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2006年9月4日 ホームページ『「日の丸・君が代の強制」と闘う人たちと勝手に連帯するレジスタンスの会』からの引越し完了しました。
今日の話題

「老人は国会突入を目指す」


 3年ほど前の 『今日の話題:もう一つの可能性、沖縄独立を考える人たち』 は、『街から』という小冊子の紹介をかねて、その冊子の一つの記事を取り上げたものでした。以来この冊子の購読を続けていますが、昨日配送されてきた最新号(09年2・3月 98号)に紹介したい記事がありました。

 私はフォークソングの世界には全く疎いのですが、『街から』の編集発行者の本間健彦さんが「フォークソングの吟遊詩人 高田渡紀行」という高田渡さんの評伝を連載しているのを読んで、いくらか馴染みをもつようになりました。

 東大安田講堂の攻防戦のすぐ後、1969年2月頃から、新宿西口地下広場でヤング・べ平連の若者たちが毎土曜の夜、「フォーク・ゲリラ」と称されている歌の集会を開き始めました。数ヶ月後には多いときには1万人ほどの市民・学生が集まるようになります。警察当局はこの集会を止めさせようと、「広場」という名称を「通路」と言い替えて、「ここは広場ではありません。立ち止まらないでください。」などというアナウンスを執拗に繰り返しました。それでも集会は続けられました。6月28日、業を煮やした警察当局は機動隊を出動し,歌の集会を暴力的に排除したのでした。

 このフォーク・ゲリラ事件が「高田渡紀行」の中で取り上げられていました。本間さんは音楽評論家三橋一夫著『フォーク・ソングの世界』から、次のような論評を引用しています。

『正直のところ、フォーク・ゲリラを始めたヤング・べ平連の青年たちの歌は、お義理にも「うまい」とはいえない。かれらよりも歌がうまくギターがうまい人はほかにもいるだろう。その、うまくない歌に、どうして毎土曜日の夜、学生たちばかりでなく通りがかりの男女サラリーマンまでが足をとめていっしょにうたい、討論し、老人までニコニコしながら耳を傾けるのか。』
『音楽に関係のある人もない人も考えてほしいのは、歌をうたうことに機動隊が出たということだ。これは世界でもまれな事件である。歌をうたっているのを機動隊で追いちらそうというのは、腕力と暴力で歌をやめさせるということだ。そのことは口をつぐませるばかりではなく、人間がものを考えることをやめろというに等しい。』

 新宿西口広場では、歌を歌わせないことで「人間がものを考えること」を禁止しようとしました。今は学校で、無理に口をこじ開けて「君が代」を歌わせることで、学童・生徒・教師・父母にものを考えることを禁じようとしています。

 ところで、フォーク・ゲリラの始まりは大阪梅田の地下街だと言われています。当時、その関西に「フォークキャンパーズ」というバンドがありました。そのバンドのメンバーの一人に藤村直樹というシンガ―・ソングライタ-がいます。藤村さんはお医者さんで高田渡さんと親交があり、高田さんの主治医でもあったそうだ。『街から』で、その藤村さんの寄稿文に出会いました。今日はその文章を紹介しようと思ったのでした。下に藤村さんのホームページをリンクしておきます。

「The "Friensds' Lebel" site」


老人は国会突入を目指す

 2006年末からの半年間考えるところがあり、医師を休業しました。小泉改革の結果としての医療や介護の荒廃について考え直してみたかったからです。毎日を新聞記事や、雑誌に目を通し、知り合いの働く病院や介護施設を訪問したりしていました。そのうち、小泉改革とやらの問題点を整理するため、時系列を作ろうと思いつきました。自分の専門分野はわりと簡単にできたのですが、政治そのものは京都新聞の永澄デスクに助けていただきました。

 出来上がった年表をみて愕然としたのは、周到に推し進められた国民生活と福祉の破壊の完壁さでした。要約すると、国際協力という名目のもと、軍事費の増大と医療・福祉の切捨てという構図がみえみえになっていました。

 そこでこれを文章化するかどうかを考えたのですが、結局僕の一番慣れた表現方法の歌にしてみました。それがCD「老人は国会突入を目指す」です。実際にCDが作成されたのは2007年で、off-noteという竹中労さんに影響を受け、個性的なCDを数多くリリースしている神谷一義さんのレーベルからだしていただきました。

 そのころ僕は経済的問題もあり、医師の仕事にもどっていたのですが、僕が分析していたよりもひどい医療への政府の締め付けと、電子カルテという合理化について行けず、重症の鬱になり半年間、再び休むこととなりました。

 ようやく歌う力が戻って(抗うつ薬の力をかりて)、仕事にも戻り、CD発売記念ライブを行ったのですが、その反応の様々さに驚きました。京都・大阪と東京では若い方々も真剣に受け止めて下さったのですが、神戸は残念ながら多くの聴き手の方がひいてしまわれました。また、何人かの友人が今ではラディオ局の局長やプロデユーサーになっているのですが、「藤村くん、この歌だけはかけられない」といわれ、いわば放送自粛になってしまいました。

 ライナ―ノートで中川五郎さんは「『老人は国会突入を目指す』という曲名を見て、ぼくがすぐに思い浮かべたのは、『青年は荒野をめざす』だった。働き終えた老人たちにきちんとした保障が与えられるシステムはこの日本で完全に崩壊し、青年だけではなく、人は一生荒野をめざし続けなければならず、老人たちは最後の手段として命を賭けて実力行使にでるというこの歌は、最初はおもしろいとにこにこ笑いながら聞いていても、最後には笑い事ではない事実を鋭く突きつけられ、顔面蒼白となる。」と書いてくださっている。

 しかし、その後の時代の流れは、僕の歌詞を超え、10代から20代の若い人たちの就職難民というより、事実上の難民化、ロスジュネの難民化、中高年はもっと難民化、仕事も住む家もない状態になってしまいました。過激な歌だといわれていたものを、現実がはるかに追い抜いて悪化していったのです。

 今では僕は、この「老人は国会突入を目指す」という歌は現実の読みが甘かったとさえ考えています。現実はもつと残酷な、政府による赤ん坊から、若者、中高年全ての世代への国民生活、医療、介護、福祉、教育の破壊に進んでいたのだと実感します。

 それでも僕がこの歌をまだ歌い続けるのは、若い方々が自分たちのおかれている理不尽な立場に、老人のように「何も失うものはない!」と声を上げて欲しいからに他なりません。日本がこれ以上残酷で倫理観も何もない国にならないよう、僕たちは何ができるかを再考しつづける毎日です。けれど若い人たちには少なくとも生物としての未来が残されています。

 高齢の仲間の皆さん、若者に未来を託し、代わりに命を賭けて本当に国会突入を目指しませんか。もちろん犬死して政府を喜ばせるためではなく、本当に政府を倒すために! それが僕からのメッセ―ジです。



老人は国会突入を目指す
 作詞・作曲…藤村直樹、補作…長野隆


日本中の村から町から 都会の谷間から
車椅子で 松葉杖で 老人たちは 国会を めざす
よたよた よぼよぼ こけつ まろびつ
ぜいぜいと 這いずりながら
政府を 倒すために

その夜中 メ―ルは
日本中をとびかった
老人よ!見捨てられたものたちよ!
国会 をめざせ! 政府を倒すために!

その2日前 ついに 保検料は
年金より 高くなった
日本中の 僻地から
郵便も小包もなくなった

病気になっても 医者にかかれない
だいいち 医者まで 行くこともできない
治療薬は高くって もらった院外処方箋を破る

ひ孫はもう 産まれない
いや 孫はもう 産めないのだ
産科の医者は 過労で倒れ
金持ちだけが アメリカへ産みにゆく

たった2パ―セントの金持ちたちが
日本の富の 95%を持ち
貧乏なものは 孫子 まで
生きていくことさえ おぼつかないのだ

初夏の夜中 少し認知症 の
ひとりのオタク老人が 思い出した
そうだ 俺たちは 団塊の世代
果たせなかった 国会突入を!

その夜中 メ―ルは
日本中を飛び交った
老人よ!見捨てられたものたちよ!
国会を めざせ! 政府を倒すために

追い詰められた首相は ついに
国防軍への ホットラインをとった
老人のデモ陣へ 発砲せよ

兵士たちは とまどった
自分たちの 爺さんや
ばあさんを
撃ち殺せとの命令に

それでも アメリカ軍から派遣された
司令官は 命令した
引き金を 引かなければ
お前たちは 軍法会議だ!

泣きながら 兵士たちは
機関銃を 発射した

何万発の銃弾が
しわくちゃの 皮膚を裂き
しなびた肉を 骨租しょう症の骨を
こなごなに 吹き飛ばした

それでも 老人たちは たじろがなかった
失うものは 命さえ もう何もない
わしらの世代は 必死で 生きてきたのだ

たとえ精鋭の国防軍でも
何千万のじいさんを
何千万のばあさんを
すべて射殺する
ことはできない

ついに 国会正面を突破した
血まみれの 爺さんと ばあさんと
兵士たちは 抱きあった
泣きながら ともに 議事堂へ 行進した

そして ひとりの ばあさんが
血まみれのTシャツを
議事堂のてっぺんで
高々と 振りかざした
日本国政府に止めを刺すために

この話を 聞いたたあなたは
たわごとと いうだろう
けれど この国は きっと
その夏の夕暮れにむかって 進んでいる



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