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《「真説・古代史」拾遺編》(70)

「邪馬台国」論争は終わっている。(9)


 古田さんによれば、『三国志』における一字一音表記法の規則は次のようである。(論証は省略する。)

 『三国志』における表記法は、けっして「純音韻主義」的表記ではない。
()
 「音韻の一致」でなく、「音韻の類似」のみが必要とされている。
()
 対象の内実にふさわしい字面の意義が重視されている。
 また、万葉仮名でいう甲類乙類が区別して表記されているという表記法則性の立証はない。

 上のルールの具体例として、古田さんは「伊都国」という表記の分析を行っている。(以下は論文「邪馬壱国の諸問題」の補注2による。)

2 「伊都国」という表音表記の意義

 現地音「い」「と」に相当する表記として「伊」「都」という漢字が用いられている。この表記を、上の()「対象の内実にふさわしい字面の意義」という観点から、古田さんは次のような分析をしている。

 「倭人伝」中の一文「南、邪馬壹國に至る。女王の都する所。」によれば、邪馬壹国は倭国の王の「都」(倭王の治所)としてとらえられている。では、倭王の治所ではない「いとこく」になぜ「伊都国」という表記を用いたのだろうか。数多い「と」という音の文字(万葉仮名では甲類は25字、乙類は21字ある。)の中から特徴ある「都」字を選んだのにはそれなりの理由があるはずだ。

 この「伊都国」という表記は、洛陽にあった史官陳寿にとって、深い典拠と類縁を有したものであると考えられる。なぜならば洛陽の近傍にこれと相関する字面をもつ「伊闕」の地があったからである。

(「伊闕」の用例を『史記』や『淮南子』などから6例引用しているが、略す。)

(中略)

 「伊闕」の「闕」は、天子の居所たる宮殿の意義であり、「伊」は「伊邇」(イジ、“コレチカシ”の義で、近傍なるをしめす)の熟語にある発語の辞である。

(『詩経』から「伊邇」の用例を引用。略す。)

 「伊」そのものに直接「近」の意義があるわけではないけれども、この『詩経』の著名な詩句のイメージからしても、首都洛陽なる宮闕の西南関を擁する地として、「伊闕」地名は、きわめてふさわしき字面として洛陽の人々には感ぜられていたであろう。(この地に「伊水」もある。『史記』秦本紀正義、注水経)

 しかも、先の淮南子の例Cにあるように、この「伊闕」をひらいたのは聖天子禹である、という伝承がともなっていた。この禹の東治、五服の制を典範としつつ、その古制(夷蛮の王の、中国の天子への朝貢の礼)を今に守る国として、倭国を描き、その中心国家として「邪馬壹国」の名をはじめて記したのが『三国志』の著者陳寿であった。

 こうしてみると、この女王の都する国の西隣にあって、「郡使の常に駐まる所」として、その関塞の如き位置を占めた「伊都国」に対して、「伊都」の字面があてられたのは偶然ではないであろう。

 すなわち、この「伊都」の「都」は、その地そのものを「都」と見なしているのではなく、ほかならぬ「邪馬壹国」のことを指しているのである。すなわち、「伊都」「都」とは「女王の都に遠からず伊邇たる地」の意義をもつのである。

 これは中国側の「伊闕」が「宮闕」の存する当の地ではなく、中心地洛陽に隣接した関塞であったのと同様なのである。

 わたしは(中略)邪馬壹国の所在地をもって、“博多湾に臨む平野部とその周辺山地”として指定した。この解読結果は、伊都国をもってまさに“隣接した近傍の地”とする点、この字面の意義ともよく適合しているのである。

 以上の考察を要約しよう。

()
 倭人伝で「ト」音として用いられているのは「都」である。

()
 この「都」字は、意義上からも倭国の首都にあてる表記として、もっともふさわしい。

()
 それ故、「女王の都」の現地音がもしかりに「ヤマト」(大和・山門等)であったならば、当然それは「邪馬都」と記せられたはずである。

()
 しかるに『三国志』倭人伝に「邪馬都」というような表記が採用された痕跡は絶無である。

()
 それ故、この四点の論理から検しても、『三国志』倭人伝の中心国名を「ヤマト」という現地音の漢字表記と見なそうとする、一切の試みは遂に空しいことが確認せられるのである。

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