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《「真説・古代史」拾遺編》(24)

「倭」と「日本」(7):いつから「倭」=「ヤマト」となったのか。


(理由は詳しく述べませんが、万葉集に出現する「ヤマト」を検討する方法にさまざまな疑問が沸いてきました。「国名・地名としての「ヤマト」の項を全て削除します。「倭」は「チクシ」と読むべきなのに、なぜ、いつから「ヤマト」と読むことになったのか、という問題に戻ります。)

 『「倭」と「日本」(2)』で指摘したように、日本書紀の「日本」の読み方については、本文注に「ヤマト」と読めという指示がある。実にはっきりとしている。

(第4段本文)
廼生大日本〈日本。此云耶麻騰。下皆效此。〉豊秋津洲。
廼(すなは)ち大日本〈日本、此をば耶麻騰と云う。下皆(しもみな)此に效(なら)へ。〉豊秋津洲を生む。

一方、古事記では「大倭豊秋津島」がこれに対応するが、この「倭」の読み方には何の指示もない。それにもかかわらず、「定説」は古事記の「倭」を全て「ヤマト」と読んでいる。

 この「定説」の源流は、どうやら本居宣長のようだ。宣長は最初から『古事記』の倭を「ヤマト」と読んでいた。では、宣長がそのようにした根拠はなんだったのだろうか。ただ単に「日本書紀」にならっただけなのだろうか。

 『「倭」と「日本」(2)』で、もう一つ指摘しておいた事がある。日本書紀では、古事記の「倭」→「日本」という書き換えは、諡号と「大倭豊秋津島」→「大日本豊秋津洲」以外にもう一つだけある。「倭建命」→「日本武尊」である。どうやら「倭建(やまとたける)命」の説話が、「倭」を「ヤマト」と読むようになった根拠らしい。

(倭健説話については 『「熊襲」とはどこか(4)』 を参照してください。)

 ところで、『「倭」と「日本」(6):日本書紀の「倭」(4)』で、「倭」は「ちくし」あるいは「わ」と読むべきではないか、という西村さんの説を紹介したが、西村さんとは別の観点から、古田さんも「倭」=「ちくし」を主張して、次のように述べている。

 ところがここ2・3年来、「倭」という字は『古事記』では実は「筑紫(ちくし)」と呼んでいるのではないか、という問題にぶつかりました。

 大国主が「倭」国へ上(のぼ)ると書いてある。その途中に沖の島のアマテルの娘と結婚するという話がある。沖の島へ行くのに、何で奈良県をめざすのか。奈良県に行くのがなんで上るとなるのか。そういう疑問にぶつかった。

 本居宣長は例によって、日本は天皇家から始まるから「上る」でもかまわないと言ったが、私などはそれはちょっとピンと来ない。そうするとこれは何か。「倭国」は「筑紫(ちくし)国」のことではないか。ちょうど志賀島の金印が「倭」を「筑紫」であることを示している。出雲から筑紫国へ行くのは当然対馬海流を上らなければならないから、上るのは当たり前である。途中に沖の島へ行くのは当たり前である。

 だからあの話は偶然入ったのではなくて、『古事記』ではこの話の前にも倭が2・3回出てきますが、その倭の位置を示している。その後も「倭」を「筑紫(ちくし)」国と読んで下さい、そう理解して下さい。そう『古事記』では言っている。

 それが逆転したという建て前になっているのが『倭健(やまとたける)』の話である。有り得ないことですが、死ぬ前に、「倭」の名前をお譲りします。これからは「倭健」とお名乗り下さい。そういう話になっている。あの話から「倭」は「やまと」と呼んでもいいことになったのだ。そう『古事記』は主張し、天武は主張したかった。

 実際は天武の時には「倭」の意味は、「筑紫(ちくし)」国である。それを天武は「倭」は「やまと」と読み変えるという、ある意味では天才的な発想をした。自分がそうしたいから、そう読むのでは通りませんので、これは倭健(やまとたける)のこういう説話があるから、それ以来「倭」をヤマトと読んでも良くなった。と天武は主張している。

 他方『日本書紀』は最初から「大日本」を大日本(ヤマト)と呼べと、注に書いてあるように、なっている。『日本書紀』は最初から非常にすっきりした形になっている。ところが『古事記』はまだ節度というか、はじらいがあって、倭(チクシ)だったのだが、あの倭健(やまとたける)以来、倭(ヤマト)と読んでも良くなったですよと言っている。それを本居宣長は最初から『日本書紀』のやり方で、『古事記』の倭を「ヤマト」と読んだ。そういうことが分かってきた。

 そうなりますと先ほどの『古事記』における国生み神話の「大倭」の意味はオオヤマトでなく、オオチクシではないかと、いうことになる。



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