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2006年9月4日 ホームページ『「日の丸・君が代の強制」と闘う人たちと勝手に連帯するレジスタンスの会』からの引越し完了しました。
辺野古問題

辺野古の地盤改良工事 
   9月5日~㋈7日の東京新聞(朝刊)に『辺野古問題』についての記事が続けて掲載されました。「アベコベ軽薄姑息うそつきカルト政権」によって行われている沖縄に対する悪行・愚行の総集編とも言うべき充実した連載記事です。これらの記事を全て、「辺野古問題」という新たなカテゴリを設けてすべて転載することにしました。

  まず、9月5日の記事は「辺野古の地盤改良工事」を巡る政府の対応のお粗末さを取り上げもので、一面とその記事の続きが社会面に掲載されていました。どちらも中沢誠記者が前書きを記載しています。

《一面の記事》  

辺野古地盤工事、大地震想定せず


 識者「強行するためハードル下げた」
 
    海底の軟弱地盤が明らかになった沖縄県名護市辺野古の米軍新基地建設を巡り、「地盤改良により施工は可能」と結論づけた防衛省の報告書で、大規模地震を想定した耐震性能を検討していなかったことが分かった。
  過去の教訓から、国内の主要な十三空港は大地震に備えた耐震化をしている。辺野古沖では活断層の存在も取り沙汰され、専門家は「工事を強行するため、あえてハードルを下げたようにしか思えない」と指摘する。 (中沢誠)

   防衛省は総工費を明らかにしていないが、仮に大規模地震を想定した耐震を施すとなれば工費はさらに膨らむ。防衛省は地盤改良に向け、近く有識者会議を発足させるが、県は報告書の内容に疑問を投げ掛けており、地盤改良に必要な設計変更に応じない構えだ。

   報告書は、軟弱地盤でも基地が建設できるかどうか検討するため、防衛省から委託された建設コンサルタント七社が今年一月に作成した。地盤を固めるため七万七千本の砂のくいを海底に打ち込む工法を提案。政府は報告書に基づき、「施工は可能」と結論付けた。
   防衛省は地盤改良の検討に当たり、新基地に必要な耐震レベルを判断した。参考にしたのが国土交通省の耐震基準で、五十~百年間に一~二度起こる小中規模の揺れを「レベル1」、東日本大震災級の最大規模の揺れを「レベル2」と規定。レベル1では建物が損傷しない、レベル2では倒壊しない耐震性能を求めている。
   防衛省は新基地について「米側と調整した結果、レベル2を想定した備えまでは必要ないと判断、レベル1を選択した」と説 明した。

   阪神大震災後、重要インフラにはレベル2への備えが求められるようになっている。国交省は「あらゆる可能性を考慮した最大クラスの巨大地震・津波発生の考慮が必要」として、羽田など主要十三空港の耐震化め進め、レベル2の耐震性能を確保。辺野古と同様に軟弱地盤の上に建設された関西国際空港では、将来起きるとされる南海トラフ地震のマグニチュード(M)9に対応している。
   レベル1を採用した報告書では、揺れの強さを示す加速度を最大四〇ガルと設定。震度7だった阪神大震災では最大八一八ガルを記録しており、ある建設コンサルタントは「四〇ガルなら震度3前後」と解説。「軍事基地なら危機管理上、最悪の事態を想定するもの。ハードルを下げるのは技術屋の感覚としてあり得ない」と指摘する。

  辺野古では活断層の危険性が指摘され、県も埋め立て承認撤回の理由に挙げている。現地を調査した立石雅昭・新潟大学名誉教授(地質学)は「断層が活動すれば重大な被害が発生する恐れがある。レベル2を検討しない報告書には大きな過誤がある」と訴える。
  防衛省は「権威ある文献に活断層を示す記述がない」と否定している。

《一面の続き》

「辺野古ありき」また 大地震想定せず

沖縄 膨らむ不信
  沖縄・辺野古の米軍新基地建設を巡り、「建設ありき」をうかがわせる新たな問題が持ち上がった。
  国内の主要空港のような大震災を想定した耐震性能を検討しなかった。
  これまで政府は「沖縄に寄り添う」と言いながら、民意に耳を傾けず工事を強行。基地建設を左右する軟弱地盤の存在が明るみに出ても、都合の悪い情報を伏せてきた。 (中沢誠)

   政府が埋め立て予定海域に広がる軟弱地盤の存在を認めたのは、今年一月末のことだった。しかし、その一年近くも前から、基地建設に反対する沖縄平和市民連絡会の北上田毅(つよし)さんが、防衛省沖縄防衛局に開示請求した文書を基に軟弱地盤の存在を指摘していた。
   防衛省は二〇一六年三月の時点で、受注業者から軟弱地盤の可能性の報告を受けていた。計画を大きく見直すような事態にもかかわらず、防衛省は埋め立て工事を承認した県にも軟弱地盤の事実を伏せてきた。

   政府は、一日も早く米軍普天間飛行場の危険性を取り除くため、辺野古移設を「唯一の選択肢」と繰り返してきた。本当に「唯一」なのか、県民には政府への不信感がくすぶる。
   そもそも巨額の税金を投じる公共事業において、防衛省は、いまだにいくらかかるのかさえ明らかにしていない。防衛省の委託で地盤改良を検討した建設コンサルタントの報告書も、防衛省が今年三月に公表すると、国会で野党から「施工可能」とした政府の判断に異論が相次いだ。
   報告書を作成したコンサルタント七社のうち三社には、昨年度までの十年間に計七人の防衛省OBが天下り。また、一七年の衆院選期間中、辺野古工事の施工業者が沖縄県内の自民党候補の政党支部に献金。公職選挙法に抵触する恐れを指摘されて返還するなど、政官業の癒着ぶりも明らかになっている。

 普天間飛行場移設で政府 新たな運用期限示せず

   政府と沖縄県、宜野湾市は四日、米軍普天間飛行場(同市)に関する「負担軽減推進会議」の作業部会を県庁で開いた。二〇一四年二月を起点に五年以内とされた運用停止の期限が経過したことを受け、地元側が新たな期限の設定を求めたのに対し、政府側は難しいとの見解を表明した。移設作業が難航している現状が浮き彫りになった。
   政府側は、運用停止の期限は仲井真弘多(なかいまひろかず)元知事が名護市辺野古移設を容認し、県の協力が得られることが前提だったと説明。玉城(たまき)デニー知事が反対している現在とは状況が異なるとの認識を示した。

   県側によると、政府側は辺野古沿岸部で軟弱地盤が見つかり、地盤改良工事が必要なことも新たな運用停止期限を示さない理由に挙げた。政府側は記者団に「軟弱地盤は理由にしていない」(出席者)と否定している。
   作業部会の開催は昨年七月以来。杉田和博官房副長官と謝花(じゃはな)喜一郎副知事、和田敬悟副市長が出席した。会合後、謝花氏は記者団に「辺野古移設に関わりなく、一日も早く運用を停止してほしい」と訴えた。
   会議では、米軍機の落下物や騒音、飛行場周辺の水質汚染について地元が政府に対応を要請。杉田氏は「できることは何でもやる」と述べた。

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今日の話題3

続「安倍政権6年間の悪行・愚行」(44)

  前回に続いて今回も日刊ゲンダイDIGITALの記事を取り上げます。
    アベコベ軽薄姑息うそつきカルト政権がトランプ(米国大統領)に舐められっぱなしの事態を日刊ゲンダイDIGITALの『最新トピックス』(2019/09/09付)が論じていました。その論説を転載させていただきます。

在日米軍基地から430億円 日本の税金がメキシコの壁建設に

  【次の意表を突く要求は?】

    トランプ米大統領が推し進めているメキシコ国境沿いの壁建設。
   米連邦最高裁が7月、国防費を流用することを認める判決を下したことを受け、来年の大統領選を控え、トランプ大統領が一気に公約実現に動き出した。どうやら、巨額の負担を日本に押し付けるつもりのようだ。

   米国防総省は3日、36億ドル(約3800億円)の国防予算を壁建設費に転用することを決定。在日米軍基地からも4億ドル(約430億円)が計上された。
   横田基地(東京都)の輸送機の格納庫や機体の整備施設126億円、嘉手納基地(沖縄県)の航空機の格納庫94億円、岩国基地(山口県)の給油施設68億円など、5つの基地の施設建設費を削って、メキシコ国境との壁建設に充てられる。

   今後、削られた在日米軍の施設の費用をどうやって用立てるかは未定だとしているが、米国が日本に穴埋めを要求してくるのは間違いない。早速、エスパー米国防長官は5日、「私が伝えてきたメッセージは負担の分かち合いを増やすことだ」と、同盟国の分担をにおわせている。

■大統領選が近づき要求がエスカレート

   軍事評論家の前田哲男氏が言う。
   「トランプ政権は、同盟国に軍事費の分担を強く求め続けている。ボルトン大統領補佐官(国家安全保障担当)が7月に来日した際、谷内正太郎国家安全保障局長に対し、在日米軍経費の5倍負担を要求したと報じられています。今回、メキシコの壁建設に転用する在日米軍基地の経費の穴埋めを日本に求めてくるのは間違いないでしょう。間接的ではあれ、日本の税金でメキシコ国境の壁が建設されることになります」

   なぜ、メキシコが反発している壁の建設費を日本が肩代わりしなければならないのか。しかも、この先、トランプ大統領の要求はさらにエスカレートしそうだ。来年の大統領選挙が近づくにつれ、公約実現に躍起になるトランプ大統領が、金ヅルとして日本に要求を強めてくる可能性が高いからだ。元外務省国際情報局長の孫崎享氏が言う。
  「トランプ大統領は、大統領選を意識して、公約を実現するため日本を利用することを考えています。先日は、中国が農産品を買わないので、日本にトウモロコシを突き付けました。農業票を意識しています。今回は、公約していた“メキシコの壁建設”を実現するため、在日米軍経費の負担という形で、日本に穴埋めを求めてくる可能性が出てきたわけです。どちらも、本来、日本とは関係のない問題なのに日本に要求している。次は、自動車関係で意表を突いた要求をしてくるかもしれません」

 トランプ大統領になめられっぱなしだ。

今日の話題3

続「安倍政権6年間の悪行・愚行」(43)

  今回紹介する論説は日刊ゲンダイDIGITAL版の巻頭特集記事(2019/08/30付)です。日刊ゲンダイDIGITAL版で検索すれば読むことが出来ますが、このブログにおいでになった方に是非読んで頂きたいと思い、ここに転載させていただくことにしました。

類が友を呼ぶ安倍内閣  総仕上げ改造は目を覆うおぞましさ

「安定と挑戦の強力な布陣としたい」
「新たな人材に突破力を発揮してもらう」
   安倍首相がG7(先進7カ国首脳会議)開催地のフランス南西部ビアリッツで会見し、内閣改造と自民党役員人事の実施を明言した。

   党総裁選後に行われた昨秋の内閣改造は、安倍を支持した派閥の領袖に配慮した論功行賞の色合いが濃くなり、2012年の第2次安倍内閣発足後では最多となる12人が初入閣した。
   今回も「衆院当選5回以上、参院当選3回以上」で未入閣の待機組を抱える各派閥は8月半ばから積極的に研修会を開くなどして存在感をアピール。
   こうした動きを踏まえ、安倍も「我が党には老壮青、たくさんの人材がいる」などと大規模改造に含みを持たせているが、一部報道では、21年9月までの総裁任期を見据え、今回は自身の後継育成や憲法改正などの政治課題を最優先した「総仕上げ」と位置付け、そのための布陣とするつもりらしい。
 一方で、安倍はこれまでも内閣改造に取り組むたびに「安定」を強調してきたが、言葉通りにコトが運んだことは一度もない。「適材適所」はいつもスローガンだけ。過去の安倍政権を振り返っても、常に閣僚や政権幹部の失言やスキャンダルが取り沙汰されてきたからだ。

■内政、外交そっちのけの政局人事でいいのか

 前回の改造時も、安倍は「自民党は人材の宝庫」「全員野球内閣」などとドヤ顔で自慢していたが、フタを開ければデタラメ人事の極みだった。
 最たる例が、政府のサイバーセキュリティー戦略本部の副本部長でありながら「自分でパソコンを打つことはない」と言い放った桜田義孝前五輪相だろう。あらゆる場面で失言を繰り返した揚げ句、白血病と診断された競泳の池江璃花子について「がっかりしている」と暴言を吐き、さらに東日本大震災で被災した岩手県出身の自民党衆院議員のパーティーであいさつした際には、議員の名前を呼んで「復興以上に大事」とやらかして辞任に追い込まれた。「四国は離れ小島」などと地方蔑視とも受け取られかねない発言をしていたクセに、よりによって〈内閣の最重要課題〉に位置付けられた〈地方創生〉の担当相に起用された片山さつきも醜聞まみれ。大臣就任早々から週刊文春で国税庁への口利き疑惑や政治資金のずさん処理が報じられ、辞任を求める声が続出したにもかかわらず、本人はシラを切り通して今も居座り続けているのだから、とんだ恥さらしだ。安倍政権の閣僚につく連中はそろってロクな人間がいない。チンピラばかりだ。今度の改造人事だってグダグダになるのが容易に想像がつくだろう。


  安倍首相が党総裁3選で終わるのか、それとも4選を狙うのかによって人選が大きく変わると思いますが、どちらにしても『何を成すのか』ではなく、政局人事になると思います。内政、外交と課題が山積する中で大事な閣僚人事がそれでいいのか。国民も今度の人事をよく見極めた方がいいでしょう」(政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏)


  暴力的な様相を帯び始めた嫌韓嫌中の同調圧力がさらに強まる恐れ
  繰り返すがチンピラの集まりが安倍政権であり、それは今の韓国に対する閣僚の姿勢を見てもハッキリと分かる。河野太郎外相、世耕弘成経産相、柴山昌彦文科相の3人が象徴で、そろって隣国を挑発し、対立関係を悪化させているからだ。

「韓国が歴史を書き換えたいと考えているならば、そんなことはできないと知る必要がある」
   27日の会見で、1965年の日韓請求権協定に関して韓国の姿勢を強く批判した河野。韓国最高裁(大法院)が日本企業に元徴用工らへの賠償を命じた判決を出した昨年10月以降、高圧的な言動で韓国を非難してきた。韓国が日本とのGSOMIA(軍事情報包括保護協定)破棄を決めた際も「地域の安全保障環境を完全に見誤った対応」などと感情ムキ出し。立憲民主の枝野幸男代表はラジオ番組で河野の外交姿勢を「上から目線」と呆れていたのも当然だ。


  ドヤ顔で「ホワイト国(優遇対象国)」からの韓国除外を公表した世耕もまた、河野と同様に常に居丈高でケンカ腰。選挙応援中に自分にヤジを飛ばした学生が警察に排除された問題で、会見やツイッターで“当たり前”のようなオレ様発言を繰り返している柴山も嫌韓・嫌中で知られる。柴山が7月のフランス訪問中、ユネスコ(国連教育科学文化機関)本部で「世界の記憶」(世界記憶遺産)登録制度の改革を要請したのも、過去に中国の「南京大虐殺」の資料が登録されたり、韓国の民間団体が慰安婦関連資料の登録を支援したりする動きが出ているためで、中韓両国に対する牽制の意味合いが強いとみられている。
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 外交交渉は歴史認識や領土問題が複雑に絡むからこそ、冷静さが欠かせない。それなのに複数の閣僚が先頭に立ってイキリ立っているのだから、相手国と良好関係を構築できるはずがない。元外務省国際情報局長の孫崎享氏はこう言う。

「韓国に怒りの感情をぶつけて一時的に留飲を下げても、結果として対韓輸出が減るなど国益を損なう事態が起きている。感情論を優先することが貿易国である日本の外交手法として正しいのか。いよいよ冷静に考えないと、ますます国がおかしくなるでしょう」

■超右翼政権で排外主義を叫ぶ政治家が闊歩する

  その通りだ。もっとも、「類は友を呼ぶ」の言葉通り、今の状況をつくった“元凶”は他ならぬ安倍だ。トップが幼稚な国粋主義の極右思想に侵されているから、同じような仲間が集まってくる。よくよく見れば、桜田も片山も柴山も皆、安倍と同じ右翼組織「日本会議」のメンバー。権力をはき違えたネトウヨ脳全開なのだから、必然的にゴロツキ内閣になるわけだ。

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 こうなると、安倍が「総仕上げ」と意気込む改造人事の形も見えてくる。誰が起用されても、今以上に民意と隣国を愚弄する人選になる可能性が高いということだ。なるほど、日本会議メンバーである自民党の萩生田光一幹事長代行が「憲法改正シフト」のための布陣として、大島理森衆院議長の交代論に言及していたのもうなずけるではないか。すでに「総仕上げ」のための準備は水面下で始まっているのだ。政治評論家の本澤二郎氏がこう言う。

  「安倍首相が言う『総仕上げ』とは、何が何でも改憲を実現すること。今度の改造人事はそのための布石であり、超が付く右翼政権が誕生するかもしれません。歴史修正主義、排外主義を声高に叫ぶ政治家が闊歩する最悪の時代になるおそれもあるのです」

  ネットを中心として暴力的な様相を帯び始めた嫌韓・嫌中の同調圧力が今後さらに強まり、それに異を唱える世論はより封じ込められることになるのだ。まさに目を覆いたくなるようなおぞましさではないか。

今日の話題3

続「安倍政権6年間の悪行・愚行」(42)

  東京新聞にアベコベ政権のトンデモ財政を厳しく分析している記事が二件続けて掲載されました。
  (1)  2019年8月31日付の《核心》欄の記事で表題は
      【膨張予算 実体見えず 過去最大105兆円 青天井状態】
  (2)  2019年9月2日付の《税を追う》欄の記事で表題は
      【兵器ローン 5.4兆円、最大に  防衛省の20年度概算要求】

  この二つの記事を転載します。
  (1)
    

増税対策は枠外・補正回し横行


【前書き】

  三十日に締め切られた二〇二〇年度当初予算の概算要求は、各省が提案する事業の費用を財務省が上限を設けずに受け付けた結果、要求段階で百五兆円程度と過去最大の規模に膨らんだ。
  昨年に引き続き、消費税増税に伴う経済対策など要求枠外の項目を設け、官邸が主導して規模や内容を決められる仕組みを維持。補正予算を使って防衛費を膨らませる手法も常態化しており、実態が見えぬまま財政が膨張する懸念は強い。(渥美籠太)

【本文】
 ■借金体質
   「(財政に)借金の体質が残っている。(税収などの)収入が多いからといって、そのまま支出を増やすつもりはない」。
  麻生太郎財務相は三十日の記者会見で、厳しい財政を考慮して予算編成を進める原則をあらためて示した。

   概算要求は各省庁が「二〇年度にこんな事業をしたい」という費用の見積もりで、財務省がこれから査定して無駄を削り、年末に予算案としてまとめる。安倍政権は支出に上限を設けるルールを撤廃しており、麻生氏の発言をよそに要求段階では過去最大となる見通しだ。
  沖縄の米軍再編費など金額を示さずに予算を求める「事項要求」も複数あり、実際の規模はもっと大きくなる。最近では、当初予算で要求されていた防衛装備の経費を補正予算に回し、「当初予算の膨張を抑えたかのように見せる」(エコノミスト)事例も増えており、補正を含めた支出の実態はさらに見えにくい。
 予算編成に携わる与党幹部も「概算要求の段階では大事なことは何も見えない」と嘆くほどだ。

      ■景気対策
    要求の枠外で特に注目されるのが、十月の消費税増税後の景気落ち込みを見据えた経済対策だ。一九年度予算の編成でも枠外として、官邸主導でキャッシュレス決済のポイント還元などに二兆円余りを投じる方針を短時間の議論で決め、ばらまきだとの批判も出た。今回も対策の内容や規模の目安は示していない。
   増税の影響だけではなく、最近の景気は米中貿易摩擦などの影響で減速気味だ。企業業績に打撃を与える円高が進みつつあり、消費者の心理に影を落とす。安倍晋三首相は「必要なら機動的な経済政策をちゅうちょなく実行する」と繰り返し強調している。
  みずほ証券のシニアマーケットエコノミスト、末広徹氏は「経済対策として補正で大きな金額を出す可能性がある」との見方を示す。

  ■財政余力
    財政より景気を優先する方針は、六年半を超えた安倍政権で一貫している。世界景気が堅調という恵まれた環境が続いたのにもかかわらず、金融緩和や財政支出による景気の刺激を続け、急激な高齢化に備える改革は先送りしてきた。ようやく議論を本格化し始めた今、景気後退の可能性が高まるというちぐはぐな状況にある。
   二二年からは団塊世代が順次七十五歳になり、社会保障費の増加が加速するのは確実だ。政府が高齢化に伴う医療費などの自然増を二〇年度は五千三百億円と見込むのに対し、二二年度以降の自然増は毎年八千億~九千億円程度に膨らむとの見方がある。財政の膨張で社会保障に回す余力は乏しく、財務省幹部からは「もう時間がない」と焦りの声が漏れる。
   明治大の田中秀明教授(財政学)は
   「予算がどの程度膨らむか客観的な中長期の試算を分かりやすく示した上で、財政再建の目標に向かって予算を複数年度に渡って抑える仕組みが必要」
   と提言するものの「今の政権は財政の膨張を抑える気がない」と指摘した。

  (2)
    

兵器ローン 5.4兆円、最大に


【前書き】

  五兆三千二百二十三億円と過去最大となった防衛省の二〇二〇年度予算の概算要求。
F35戦闘機など米国製を含む兵器の大量調達により、複数年度で返済する「兵器ローン」残高も過去最大の五兆四千九百億円と膨張の一途をたどる。
第二次安倍政権では、次年度の当初予算に収まりきらないローン返済を補正予算に振り分ける「裏技」が常態化しており、二〇年度も国民から見えにくい「第二の財布」が使われる恐れがある。    (中沢誠)

【本文】
  新規が圧迫 返済追いつかず

  「われわれとしては、欲しいものがたくさんあるので、(予算要求額の)枠いっぱい使った」。
防衛省幹部は要求額が過去最大となった理由をそう答えた。

 防衛省は高額な兵器の取得費を複数年度に分けて支払っている。「後年度負担」と呼ばれるローン残高は一二年度まで三兆円前後だったが、同年末の第二次安倍政権発足後、F35Aや輸送機オスプレイなど米国製兵器の調達が急拡大し、残高はわずか七年間で二兆円以上増えた。

  二〇年度はF35AとF35B計九機(総額千百五十六億円)や空中給油・輸送機KC46A計四機(総額千百二十一億円)など、米国製兵器の取得費として五千億円を要求。これを含む兵器の大量調達で、二兆五千百七十億円の新規ローンが発生する。借金増に伴い、「歳出化経費」と呼ばれる毎年のローン返済が予算を圧迫するようになった。二〇年度は前年度を上回る二兆一千六百億円を返済に充てるが、それを上回る新規ローンが発生するため、返済が追いつかない「自転車操業」に陥っている。

 「中期防(中期防衛力整備計画)に基づき、要求したいものを並べるとこの額になる」と防衛省の担当者は説明するが、予算のやりくりはままならない。前回の概算要求に続き、本来、要求額に盛り込むべき米軍再編関連経費を外したのが何よりの証左だ。  例年の米軍再編関連費は二千億円程度。最終的には年末に編成する次年度の当初予算に計上する必要がある。そのため前回は、概算要求に盛り込んでいたローン返済額の一部、三千二百億円を第二次補正予算に振り分けた。
 本来、補正予算は災害時や不況対策で組まれるが、現政権はローン返済額の一部を補正予算に回す「第二の財布」を多用している。予算の全体が見えにくくなり、防衛費の増大に歯止めがかからない恐れがある。
 米軍再編関係費の額を要求額に入れなかったことについて、防衛省は「財務省から示された枠の中で、さまざまな経費を適切に要求するため」と説明。ローン返済額の一部を年末の補正予算に回すかは「今後の予算編成の過程で検討する」と述べるにとどまった。

今日の話題3

続「安倍政権6年間の悪行・愚行」(41)

  東京新聞(2019年8月26日付)の『こちら特報部』欄に澤地久枝さんへのインタビュー記事「アベ政治を許さない;作家・澤地久枝さんに聞く」が掲載されました。この記事をいつかは取り上げたいと思い、切り抜いて保存しておきました。ちょっと長くなりますが、今回はこの記事を転載することにしました。
  澤地久枝さんについてはネット検索で詳しいことを知ることが出来ますが、ここではまず東京新聞がまとめた澤地さんについての紹介文と本文の前書き文を転載しておきましょう。

さわち・ひさえ
  1930年、東京生まれ。4歳のときに満州国吉林に移住、敗戦後の46年に帰国。18歳で中央公論社に就職し、9年間の編集者生活を経て作家デビュー。「妻たちの二・二六事件」 「記録 ミッドウェー海戦」 「密約 外務省機密漏洩事件」 「14歳<フォーティーン>」など著作多数。作家小田実民らと2004年に結成した「九条の会」や、原発事故後の「さようら原発集会」の呼び掛け人となる。


前書き

東京・永田町の国会議事堂前に毎月三日、「アベ政治を許さない」と書かれたポスターを掲げる人の群れが現れる。安倍晋三首相に退陣を突きつけるデモだ。先頭に立つのはノンフィクション作家の澤地久枝さん(88)。シュプレヒコールもない。組織もない。一人ひとりの意志だけに支えられた行動は四年を超えた。猛暑の夏も体の限界に挑むように澤地さんは路上に立った。戦後七十四年。日本を見つめてきた作家は、何を思うのか。 (佐藤直子)


  次に、本文は二編に分かれていますが、その二編の本文を転載します。

《1》

【安保法きっかけ 憲法無視の暴走見過ごせず】

たった一人でも立つ

   じーじーじとセミの声が響く。八月三日。正午すぎの都心の気温は三二度を越えた。強い日差しの中を議事堂正門の向かいの歩道に人が集まる。帽子をかぶり、長袖シャツ姿の澤地さんがあいさつを交わす。つえを左手にした男性。北海道帯広市から、茨城県牛久市から、初めて参加したという女性たち。夏休みの小学生も交じっている。

   午後一時。約百人が一斉に「アぺ政治を許さない」のボスターを高く掲げた。顔に汗をにじませ、みな黙って議事堂を見つめる。十分がたち、通算四十七回目となったこの日のデモは終了。参加者が近況報告をして解散した。
   「すごい暑さでしたからね、ここでひっくり返るわけにはいかないと思って、しっかり足を踏みしめていました。これで立っていられないんなら、やめだなって」。澤地さんは東京都内の自宅で八月のデモをこう振り返った。

   七月の参院選で自民党は議席を九減らした。しかし、投票率が50%に届かず、過去二番目の低さだった。澤地さんはそれが悔しい。「政権支持率はまた少し上がったでしょ。一人ひとりが抗議の意志を示すことが、いよいよ大事になってきましたね」

     作家として澤地さんが問うてきたのは、人間をぼろぼろになるまで追い詰めていく国家や戦争のむごさだった。戦前の二・二六事件や戦中のミッドウェー海戦の遺族らに焦点を当てた作品は、声なき声に耳を澄ます作業であり、日本人が忘れてはならない昭和の罪責を描く作業だった。それは「九条の会」や、3・11後の脱原発運動へのかかわりにも通じている。

    二〇一三年十二月に特定秘密保護法を成立させた政府は、一五年に集団的自衛権の行使を認める安全保障関連法案を強引に成立させようとしていた。憲法を無視した政治の暴走を見過ごせず、澤地さんは自ら呼び掛け人となって.法案が衆院を通過した直後の七月十八日、最初の「許さない」デモを決行した。

    安保法が成立すると国会前の人の波は引いていった。澤地さんは「悪法を廃止しよう」と訴え、憲法公布記念日(文化の日)の十一月三日にデモを再開。それ以来、毎月三日に必ず国会前で立ち続けている。

    「アべ政治を許さない」の文字は、昨年死去した俳人金子兜太(とうた)さんの筆によるものだ。「兜太さんの字は力強い。見ているとね、兜太さんが生きてるみたい」

    国会前のほか、有志が同時刻、全国一斉に同じポスターを掲げる。自分の町の駅頭で、あるいは家の窓から、道ゆく人に見えるように。「政権にノーを言うことに勇気が必要になりましたけど、たった一人になっても立とうと思う。私はこう思うのよって。ギリギリの意志の表明です」と澤地さんは言う。


《2》

【国に捨てられた 敗戦時の苦難が原点】 《戦争二度と許しちゃいけない》


昨日できたことが今日は出来ない

   澤地さんが個人の力を頼みにするのは、国家に対する不信があるからだ。「国家ってものはあてにならない。平気で国民を捨てる。ウソをつくんです」。そう言い切る原点は、敗戦時の難民生活にある。
   幼い時に両親と満州国(中国東北部)に渡り、一九四五年八月の終戦時は十四歳で女学校の三年生だった。満州の関東軍は逃げるように先に撤退し、澤地さんら日本の民間人は取り残された。「私もお国のために死ぬ」と信じていた軍国少女でも、神風は吹かなかったことを理解した。

   ソ連軍の侵攻で日本兵の武装解除が始まった。「家の窓から外を見ていると日本兵たちが戦陣訓の歌を歌いながらソ連軍に捕らえられていった。シベリア送りになったと聞きました」

   澤地さん一家の抑留生活は一年に及んだ。古いアパートに何世帯も身を寄せ、食料は不足した。栄養失調で人が死んでいった。

   中国人による暴行、ソ連兵の「女狩り」があった。澤地さんの家では母が必死で抵抗し、レイプは「未遂」に終わった。それでも恐怖とショックで澤地さんはその晩、トイレで吐いた。「私にとっては、戦後こそが戦争だったんですね」

   記憶は何十年たってもよみがえった。「心や体に深い傷を残す戦争をどうしたら伝えられるかしら」。ぽつりと澤地さんが言う。  「若い人に『「戦争のこと知ってる』と聞いても、知らないっておうむ返しよね。あの戦争で何があったのか、やっぱり、体験者が それぞれの家で伝えていかなければならないと思うのね」

   五〇年六月二十五日。朝鮮戦争が始まった日を澤地さんは忘れられない。早稲田大学第二文学部の学生だった。仲間とピクニックに出掛けた先で開戦を聞いた。「大戦が終わってわずか五年でまた隣国で戦争が始まった。他国で流れた血の上に戦後日本の復興があったことを、忘れてはいけないと思うの」

   かつては自民党の政治家も戦争の悲惨さを語った。ところが、安倍首相は改憲を悲願とし、自民党は改憲草案で自衛隊を国軍と位置付け、憲法九条を骨抜きにしようとしている。「九条を守ることは常識だった。今はすっかり変わって…。沖縄ではアメリカの言いなりに、巨大な新基地がつくられようとしている」

   「日本はまた戦争をする国になると思っていたけれど、今の政治はひどすぎる。国民は真綿で首を絞められていて、昨日できたことが今日はできない、そんなことが、日に日に増えているのではないかしら」

   あいちトリエンナーレ(名古屋市)での「表現の不自由展」が中止された出来事もその一つだ。「京都アニメーションの放火事件が起きたばかりだったから中止になった。ひと言の脅しでできなくなるなんて」
   そして澤地さんは「風流夢譚事件」を振り返る。雑誌「中央公論」に掲載された小説での天皇らの描写に憤った少年が、中央公論社社長宅で家政婦らを殺傷した事件だ。「あの後、天皇制を論じることが一気にタブーになってしまった」

   来年は復興をテーマにした東京五輸・パラリンピックがある。「熱狂の中で即原発事故の被害を消し去る。問題のすり替えです。お祭り騒ぎの後に何がやってくるのか」と澤地さんは暗たんとした思いに駆られる。それでも安倍政権への抗議をあきらめない。

   満州から東京に帰り、バラック生活から始まった戦後。今の東京からは想像もつかない焼け野原の中で、少女らしく生きることは許されなかった。澤地さんにとって、戻りたくない時間なのだ。「戦争を二度と許しちゃいけない。そのためにならまだ頑張れるわよ」。来月、八十九歳を迎える。絶望のときこそ、しゃんとして、澤地さんは希望を見いだそうとする。


   最後に以上の記事の纏めを担当した方のメモを転載しておきます。

デスクメモ

   死者が多数の時、ひとりひとりに思いをやるのは難しい。澤地さんは違った。
   三千四百人を超えるミッドウェー海戦の全戦死者を特定し、名前を示して人生を追った。戦死者は数字でなく人間だと知らせる偉業だ。
   実名匿名が議論になる今だからこそ、記者として先輩に習いたい。  (裕)