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自由『続・大日本帝国の痼疾』(98)

自由民権運動(52)―躓きの石(1)「脱亜入欧論」


 自由民権運動はなぜ敗北したのか。その原因のうち、内部的弱点を取り上げよう。その内部的弱点は、自由民権運動から120数年後のいまもなお克服できていないのではないか。日本人民はいまだ真の自由民権を獲得できていない。自由民権運動の失敗の経験から学ぶこと多々ある。

 たとえば、民権運動運動の躓き蹟きの石のひとつに「脱亜入欧論」がある。この脱亜入欧論がはらむ思想的歪みは今なお克服されていないばかりか、今ではそのゆがんだ思想が多数派をなしているのではないだろうか。

 脱亜入欧論は1885(明治18)年に福沢諭吉によって提唱された。当時、少数の民権派の知識人や為政者に受けいれられたに過ぎなかったが、この「脱亜入欧」的な思想は漸次根をひろげていき、その後の日本の進路に「世界史的な過誤」を呼び込む原因のひとつとなっていった。

 最近では多くの人が認めている、自由民権家が克服できなかった内部的弱点の第一は、内にあっては被差別部落や沖縄、アイヌに対する蔑視、外に向かっては朝鮮、台湾などの人民に対する差別や蔑視であろう。

 この偏見は、これらの被抑圧者を社会の最底辺に位置づけ、階層を接する民衆同士をたがいに対立させ、憎悪させて、たくみに統御支配してきた天皇制の差別序列構造に民権家をまきこみ、その全体像に対する批判の目をつぶしてきた。

 さらに民権家の琉球、アイヌへの差別観は、そのまま朝鮮、台湾への差別、蔑視につながり、結局のところ明治国家の大陸侵略政策にたいする批判の根拠を失わせることになった。

 これを単純に欧米列強によって日本の独立がおびやかされたから、止むをえずにやった処置と強弁することはできない。むしろ進んで脱亜入欧の道を選び、隣国の独立をおかしても強国たろうと考えた、その思想から発していたのである。つまり、民権家の多くが国権主義者に転落してゆく最深の原因は、みずからの差別の意識の中にあったのであり、それが「琉球処分」や「朝鮮処分」に展開し、あげくのはては「脱亜入欧」(欧米帝国主義の仲間入り)の道を走り、わが手で墓穴を掘る結果をまねいたのである。

 末広重恭(鉄腸)は自由党創立の時、常議員に選ばれたほどの民権家であったが、1879年(明治12)1月、「琉球処分」の直前に、琉球国の独立を訴えた首里士族らの行動に怒って、「琉奴(りゅうど)討(つみ)ス可シ」という論説を『朝野新聞』に発表した。末広はこのとき琉球人民の民権にはまるで目がとどかず、明治国家の権力的な琉球併合を支持したばかりか、「琉奴」という侮蔑の言葉を発していたのである。その後、末広はどうなってゆくか。上海に根拠をおく「東洋学館」(1884年〔明治17〕8月設立)の館長をひきうけ、国権主義者の道に転落していった。

 『自由新聞』が「朝鮮処分」という社説を発表したのはその年(1884年)12月19日である。それは改進党の藤田茂吉、犬養毅(つよし)、尾崎行雄らが、「朝鮮の内治(ないち)に干渉し以て之を併略(ヘいりゃく)することを努(つと)むべし」との「朝鮮処分」の進言を伊藤博文に呈したのと同類であった。

 「琉球処分」に賛成したものは、やがて「朝鮮処分」に向かう。その軌跡を末広鉄腸ほどの人が示したのである。

 当時、琉球への差別観を克服していた民権家はきわめて少数であった。その中でも植木枝盛は琉球独立論によって卓越していた。彼は日本と清国が琉球を沖縄本島と宮古・八重山群島の二つに分割して領有、統治するという「改約・分島(ぶんとう)」案を知ってするどく反論し、逆に琉球を独立せしめることがアジアの進むべき開明への道だと主張した。そして、その独立した弱小国の権利は、万国共議政府によって安全を保障するという構想をもつていた。

 植木は日清両国による琉球の分割案を「残忍酷虐」(ざんにんこくぎゃく)「野蛮不文(やばんふぶん)」の極致として人民の視点から根底的に批判した。

だが、その透徹した論理の持ち主植木ですら、1884年(明治17)12月の甲申(こうしん)事変では政府の情報操作に目を曇らされ、政治的な躓きをみせているのである。



 甲申事変での「政府の情報操作」とはどのようなことだったのか。それを知りたいと思い検索したら、

「明治・その時代を考えてみよう」

という、とっても充実したホームページに出会いました。「このホームページ内の文章はどのように使用されても構いません。」ということなので、これから大いに利用させてもらおうと思っています。興味のある方は、合わせ読まれるとよいかと思います。

 甲申事件についてページをリンクしておきます。

「甲申事件」

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