主義)の本質を忘れ去り、他の諸階層諸階級をないがしろにした。その誤謬の根源は「イデオロギー(階級対立)の終焉」という妄論にあったろう。特にこの10年間は他の諸階層諸階級を徹底的に痛めつける国家意志を強引に押し通してきた。今回の総選挙における自民党・公明党の惨敗の真の原因はその点にある。そういう意味では今回の総選挙の結果は革命の始まりと言ってよいかも知れない。

 とはいえその間、支配階級は他の諸階層諸階級を全く無視していたわけではなかった。国家意志を貫徹するための通過儀礼として、支配階級は被支配階級の要求(民意)を取り込むポーズだけはとり続けていた。その最たるものが、小泉が始めたタウンミーティングという擬式である。やがてそれがまやかしであることが、安倍が強行した教育基本法改悪時の「やらせタウンミーティング」で明らかになった。

 小泉による悪政・「構造改革」は小泉内閣時に唐突に出てきたわけではない。それ以前から伏線は引かれていた。ここ10年ほどの、自公による国民生活破壊の過程を簡単に振り返ってみよう。

① 1997年橋本内閣
 「変革と創造」6つの約束(行政委員会最終報告)
② 1999年小渕内閣
 「日本経済再生の戦略」(経済戦略会議最終報告)。現在その禍根がいよいよ明らかになってきている周辺事態法(日米ガイドライン)・憲法調査会設置法・国旗国歌法・通信傍受法・住民票コード付加法(国民総背番号制)などの悪法はこの内閣の手になることを忘れまい。
③ 2000年森内閣
 「経済構造の変化と創造のための行動計画」(IT戦略会議)の3つの歴代内閣における基本戦略の実行を約束。首相就任最初の所信表明演説で、「処方箋はすでに示されている。私が成すべきことは、決断と実行であります」と述べている。
④ 2001年~2006年小泉内閣
「構造改革の考え方一活力ある経済社会の創造」によって、「市場プログラム」のもと広範な政府業務の民間委託化の道が開かれた。具体的にまとめると次のようである。

(1) 規制改革
 規制緩和「官から民へ」の構造改革特区(民営化、民間委託、市場化、道路公団、郵政公社など)
(2) 税制改革
 持続的な経済社会への活性化
(3) 歳出改革
 簡素で効率的な政府(歳出の質の改善と規模の抑制)
(4) 地方の自立・活性化
 「国から地方へ」、補助金・交付金・税源配分の三位一体化(地方分権と称する財政の集権化は捨てない)
(5) 日本の魅力の再生
 観光振興、都市再生、対内直接投資
(6) 暮らしの構造改革
 食の安全確保、世界最先端のIT国家など
(7) 持続可能な社会保障制度
 給付と負担のあり方、持続可能な年金、医療制度など(社会保障制度のスリム化、企業の社会保険負担軽減 ― 民間保険会社の業務拡大)

 歴代内閣における基本戦略に共通しているのは、いわゆる「小さな政府づくり」と「規制緩和」を中心とする「構造改革」であり、それが小泉内閣によって集大成化された。字面はきれい事が並んでいるが、その実態はこの国の惨憺たる現状が如実に示している。

 また、もう既に周知のようにこの「構造改革」は、アメリカ・財界から指示を受けて政策化されたものである。「小さな政府」を目指す政策目標を改めて列挙すると

 政府がやっている仕事を民間に移す(民営化、民間委託など)

 社会保障制度のスリム化をおこない、民間企業の税・社会保険料の負担を軽くする

 政府の仕事を縮小させることによって、民間企業の活動の場を広げる(健康保険の縮小による民間会社の業務分野の拡大など)

 また、今日の派遣切りなどを生み出した元凶の規制緩和の基本にある考え(新自由主義・市場至上主義)は次のようであった。企業が儲かるような経済構造にするためには企業の手足を縛ることなく、企業に自由に活動させる方がよいとし、そのためにはまず何よりも規制緩和が必要だとした。労働に関する規制緩和を例にとれば、橋本内閣、小泉内閣ともに、労働者派遣法の規制緩和をおこなうなど、労働の規制緩和に精力的に取り組んできた。

 さて、「国民各層の意見・要望を行政府に反映させる」という建前で設立されるが、実態は総資本意志の全面的取り込みを行っている曲者がある。各種審議会である。全体像が分からないほどたくさんある。その数はおよそ百数十といわれている。また、小泉内閣発足時に30余が新設されたと伝えられている。開店休業状態のものや大臣の私的懇談会なども含めると、一体どれくらいになるのだろうか。以下は、2004年に小池晃参議院議員(日本共産党)が資料請求して明らかにした各種審議会の実態である。

 政府の各種審議会で2つ以上兼職している委員が12省庁所管の委員1760人(定数の合計)の中で延440人おり、4人に1人にのぼる。この実態は明らかに「国民各層の意見・要望を行政府に反映させる」という審議会設置の目的から大きく逸脱している。

 兼職委員の多くは、経済および産業に関する事項について論議する産業構造審議会(経産省所管)で委員27人中19人(70・4%)もおり、兼職先は、中央教育審議会、社会保障審議会、財政制度審議会など各省庁の主要審議会にわたっている。3つ以上兼職している委員は166人で全体の9・4%、内4つ以上は45人もおり、最も多いのは木村孟大学評価学位授与機構長の中央教育審議会長(当時)の5つだった。

 財界代表では、奥田碩(トヨタ自動車相談役)日本経団連会長(当時)は4つを兼職、森下洋一(松下電器産業会長=当時)税制委員会委員長も4つ兼職していた。全省庁の審議会予算(2004年度)の委員報酬額は11億6400万円にのぼり、委員の最高報酬額は宇宙開発委員会(文化省所管)会長の月額131万7000円である。当然、兼職が多いほど受け取り報酬額も増えることになる。
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