2006年9月4日 ホームページ『「日の丸・君が代の強制」と闘う人たちと勝手に連帯するレジスタンスの会』からの引越し完了しました。
昭和の抵抗権行使運動(13)

「日本トロツキスト連盟」結成


 1956年2月、ソ連共産党第20回大会におて後継者フルシチョフによるスタ―リン批判が行われ、同4月にはコミンフォルムが解散された。これに呼応するかのように、6月ポ―ランド、10月ハンガリー暴動が勃発した。この二つの事件はスタ―リンの死直後に発生した東ベルリン反政府デモに次いで、東欧人民が下した歴史の審判であり、教条主義、権威主義、大国主義、一国社会主義、総じてコミンテルン総路線の破産を示したものであった。

 しかし、フルシチョフのスターリン批判は、単にスタ―リン神話の崩壊であって、前衛党神話の崩壊ではなかった。このスターリン批判は日本の公認前衛党にも大きな衝撃を与えたが、それに対する認識はソ連共産党と同じであった。日共は、フルシチョフのスターリン批判はあくまでもソ連国内の、しかもスターリン個人の指導のあり方に関することであるとし、「個人中心的な指導の問題も、六全協で提起され、それ以来すでに一年間、われわれはこの問題の解決に取りくんできた」(米原昶)と弁明した。

 日共は、一方でこのような弁明をするとともに、他方では、コミンテルン総路線の総括を平和共存路線に代置した。日共は「20回大会を学習しよう」の大号令のもとに、フルシチョフの「資本主義から社会主義への平和的移行の可能性」をそのまま直輸入し、56年6月の七中総決議によって平和共存路線を採用した。民主主義の確立と諸条約の改廃を通じて、独立、平和、民主主義のための政府の平和的樹立をめざし、これをもって、社会主義への平和的移行の出発点にする、というものである。

 日共中央のこのようなスターリン批判への対応にたいして、下部党員の反応はどうだったか。のちに共産同を結成した全学連党員グループも、党中央と同じく、個人崇拝否定→スターリン神話崩壊と受け止めたにすぎなかった。彼らは、ソ連人工衛星スプートニク二号打ち上げ成功のニュースに感激し、ポ―ランドハンガリー事件に際しても、ソ連軍の侵攻を支持した。

「昨年十月ハンガリーにおける事件は、種々の矛盾と社会主義建設のうえでの政治的経済的諸事情の反映であるが、帝国主義勢力の危険な干渉とたたかい、矛盾の解決のための努力が開始され、社会主義国家の新しい関係がうちたてられ、一時的困難にかかわらず、世界平和を確保するうえで積極的役割を演じてきた」(「全学連第10回大会一般報告」57年6月)

 しかし、前衛党神話内の実践的営為とは一線を引く独自の思想的営為の領域から、スターリン批判とハンガリー事件のもつ意味を捉え返し、これを階級闘争のなかに提起しようとしたグル―プがいた。57年1月に、太田竜、内田英世・富雄兄弟、黒田寛一、山西英一、対馬忠行などによって創設された「日本トロツキスト連盟」(第四インター日本支部準備会)がそれである。

 発足当時のトロツキスト連盟は、政治運動実践集団と言うよりは思想サ―クル集団的性格のものであった。とくに、太田がスタ―リンの宿敵トロツキーが創設した第四インターの支持者であり、スターリン批判をトロツキ―主義の立場から展開していた事実や、自己を「反逆者グル―プ」と規定したことに示されているように、結果としては、日本の革命的左翼の創成に先駆的役割をはたしつつも、政治的実践のうえではひとつの限界性をもっていた。

 なお、前回の年表にあるように、このトロ連は太田と内田が対立して、内田が組織を離脱したあと、57年12月に「日本革命的共産主義者同盟」(革共同)と改称した。その過程で日共京大職組細胞の西京司、岡谷グループがトロ連に参加、立命館大細胞を中心に関西に影響力を強め、後に第四インタ―の主流派を形成していった。また、黒田は57年10月に「弁証法研究会」(機関誌『探究』)を結成して、フラク活動(分派活動)を開始していった。

「わが弁証法研究会は、マルクス主義のいう基本的立場をふまえている若い人々から構成されている一つの研究会にすぎず、あるなんらかの政治目的をかかげた集団ではありません。……つまり、一口でいいあらわせば、スターリン主義に反対し、革命的マルクス主義の立場を共通の立脚点としているわけです。……だが私は断言してはばかりません。―反スターリニストの急先鋒であるトロツキズムの洗礼をうけないかぎり、腐敗しきったスタ―リニズムの泥沼から脱却するための突破口も、端緒も、決して発見されないのだ、と」(黒田寛一「今日の平和運動の意義と限界-反戦学生同盟の諸君へ」『探究』2号 57年2月)

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