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2006年9月4日 ホームページ『「日の丸・君が代の強制」と闘う人たちと勝手に連帯するレジスタンスの会』からの引越し完了しました。
昭和の抵抗権行使運動(106)

『独立左翼論』を読む(18)


 三上さんは大学入学早々から60年安保闘争に加わり、以来1975年に叛旗派を退くまで一貫してブント系の組織で活動を続けてきた。日大闘争・東大闘争という全共闘運動の最高揚期の後、新左翼運動は衰退期に入るが、三上さんは当時の状況を次のように分析している。

 僕は、1973年から1974年にかけて下獄して服役していたが、そこの中で徹底的に考えたのは、行動についてであった。とことん考えても、もう行動が切り開く展望はなかった。もう、1960年代のような行動的ラディカリズムは不可能であることを実感していた。全共闘のような大衆運動ももう不可能と判断していた。後退戦としてそれは散発的にあるが、社会的には退いていく過程としてあったのだ。



 「新左翼組織の前衛党論への変節と傾斜」とはブント―全共闘と継承されてきた闘争形態の否定に他ならない。それがセクト間の主導権争いを激化させ、内ゲバと武装闘争のエスカレートを招いていった。その典型的な事例が赤軍派ということになる。このあたりの事情をより詳しく次のように論じている。

 1970年の前半というのは大きな転換期であった。新左翼運動にとって、1969年の後退戦の過程から運動は衰退期に入っていた。連合赤軍事件や内ゲバの影響もあるが、三里塚闘争を最後の拠りどころとしながら、全体としては衰退期に入っていた。

 大衆運動のエネルキーを取り込むことで活性化していた新左翼組織は、組織としての力を失いつつあった。全共闘運動やベトナム反戦闘争の余波は残っていたとはいえ、運動も行動も衰退していく中で、組織活動を継続するという難問に、直撃されていたのだ。

 赤軍派の海外逃亡もそういう一つの現れだが、内ゲバもそういうものの一つだった。大衆運動という推力とそこからくるエネルギーの枯渇に直面した政治党派は、内部の密度を高める方法をとるしかなかったのであり、それは観念的に過激になることだった。赤軍派の軍事路線も内ゲバも、観念的に過激になることで組織の密度を高めようとしたのだ。連合赤軍の「共産主義化」と粛清劇はその象徴であった。

 全共闘運動を生み出した表出意識(時代的な反抗意識)は政治組織に背を向け、サブカルチャーの道に転身していつた。高度資本主義の時代意識を先駆的に表出していた全共闘運動の内在的意識を政治組織はくみ取れず、それらに見放されるか、その圧殺に向かったのだ。

 運動が衰退して組織はどうなるか。企業ならば経済活動があり、良くも悪くもそれに制約される。経済活動として破綻した企業は破産する。そこで組織は終わる。それならば、政治組織はどうなのか。その目的や目的としての理念が破綻したとき終わる。運動や行動を目的とした政治組織は、その衰退期に理念(組織の目的)を前衛思想(前衛的組織の保存を絶対化する)に移行させるか、衰退に対応した組織活動に変えるかするしかない。よく言う「党のための闘争」に軸を移行させるか、組織を分散させるかしか道はない。



 「前衛的組織の保存を絶対化する」とは、言い換えれば、「内側の言葉」が「外側の言葉」に隷属するということに他ならない。
 表出意識(実践的意識)が制度的言葉(外側の言葉)に隷属している団体・組織は自己目的的に閉じる。そこでは、個人があって団体・組織が成り立つことが逆転して、団体・組織のために個人が奉仕することになってしまう。そして、おおかたの団体・組織は、「国家のために国民が在る」という支配者の思想をそっくりなぞるものに変貌してしまう。連合赤軍派の総括・粛清という悲劇は、その最たる例と言えるだろう。

 その粛清劇は「共産主義化」というほとんど意味不明の言葉がキーワードであった。これは一種のお題目であり、中味がない。だからこそと言うべきか、この言葉が一人歩きを始め、肥大化し、構成員を呪縛していく。



 しかし三上さんは、この言葉自体はは制度的な政治的言葉とは別のものだと言う。この言葉によって、政治的言葉(外側の言葉)と表出意識(行動の言葉・内側の言葉)をつなごうとしたのだと言っている。言葉の二重性を解消するという目のつけどころは悪くなかった。しかし、制度的な言葉と行動の言葉を同一的な共同性として取り出そうとしたところが誤りだった。それらの言葉は構造的な差異の中にある。内側の言葉を自立せしめるほかに、言葉の二重性の問題を解く方途はない。

 このような観点から、三上さんは連合赤軍の悲劇を思想的に解明しようとしている。

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