2006年9月4日 ホームページ『「日の丸・君が代の強制」と闘う人たちと勝手に連帯するレジスタンスの会』からの引越し完了しました。
昭和の抵抗権行使運動(101)

日大闘争(9)


(5月27日の日記の続き)


誇りを内に


 6月1日号のジャーナル差入れされる。日大闘争一周年特集号だ。意外にも いっさい黒く塗りつぶされていなかった。中島さんとの座談会、大衆闘争についてであったが、何か鋭いものがなかった。もちろん全共闘に今必要な事は、この事と内と外との状況をいかに打破するかである。この二つが理論的に結合し理論化すれば、もっと鋭い展開が出来たと思う ― 1、2月初め、私が言った問題からあまり発展していない ―。頭でっかちの現実逃避は絶対避けねばならない。入試粉砕を前面にかかげるのは、理論的におかしいし、現実的に出来ない。われわれはヘルメットと角材がなければ闘えないという意識があるが、これは絶対克服しなければならぬ。現状を考えるなら、このような意識をすてて学生と徹底的に討論し、問題に答えるべきである等々 ― 思えばこの時期が運動の展開期であった。

 倉田さんの文章、日大闘争の根本的思想をとらえていた。やはり日大で闘った人だ。郡山の闘争記、まさに日大そのものである。体が自由であれば、郡山に行って共に闘ってやりたい気持である。へコタレなければいいがと思う。こういう所から立派な運動と思想が創造されるのである。過去に経済学部がやったように、そして日大闘争のように。

 〝闘いを乗りこえ、継承し、新たな闘いを″〝誇りをすてよ″(絶対にいい言葉である)と倉田さんの文章に書いてあった。誇りをすてよ! 過去のいっさいの誇りを。巨大な闘争をなしえたという誇りを。しかしその誇りを忘れてはならない。その誇りは、心の片すみにしまっておくものである(思想化)、それは、他人様に絶対しゃべるものではない。そして、現実の闘いにすべての思想を〝ブッ ツケロ!″

 酒井が今日(27日)来てくれる。闘いは良くなっているそうだ。5・21の一 周年闘争に三千人集ったといっていた。ただ前とちがって集会にしか集らないそうだ。沖縄デーで日大も逮捕者が出たそうだ。私にはなかなか会いにくいそうだ、1日1人だから。各学部のメンバーが若い人と入れかわったと言っていた。非常によい事である ― 詳しい事が解らない。 ― 闘いのスケジュール化がおきているようだ。一つに拠点がないという事はいたいことであろう。そして、学内に入れないという事も。これはあらゆる方法で内と外を結びつける必要がある。そして、それらを毎日、日常活動として全面的に強力に(そこから新たな組織化もなされる)行うべきである。スケジュール闘争では、ほとんど運動の前進はみられないであろう。外の部隊は、自らを外として位置づけるのではなくして、当局の不当な行為によって外におらざるを得ないのだという事を自覚して、内と外の壁をブチヤブるチャンスを常にねらい、日常的に壁を形骸化させて行くべきである。すなわち、闘いは常に日常化させなければならないし、闘いは常に敵との接点を持たなければならない。闘いは常に能動的でなければならない。

清宮様へ
拘置所の中は少し暑くなって来ました。聞く所によると、闘いは相当忙しくなって来たようですが、ジャーナルを読んだら1日中興奮して夜も眠れませんでした。― この中刺激が少ないですからね ― 思っている事を何でも書こうと思っていますが、いろいろと制約があるから ―。自分で読んでみても、何か隠しているようです。出来るだけ、好きかってな事を書 くように致します。
 追伸  この手紙ついたら返事下さい、と言うのは、私の手紙が着いていないのか確認出来ないから。

 1969年5月27日 秋田明大



 獄中にありながら、なお闘志満々である。

 多くの闘争(抵抗権行使運動)は闘いがスケジュール化することによって衰退する、というより、運動の衰退の結果が「闘いのスケジュール化」となって現れるというべきか。秋田さん、さすがは日大闘争を引っ張っていた闘士だ。その辺の事情を見抜いている。「闘いのスケジュール化」を克服する方法も的確に述べている。「闘いは常に日常化させなければならないし、闘いは常に敵との接点を持たなければならない。闘いは常に能動的でなければならない。」と。

 この頃の日大全共闘は拠点を奪われたため、明大や法政大などキャンパスに間借りしていた。秋田さんの逮捕の頃から「5・21の1周年闘争」までの日大全共闘の闘いを年表風に追ってみよう。

3月23日
 経法奪還闘争

3月25日
 法政大学内での新入生連帯・経法奪還闘争総決起集会に5000名が結集。

3月30日
 三里塚空港建設阻止闘争に日大全共闘1000名参加。

4月12日
 明大駿河台での日大闘争勝利・経法奪還闘争集会に3000名結集

4月28日
 沖縄闘争に日大全共闘1000名参加。

 この沖縄闘争は激しい闘いだった。4・28闘争救援対策本部によると次のような被害者が出た。(5月12日現在の数字)

逮捕者 965名
拘留者 766名
入院  11名


 この沖縄闘争は新左翼運動の大きな転換点になった。「れんだいこ」さんの「戦後学生運動史」から引用する。

『4月28日の沖縄反戦デー闘争の総括をめぐって新左翼内に対立が発生した。新左翼各派は自画自賛的に「闘争は勝利した」旨総括したのに対し、赤軍派を生み出すことになる共産同派は、「67.10.8羽田闘争以来の暴力闘争が巨大な壁に逢着した」(69.10「理論戦線」9号)として「敗北」の総括をした。この総括は、やがて「暴力闘争の質的転換」の是非をめぐる党内論争に発展し、党内急進派は、「11月決戦期に、これまでどおりの大衆的ゲバ棒闘争を駆使しても敗北は決定的である。早急に軍隊を組織して、銃や爆弾で武装蜂起すべきである」(前記「理論戦線」9号))と主張して、本格的軍事方針への転換を強く主張していくこととなった。この流れが赤軍派結成に向かうことになった。』

 『独立左翼論』の筆者・三上さんは、このとき共産同(第2次ブント)に所属しており、この闘争で逮捕されている。後に赤軍派が結成されたとき、これとは袂を分かって結成された叛旗派の代表を務めることになる。

5月17日
 明大学館で経済学部討論集会・経済2年全体集会

5月20日
 理工1号館で理工学部教授会団交

5月21日
明大記念館で日大闘争一周年全学総決起集会。4000名が理工へデモ。校舎内に突入。

 さて、秋田さんの日記では「組織と個人」の問題と「スケジュール闘争の克服」の問題への思索が続けられている。

5月28日(水)

自ら創り出そう

 日大において、全共闘なるものが大衆組織として存在するが、この組織自体、前衛的役割を持っているし、前衛組織といっても過言ではなかろう。しかしながら前衛といったら、すぐに思い当ることが「運動の指導」という言葉であろう。この全共闘組織は、いっさい指導という言葉は存在しないし、指導組織ではない。指導なき前衛組織などありそうにないといわれるかも知れないが、まさにそうである。この全共闘組織総体が前衛であるが故に、闘いに参加するすべての学生が、前衛的役割をはたしているのである。すなわち闘う学生一人一人が前衛であるという事である。本来組織自体矛盾の媒介物によって出来たものであるが、この全共闘組織の前衛理論が行使されるなら、組織の本来的矛盾は解消されるであろう。また、組織内の真の直接民主主義も貫徹されるであろう。

 あれはたしか、2月11日だった。五 万人集会が終り、また私のモグラ生活が続く、まっくらな室に入る。今夜はここがわれのねぐらである。催涙弾をうつ音が、デモのかけ声と共に不連続的に聞える。

 今日は人数が多いし、別に行動目的を打出していないから、大丈夫であると思う。催涙弾の音も別段気にならない。外から見えないように、体を折ってタバコをすっていると、1月19日の神田解放区で先頭で闘った東大の学生が一人とその付添いであろうと思われる学生が入って来た。彼にも逮捕状が出たとの事である。

イタズラ独房より

 保釈。それは何に依って決定されるか。六法全書。そんなものではない。出来るだけとどめておこうとするだけさ。国民に害を与えるから。そんな事ないさ、支配者に害を与えるからだよ。じゃ、永遠に出獄出来ないじゃないか。そんな事ないよ、日本は法治国家だもの?

 身体をもて余しています。横1.5㍍たて3㍍の広野で?

5月31日(土)

 〝戦い″。権力との接点に立つ事。

 闘いは戦いの存在する所で戦うのではなく、闘いのない所で戦うのが真の戦いだ。すなわち、闘いの中に依存する事なく、埋没する事なく。闘いは自らの力で創り出すものである。

 今日、父が来た。身体障害者の旅行で会津磐梯まで行って帰りとの事である。私が逮捕されてから、これで四度目だ。一度目は、接見禁止がかかっていたから会えなかったが、今日を入れて後の三度は東京拘置所で会った。兄は元気で働いているそうだ。回を重ねるごとに、父の気分、心配事も薄らいでいるようだ。私の心配したほどでもない。仕事もうまくいっているそうだ。

 昨日の雨とは違って、今日は雲はあるが初夏を思わせるいい天気だ。グングンと夏になってくるに従い、落ちつかなくなってくる。夏に〝熊の檻″みたいな所にいたのではやりきれない。

 昨年の夏は忙しすぎて、ずつとバリケードの中、今年こそは夏の太陽が拝めると思っていたのだが……。だが、まだ可能性がある。どこだつて、夏は近くともまだ夏ではないから。無神論者だが、7月10日頃までには、頼みますよね。 ― 最近半年かそれ以上位ぶちこまれるのではないかという予感もしないでもない。



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