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2006年9月4日 ホームページ『「日の丸・君が代の強制」と闘う人たちと勝手に連帯するレジスタンスの会』からの引越し完了しました。
今日の話題3

続「安倍政権6年間の悪行・愚行」(67)

【「こちら特報部」欄の記事】
    (ちょっと長い記事ですが、一回で全文転載しておきます。)

「桜を見る会」名簿あった(1956、57年開催分 国立公文書館に)

費用は約50万円 主賓は各国大使
06年分も存在「要審査」で閲覧できず

(前文)

 首相主催の「桜を見る会」の招待者名簿が国立公文書館に保管されていた。今から六十年余り前の一九五六(昭和三十一)、五七(同三十二)年分だ。今と比べてこぢんまりした会合で、首相や自民党との近さでなく役職や功績の有無で招待客を選んでいたことがうかがわれる。文書から今と昔の「桜を見る会」の違いを探った。 (石井紀代美、中沢佳子)

   国立公文書館のホームページ。昔の表記「桜を観る会」で検索すると十三件がヒットした。隣に閲覧ボタンがある文書はネット上で見ることができる。そのうちの一つ、大臣官房総務課長が宮内庁管理部長宛てに出した一九五二(昭和二十七)年四月五日付の文書では、会の開催に必要な物品を貸してほしいとお願いしている。テープルを意味する「卓子八〇脚 灰皿一六〇個 テイスプン六〇〇個」などと具体的だ。

   最近の名簿はないのに、当時の名簿「『桜を観る会」の招待者について」は、五六年と五七年の二年分あった。
   五七年分はまず、与野党関係なく国会議員が五十音順に並んでいる。最後までざっと確認したがお笑い芸人や反社会的勢力をうかがわせる名前はない。
   最初に目に留まったのは、社会党委員長を務めた浅沼稲次郎。六〇年に日比谷公会堂の壇上で右翼活動家から刺殺される三年前になる。
   女性の政治参加を促した市川房枝の名前もあった。五三年の参院選で東京選挙区二位の得票で初当選した若手議員だった。出席したかどうか、公益財団法人「市川房枝記念会」の久保公子理事長に尋ねると、市川ののこした手帳などを当たってくれた。「この年の手帳がなかった。前日の十六日は国会の運輸委員会で質問しているんですけどね」。久保氏も残念そうだ。
   共産党は首相と仲良し、ということはないはず。だが、七七年まで通算五期参院議員を務めた岩間正男の名前があった。折しも、岸信介政権に切り替わったばかり。五七年一月、群馬県内で農家の主婦が米兵に射殺される「ジラード事件」で、裁判管轄権が日本側にないという日米同盟の不平等さが露呈し、共産党も激しく追及していた時期だ。
   党本部の植木俊雄広報部長は若い頃、岩間氏と面識があった。植木氏は「もはや確認しようもない。だが、時代状況からみて出席したと考えにくい。招待状は現在も所属議員に来る。出席はしていない」と語る。

   過去の新聞記事からは、会の雰囲気がうかがえる。五六年四月十八日の東京新聞夕刊社会面に「外国使臣招き 首相が観桜会」の記事。午前十時ごろから米、英など各国大使が続々到着。「野外テーブルで花びらの雨をあび、紅茶とケーキと日本酒で談笑の中に風流を楽しんだ」とある。

   ところで、国立公文書館のサイトで「観る」を「見る」に変えて検索すると、二〇〇六年の招待者名簿がヒットする。「要審査」で閲覧はできない。同館業務課の杉生守夫課長補佐は「公文書は中身をチェックし、どこまで公開するべきかを判断している。『要審査』はまだチェックできていないもの」と説明する。果たして、きちんと公開されるだろうか。

内容変質 隠したい文書に
源流は不平等条約解消向け「観桜会」
当時の資料 「保存期間は永久」

個人情報保護理由に廃棄は筋違い

   招待者はどういう意図で選ばれていたのか。
 一九五六年の資料では「招待範囲」の欄のトップに「外交団」が挙がり、次いで「皇族、元皇族」「各大臣」「最高裁判所長官」「衆、参両院議長、副議長及び議員」と続く。最後が「各界代表」だ。
 どうやら、各国の大使らが主賓扱い。新聞記事も首相と大使が談笑する写真を扱っている。

   五〇年代は、まさに日本が国際社会への復帰を進めていた時代。サンフランシスコ平和条約や日米安全保障条約を結び、日ソ国交回復に伴って五六年に国際連合加盟も果たしていた。
   ところが国際社会復帰後の五九年になると「皇族、元皇族」がトップで、次に「外交団」と順位が変わっていた。

   開催要領には人数や費用の大枠も記されている。招待者数は約三千六百人だったのが、五四年からは約四千四百人に増加した。五六年の各府省の割り当てをみると、旧通産省が最多の六十五人。次に旧総理府と旧文部省六十人、旧厚生省四十五人など。実際に招く人数は割り当てより少なくなっていることが多い。
   声がかかっている人は、関係団体の人々が主だった。法務省なら日弁連や法制審議会、旧大蔵省だと東京証券取引所理事会や全国銀行協会連合会、旧文部省は大学学長や日本博物館協会の関係者など。旧厚生省には民生委員もいる。服装は「平服」と示されている。

   費用は五十万円が中心で三十万円だったことも。五十万円の時は、だいたい茶菓費三十五万円と見込んでいる。「茶菓」というが、当時の報道では酒も出ていたようだ。
   ちなみに、五〇年代後半の大卒初任給が一万円前後。今は二十万円程度になっていることを参考にすると、開催費用は現在の価値で一千万円ほど。米価の推移で計算すると、だいたい四倍の二百万円となる。
 会について取材しようと内閣府に電話すると、交換台の女性が「(担当課に)つないだが、担当者が外出中で対応できない。戻り時間も分からない」。どうやら、あまり説明する気はないようだ。

   資料をたどるだけでも戦後間もない時代の空気が感じられる。ちなみに、この資料の保存期間は「永久」。「人選に当たっては同一人が連続して招待を受けることのないように」とただし書きがある。重複を避けるのに保存は欠かせない。
   なぜ最近の名簿は廃棄されるのか。公文書管理に詳しい成城大の瀬畑源非常勤講師(日本現代史)は「会の内容が変質し、名簿さえ表に出せない代物になって、公開すれば大きな問題になると官僚たちは考えたのだろう」と語る。
   会への招待は名誉なことなはずだ。ならば氏名を伏せたり、個人情報保護を理由に破棄したりするのは筋違い。実際、天皇皇后両陛下が主催する園遊会は名簿を公表している。瀬畑氏は、この園遊会が一因となり、「首相応援団」が集うようになったと推測する。
   「会の源流は、明治期に不平等条約解消に向けて外桜会。戦後、外交を復活させるに当たり、外交官を接遇する必要があり、首相主催で再開した。ところが、同時期の春の園遊会と招待者が重なるようになった。そこで首相や与党に貢献した人をねぎらう場へと徐々に変わっていったのでは」
 さらに、瀬畑氏は「会の変質を示す隠したい文書だからこそ、情報公開恐れた。公文書管理を巡る制度の抜け道をよく理解した上で、合法的に破棄したのだろう」と、名簿破棄の狙いは証拠隠滅という見方を示した。

【デスクメモ】

 「記事全文を見せろ」の新宿御苑に続いて今度は内閣府だ。多忙はさすがにウソとは思わない。だが、担当課に電話を回しもせず、交換台で門前払いは異例だ。説明責任を声高に言いながら正式な会見も開かない。そんな首相にならっているのか、何か忖度してぃるのか。(裕)


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今日の話題3

続「安倍政権6年間の悪行・愚行」(66)

   前回は安倍政権の「桜を見る会」をめぐる不祥事問題を取り上げた東京新聞(12月3日付)の4編の記事の中から2編を転載しましたが、今回は残りの二篇のうち、2面の「核心」欄の記事を、次回に「こちら特報部」の記事を転載することにします。

【「核心」欄の記事】

桜を見る会 首相どう答えた

首相推薦の招待客⇒詳細は承知していない
招待客名簿を廃棄⇒内閣府にデータ残らず
前夜懇親会の会費 ⇒後援会の収支一切ない

与党も苦言、核心部分に触れず

(前文)

 安倍晋三首相は「桜を見る会」を巡る約二週間ぶりの国会答弁で、八回も「大いに反省」を口にする一方で、疑問の核心部分には答えなかった。
 預託商法を展開して破綻した「ジャパンライフ」元会長の招待の経緯は、記録廃棄などを理由に回答せず。会の前夜に開いた後援会との懇親会の明細も示さなかった。
 野党は「さらに問いただすのが、与野党問わず国民への責任だ」と追及姿勢を強めている。 (妹尾聡太、横山大輔)

  ■拒 否
      「国民の目には実態が見えにくい」(自民党の森屋宏氏)。「国民への説明責任を引き続き果たすよう要望する」(公明党の宮崎勝氏)。二日の参院本会議では、与党議員も首相に苦言を呈した。
      それほど疑問は尽きない。一つは招待客の選定だ。首相は招待客について「基準が曖昧で結果として数が膨れ上がった」と認めた。自身の事務所が「後援会関係者を含めて幅広く参加者を募り、推薦を行っていた」と重ねて説明した。
     一方で、踏み込んだ説明は拒否した。共産党の田村智子氏は、政府が約千人としている首相推薦による招待客数の実数をただしたが、首相は「記録が残っていない」と回答せず。事務所の推薦も「詳細は承知していない」と強調した。
     「ジャパンライフ」元会長は誰が招待したのか。首相は「内閣府が情報を保有していない」上、個人情報だとして事実関係の確認すら避けた。

 ■破 棄
     「情報がない」のは、与党政治家の「政治推薦」の名簿は、即廃棄できる規定になっているからだ。各省が内閣府に提出した推薦名簿とは異なり、与党政治家による推薦名簿は一年未満で廃棄とされている。
     電子データは復元可能性がある。社民党の吉田忠智氏は「首相が復元を指示すべきだ」と迫ったが、首相は「内閣府が採用しているシステムは、サーバーでデータを保存する方式」でデータが残っていないと説明。菅義偉官房長官も記者会見で、バックアップデータの保管期間も終了し、データは完全に破棄したと説明した。

 ■疑 惑
      懇親会を巡っても、これまでの説明を超えなかった。
      主催した首相後援会の収支報告書には、懇親会の収支記載がない。いくらかかったかの明細書もない。野党は、費用の不足額を補てんした場合は、公選法や政治資金規正法に触れる可能性を指摘している。
      首相は二日も、後援会としての収入支出がないので、報告書に記載がなくても問題ないと説明。明細書の発行をホテルに要求されても「公開を前提とした資料提供には応じないということだ」とホテル側の求めを理由に拒否した。
      与党は、今国会の首相出席は二日で最後にしようともくろむ。野党は「ジャパンライフの問題など疑惑は広がっている『首相隠し』は納得できない」(立憲民主党の蓮舫参議院議員)と幕引きを狙う政府・与党を批判。一間一答式の予算委員会開催をもとめている。

今日の話題3

続「安倍政権6年間の悪行・愚行」(65)

   安倍政権の「桜を見る会」をめぐる不祥事問題はなかなか収まらない。12月3日付の東京新聞では一面トップ記事と2面の「核心」欄、そして「こちら特報部」、さらに社会欄(26面)と、4ヵ所でこの問題を取り上げていた。
   今回はこの四つの論考のうち、一面トップ記事と26面の記事を転載することにします。

【一面トップ記事】

桜を見る会 首相説明不足、幕引き図る

  (前文)

  安倍晋三首相は二日の参院本会議で、二〇一五年に首相主催の「桜を見る会」に招待され、悪質なマルチ商法を展開していた「ジャパンライフ」の山口隆祥元会長について「個人的な関係は一切ない」と話し、面識を否定した。
    廃棄したとしている招待者名簿の電子データについては「復元は不可能」と語った。
  九日に閉会する予定の今国会で、首相の答弁はこの日が最後となる見通し。首相は数々の疑惑について説明責任を果たさず幕引きを図る。 (川田篤志)

  元会長は、首相らの推薦枠で招待されたことが内閣府の内部資料で判明している。首相は元会長とは「多人数の会合で同席した可能性は否定しないが、一対一で会ったことはない」と強調。妻の昭恵氏とも面識はないと説明した。同社が桜を見る会の招待状を、会社の信用を高めるために利用していたことは「容認できない」と語った。

招待者名簿データ「復元不可能」
  内閣府が今年の招待者名簿を、共産党議員から資料要求があった日と同じ五月九日にシュレッダーで廃棄したことについて、首相は資料要求に先立つ四月二十二日に廃棄の予約が入っていたと説明。廃棄により隠蔽(いんぺい)を図ったとの指摘に「資料要求とは全く無関係だ」と反論した。

  コンピューターの管理に詳しい上原哲太郎・立命館大教授(情報セキュリティー)は本紙の取材に、データ削除後も一部の細かいデータがサーバーに残っている可能性を指摘する一方、削除から半年以上が経過しているため「復元はかなり難しい」と話した。

  首相は、桜を見る会を廃止する可能性について「現時点で考えていない」と否定した。招待者が増加し、支出額が予算を超過したことについて「支出の詳細は承知していなかったが、結果的に望ましいものではなかった」と陳謝した。

【26面の記事】

桜を見る会 首相「大いに反省」…でも

答弁のらりくらり
傍聴者 「逃げ切れると思ってる」

   安倍晋三首相が公費で主催する「桜を見る会」を巡る疑惑に対し、二日の参院本会議で答弁に立った安倍氏は「(招待者は)最終的に内閣府と内閣官房で取りまとめる」など、これまでの答弁を繰り返した。野党議貞の厳しい追及に詳細は答えず、逃げの姿勢に終始した首相に、議場からは「説明責任を果たしていない」 「税金を使った買収行為だ」などと、野党議員のやじが飛び交った。


   ただ悪質なマルチ商法で知られたジャパンライフの元会長に招待状が送られたことを追及されると、「会合で同席した可能性は否定しないが、妻(昭恵氏)も含めて個人的な関係はない」と強く否定した。
   前夜祭の会費五千円については、「事務所職員は集金を行い、ホテル名の領収書を渡しただけ。会費は参加者からホテル側に支払われたもので、後援会の収入支出はない」と、政治資金収支報告書への記載は必要ないと改めて主張した。
   議場からは「(反社会勢力とみられる男性などについて)質問に答えていない」と、改めて集中審議を求める声が上がった。(アイドルグループの)嵐のコンサートに行く時間があるなら予算委に出ろ」などヤジも飛び交った。
   本会議を傍聴した岡山県の無職男性(六九)は「相変わらずの答弁。のらりくらりがまかり通っている。このまま逃げ切れると思っているのだろう」とあきれた表情だった。 (安藤淳)

 政治資金問題に詳しい神戸学院大の上脇博之教授(憲法学)の話

一定経費かかるはず
     桜を見る会と前夜祭は大きなイベントで、安倍事務所の職員が後援会の人たちにツアーの案内を出すなどのとりまとめをしており、輸送代など一定の経費がかかるはずだ。職員が一人五千円の前夜祭の会費を集金したことを首相も認めている。党の支部から、職員の旅費などを支出していたことが分かっている。こうした収支は政治資金収支報告書の政治活動費のイベントの欄にまとめて記載すべきで、政治資金規正法の不記載に問われる可能性がある。

【新聞労連声明】
 「オープンな首相会見を」
    安倍晋三首相主催の「桜を見る会」を巡る参院本会議での政府答弁を受け、新聞労連は二日、官邸記者クラブに限らないオープンな首相記者会見を求める声明を出した。
   声明では、政府は公文書の招待者名簿を廃棄したことを盾に、国民に対する説明責任を放棄していると主張。十一月十五日に安倍首相がぶら下がり取材に応じた際は、開始十分前に官邸記者クラブに通知がありクラブに所属していない記者は参加できず、公正さを欠いたと指摘。報道各社は結束し、オープンで十分な時間を確保した会見実現に全力を尽くすべきだとした。

今日の話題3

続「安倍政権6年間の悪行・愚行」(64)

   前回、安倍政権の「桜を見る会」をめぐる不祥事を取り上げていた東京新聞(2019年11月26日付)の「こちら特報部」の記事を紹介しましたが、2019年12月1日付の東京新聞に編集局次長の金井辰樹さんが『日本の岐路 11月をつづる』という表題でその問題についての論文を発表していました。今回はその論文を転載します。
  なお、「2019年11月に起きた主なニュース」と題した表が添付されていますので、それを転載してから、本文に入ることにします。


日本の岐路 11月をつづる


2019年11月に起きた主なニュース

 1日
   ・大学入学共通テストへの英語民間検定試験の来年度からの導入が見送りに
 2日
   ・ラグビーのワールドカップ(W杯)日本大会で南アフリカが優勝
 8日
   ・香港で続くデモで、駐車場から転落してけがをした男子大学生が死亡
13日
   ・安倍晋≡首相は「桜を見る会」を来年は中止すると表明
14日
   ・天皇陛下の即位に伴う祭祀「大嘗祭」の中心儀式「大嘗宮の儀」が始まる
16日
   ・警視庁が俳優の沢尻エリカ容疑者を麻薬取締法違反の疑いで逮捕
20日
   ・安倍首相の通算在職日数が桂太郎を抜き憲政史上1位に
22日
   ・韓国政府が日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)破棄通告の効力停止を発表
23日
   ・ローマ教皇フランシスコが来日。24日には長崎、広島で演説
29日
   ・国鉄の分割・民営化などを手がけた中曽根康弘元首相が死去。101歳

(本文)
夫人、友人、大臣…お本人

 十一月の政治は「桜」一色だった。「桜を見る会」の問題が国会で本格的に追及され始めたのは十一月八日。しかし当初は、安倍晋三首相や首相官邸サイドのこの間題に対する危機感は乏しかった。焦りを感じ始めたのは十三日、来年の「桜を見る会」の開催中止を発表したのに逆風が止まる気配がないと気づいたころだろう。

 首相が政権復帰後、七年に及ぶ長期政権を築いてきた秘訣は、政治判断のダブルスタンダード(二重基準)を確立しているからだ。安倍首相は特定秘密保護法、安全保障関連法、「共謀罪」の趣旨を含む改正組織犯罪処罰法など、自身がこだわりを持つ課題は、支持率の低下を覚悟の上で成立させてきた。

 一方、それ以外の課題については柔軟だ。工費が膨れ上がり批判が高まった新国立競技場の建設計画を白紙にしたり、消費税増税を二度にわたって見送ったりしたのがその典型。その結果、傷口が広がるのを防ぎ、支持も回復してきた。最近では、大学入学共通テストへの英語民間試験の導入を見送った。この公式に当てはめれば「桜を見る会」問題は来年の開催中止で、沈静化するはずだった。

 しかし、今回はそうならない。火の手は広がり、宮邸前では市民らが怒りの声をあげる。その理由は、安倍政権がこれまで指摘されていた問題点が「桜を見る会」に凝縮されているからではないか。

 安倍政権下では、多くの閣僚らが「政治とカネ」にからむ凝感を突きつけられ、説明責任を果たさずに退場していった。「森友」「加計」や「自衛隊日報」問題などでは、文書の隠蔽、改ざん、破棄の疑いが持たれた。そして長期政権になるにつれて官僚たちの忖度は顕著になり「安倍一強」が進んだ。

 「桜を見る会」では、前夜に行われた懇親会を巡り公職選挙法や政治資金規正法に関わる疑いの目が安倍首相側に注がれている。

 政府は招待者名簿を破棄したと説明するが、国会で追及を受ける前に隠蔽したのではないかという疑念は消えない。菅義偉官房長官らは名簿を「遅滞なく破棄している」というが、この表現自体、公文書に対する政権の意識を疑わざるを得ない。

 そして大勢の支援者を「首相枠」や妻昭恵氏の「夫人枠」で招き、税金を使いもてなす「桜を見る会」は、まさに「安倍一強」の象徴に映る。

 もう一つ。これまで安倍政権下で発覚した問題と決定的に違うことがある。今回は安倍首相自身が批判の対象となっているのだ。「森友」では、妻・昭恵氏が批判にさらされ「加計」では腹心の友・加計孝太郎氏が疑惑の中心となった。今国会召集後には菅原一秀経済産業相、河井克行法相が相次いで辞任した。

「夫人、友人、大臣」ときて「本人」にたどり着いたことで野党は色めき立つ。

 先月、安倍首相の通算在職日数は憲政史上最長に到達した。記念すべき月にスキャンダル対応に追われることは不本意だろうが「桜を見る会」で国民が納得できる説明ができるかどうかは、長期政権そのものの評価につながる。説明責任は十二月、国会が閉幕しても続く。

今日の話題3

続「安倍政権6年間の悪行・愚行」(63)

  「桜を見る会」をめぐる不祥事が連日新聞紙上を賑わしている。
  私は安倍政権が発足した時から、この政権を「アベコベ軽薄姑息うそつきカルト政権」と呼んできましたが、「桜を見る会」をめぐる不祥事はまさに、私のこの命名が的外れではなかったことを如実に示していると思っています。
  東京新聞(2019年11月26日付)の「こちら特報部」がその問題を克明に論じていました。
  今回は、少し長いのですがこの記事を転載します。

「安倍話法」再び

前文

「安倍話法」再び 「桜を見る会」疑惑 答弁迷走

   自身が主催する「桜を見る会」を巡る安倍晋三首相の答弁が迷走している。突き詰めて考えると何が言いたいのか分からず、相手をけむに巻くような発言も多い。ただ、こうした回りくどい言い方は今回に限った話ではない。「安倍話法」にごまかされず、何が真実かを見抜く力が国民には求められている。 (中沢佳子、榊原崇仁)

その場しのぎ→周囲がつじつま合わせ

   「相談を受ければ、推薦者について意見を言うこともあった」。
   二十日の参院本会議。桜を見る会の招待者を選ぶ経緯をただされた首相は、そう答弁した。
   関与を認めたと思いきや、
   「最終的に内閣官房と内閣府で取りまとめた。私は一切関与していない」と続け、公選法にも違反しないと言い張った。
   不可解な主張は、会前日に後援会関係者向けに東京都内の高級ホテルで開かれた夕食会関連でもあった。一人五千円の費用は安すぎるという指摘に当初、「参加者の大多数が宿泊者という事情を踏まえ、ホテル側が設定した」と説明した。

   ところが、二〇一五年の会は宿泊先と会場が別のホテルなのに会費は同じだったと判明。すると、「事務的な手違いで結果的に同一ではなくなった。ホテルと相談し、サービス内容や規模を勘案して(会費が)設定された」と述べた。

   「安倍首相がよく使う手が、また繰り返された」と話すのは、論点をすり替える政府答弁を「ご飯論法」と名付けた法政大の上西充子教授(労働問題)。「朝ご飯食べた?」と聞かれ、パンを食べたのに「ご飯(米)は食べていない」と答える話法を指す。「『最終的』という言葉を付けたことで、自分は関係ないと印象付けようとしている。ごく一部に論点を狭め、そこだけ否定するのは、森友学園を巡る文書改ざん問題で『私は指示していない』と言ったのと同じ論法だ」
   立教大大学院の平川克美客員教授(現代企業論)は「強い力を持つ独裁者は、どこまでうそを通せるかで権力を誇示するもの。それには計画性をもって周到に準備するのに、安倍首相は追及されるとその場しのぎのうそで逃げる。それを周囲にいる頭のいい官僚や取り巻きが必死につじつま合わせし、事実をねじ曲げるのが特徴だ」とみる。

細断機は10分で2万枚処理力

「利用重なって」……苦しい釈明

   その「つじつま合わせ」も苦しい。
   内閣府は会の招待者名簿を野党が資料要求した五月九日に、シュレッダーにかけて廃棄したと説明した。大塚幸寛官房長は国会で「(他部署とシュレッダーの)利用が重なり、大型連休明けになった」と釈明した。
   内閣府が細断に使ったというシュレッダーの製造元、事務機器メーカー「ナカバヤシ」に尋ねたところ、製品は幅約三二㍍奥行き約一・四㍍、高さ約一・五㍍の大型業務用。同社広報IR室の西浦弘史郎リーダーは「約千枚を一括投入でき、四十秒ほどで細断する。一時間で最大五百五十㌔の紙を処理できる」と語る。
 A4判の紙は千枚で約四㌔といい、二万枚近い文書でも十分ほどで細断できる。ちなみに、会の招待者は約一万五千人だ。
 日々、どれだけの文書を廃棄しているのか内閣府に質問したが、二十五日午後九時までに回答がなかった。


そらし ずらし 押し切る

正面からの議論回避 安保法制や共謀罪でも

   安倍首相は以前から、真っ向からの議論を避けてきた。例えば、安全保障関連法案に関する議論。二〇一五年五月の衆院平和安全法制特別委員会では、野党から「自衛隊の活動範囲が広がり、リスクが増すのではないか」と問われた際、正面から答えずに「訓練を重ねてリスクを低減する」と論点をずらした。
   一六年十月の衆院予算委でも似た場面があった。国連平和維持活動(PKO)で陸上自衛隊が派遣された南スーダンの情勢について「民間人を乗せた車両が襲撃され、二十一人が死亡したと発表された。リスクの可能性を認めるべきではないか」と質問を受けても、「もちろん永田町と比べれば、.はるかに危険な場所だ」とまともに取り合わなかった。
   一七年一月の衆院予算委では共謀罪を巡る議論で「テロ対策は現行法で可能だ」と指摘されたのに、実際に可能かどうかの議論に応じず「テロ対策の穴を埋めなくても五輪を開けばいいという考えは取らない」とやはり話をずらした。
  成蹊大の高安健将(けんすけ)教授(比較政治)は「政治家は通常、丁寧な説明を求められると渋々ながらも応じる。そうしなければ選挙で不利になったり、党内で評判が落ちたりするからだ。しかし安倍政権の場合、説明責任を果たさなくても支持率が下がらず、選挙でもマイナスに働いていない。そうした状況から国会での説明や議論が軽んじられているのではないか」と話す。
  高安氏は、こうした姿勢の根底には第一次政権の経験があるとみる。当時は閣僚の相次ぐ辞任で任命責任を認めざるを得ず、短命で終わった。

強さ前面 非を認めず
   「現政権は『強さ』をキーワードにし、非は認めず自らの考えを押し通すことに重きを置く。議論は避けつつ、明快さを感じさせる言葉を用いる。それが有権者には分かりやすく見える。しかし、現実が首相の言葉と矛盾した時には、隠蔽や改ざんといった問題が起きる」
   かたや野党も「問題が政権にあり、批判一つ一つはまっとうでも、『あなたたちは政権を担う代わりになり得るか』という疑問を常に突き付けられ、批判すること自体が否定されてしまう」(高安氏)。
   首相は「印象操作」という言葉を好んで使う。具体例の一つが、今年七月の参院選に合わせて開かれた主要政党の党首討論会。選択的夫婦別姓などへの賛否を聞かれた際に挙手せず、「単純化はやめた方がいい。印象操作はやめてもらいたい」と述べた。
   名古堅外国語大の高瀬淳一教授(情報政治学)は「『印象操作だ』という訴えは、『作為的な情報発信はやめるべきだ」と印象づけるメーッセージ」と述べる。自身への批判をかわす姿勢を顕著に表しているのが、この四文字のようだ。

   首相が批判を嫌い、議論を避ければ、そのツケは国民に回ってくる。さまざまな問題の検証が進まないだけではない。 駒沢大の山崎望教授(政治理論)は「議諭は民主主義の根幹を成す。議論の過程で幅広く意見をくみ上げることで、さまざまな立場の人に配慮した社会の仕組みができる。税金の使い道もそう。逆に言えば、首相が議論を避ければ、おのずと首相に近い人の利益ばかりが大切にされるようになる。いわゆる『お友達優遇』だ」と語る。
   山崎氏は「不健全な状況に対し、私たち市民は口をつぐんではいけない」と呼び掛ける。「黙っていれば『今のままで良い』となる。駄目なものは駄目だと声を上げ続けないといけない。ツイッターなどでもいい。現状に対する不満を可視化することが必要だ」


デスクメモ

   普段は論理が明快な話をする人がおかしなことを言うと、「あれ?」思う。いつも適当な話をしている人が変なことをロにしても「ああ、またか」になる。慣れは恐ろしい。首相の発言を聞く時は頭を空っぽにし、じっくりと考えないといけない時代になったのかもしれない。(千)