2006年9月4日 ホームページ『「日の丸・君が代の強制」と闘う人たちと勝手に連帯するレジスタンスの会』からの引越し完了しました。
昭和の抵抗権行使運動(6)

低迷する学生運動論


 戦後の学生運動が、自治連の限界を超えて革命的左翼への輝かしい第一歩をしるしたのが、1948年9月の全日本学生自治会総連合(全学連)の結成であった。この第二期学生運動の詳細を知る前に、当時の学生運動についての理論情況をおさらいしておこう。

 敗戦直後の学生運動は日本共産党(日共)の強い影響下にあった。しかし、その日共の学生運動に対する認識はいまだに戦前の理論を引きずったままであった。

 日共は46年2月第五回大会において、人民戦線綱領(解放軍規定、占領下平和革命論)を採択した。ところが、二・一スト弾圧によって平和的「人民政府樹立」の夢はもろくもうち砕かれた。この厳しい情勢変化に対して、日共は旧来の平和革命論を単に「革命の平和的発展の可能性」という字句の修正をほどこしたにすぎなかった。

 続いて48年3月の10中総では「平和と民主主義、民族独立のための宣言=民主民族解放路線」から、さらに「社共合同論」によって、議会主義路線への傾斜をふかめていった。同時に、この時期には「地域人民闘争論」が全面開花した。「地方権力、区町議会権力、役場権力、学校権力、家庭権力を廻れ左させる闘争」に一切の闘争が従属させられ、これこそが真の反植民地、反政府闘争だとされて、全国統一行動、統一ストは完全に無視された。

 さて、この戦後型日共路線は、学生運動をどのように引き回していったのか。その経緯を追ってみる。

「戦後、日本共産党が再建されてから47年後半に至るまで、日本の学生運動は、僅かに組織されていた学校細胞や青年共産同盟による個々ばらばらな指導があったのみで、党中央の明確な理論と政策による組織的・系統的指導はほとんどなかった。そのために党は学生層に確乎とした大衆組織を結集し、それを通じて学生連動を指導することができず、つねに分散的闘争をくり返すのみで、厖大な学生層の革命的エネルギーは未組織のまま放置されている状態であった」(日共全学連中央グループ「最近の学生運動―全学連意見書」50年3月)

 このような日共中央の誤った指導方針と、その結果としての無指導の根底には、学生=小ブルジョアという、戦前からの教条的規定があった。

「志田政治局員は『インテリゲンチャは、生活的にブルジョアジーに寄生する根なし草の雑階級であるから、つねに小ブル性による動揺をくり返す本質的に反動的なものであり、特殊的・部分的に革命的人間が出るが、これもつねに小ブル性を身につけているから、徹底的に実践の中できたえなおさなければ使いものにならない』と強調した」(同上)

 彼らにとって学生は、せいぜいオルガナイザーとアクトを提供する兵砧部にすぎなかった。この教条主義と地域人民闘争論と結合して、学生運動の指導指針となった。

「最早や、ブルジョア教育の中には一片の真理だにない。真理は人民闘争の中でのみ体得される。……学連組織は現段階において地方党機関および党細胞の、下からの学校権力を廻れ左させる闘争を、中央から援助するためのみ使用されるべきであって、一斉ストや全国的統一行動の組織として使用されるべきではない(志田政治局員)」(東大学生運動研究会編『日本の学生運動-その理論と歴史』56年6月)

 この論理の行き着く先は、小ブル学生運動の戦闘性、先駆性にたいする過小評価であり、全否定である。また、学生党員を独自の運動組織集団として形成することを否定することになった。そのために、当時の日共中央は学生党員を独自に組織するのではなくて、青年=学生の一般組職の中に解消してしまった。

45年12月「青年共産同盟」結成

 さらにその後48年9月、青共は「社共合同論」のもとで「民主主義学生同盟」とともに、社会党学生組織「社会主義学生同盟」(46年6月結成)との組織合同を果たした。

49年1月「民主青年同盟」(「民青」)結成

 以上のような日共中央の学生運動論にたいして、学生党員グループは「労働者階級の同盟軍としての学生運動論」を対置した。これは〝プロレタリアートの前衛党が自己の分遣隊を学生運動のなかに派遣し、学生を層として獲得する″という立場であった。

 学生運動論をめぐるこの二つの基本路線の対立は、根底的なものであった。日共中央と学連グループとのあいだの学生運動をめぐる意見の対立は、創成期以来たえず、日共の党内闘争のひとつとして底流し続けた。そしてこの対立は同時に、結果的には、革命的左翼ないし独立左翼の創成をもたらす源流となったのだった。そしてこれはまた、後の「民青」と「全学連」との激しい抗争の源流でもあった。

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