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2006年9月4日 ホームページ『「日の丸・君が代の強制」と闘う人たちと勝手に連帯するレジスタンスの会』からの引越し完了しました。
「財源=税」問題を考える。(12)
消費税導入後の税制改悪(6)


増税のターゲット・サラリーマン


収入の二極化に反比例した負担の二極化


 ポチ小泉が「構造改革」という悪政を強行するときにほざいたことを忘れまい。
「広く薄く」「誰もが痛みを分かち合おう」
「今の痛みに耐えて明日をよくしようという『米百俵の精神』こそ、改革を進めようとする今日の我々に必要なことである」


 また自公自滅政府は減税の根拠として、「高い税金は勤労意欲を阻害する」という理由をあげていた。それを根拠として行われたのが高収益企業・高額所得者・資産家への大減税であった。その一方では少ない収入でも高い負担をさせられ、滞納すると生活費まで差し押さえられ、強制徴収されている人たちがいる。「痛み」は一般庶民だけが背負わされることになった。つまり、労働分配率の低下(収入の不平等な配分)により貧富の格差・二極化が進むのと反比例した形で、税・社会保障負担などの負担配分の二極化も進行しているだ。「二極化」の実態を具体的に見てみよう。

(1)
 サラリーマンの平均給与は10年近くも連続してダウンしてきた。国税庁の発表によると、2007年分で年収200万円以下の給与所得者は1220万人と2001年に発足した小泉内閣以降234万人も増えていて、当然労働分配率も下がっている。

(2)
 フルタイムで働いても、生活保護給付水準に届かない世帯が650万世帯もある。

(3)
 1998年から2006年1~3月比で正規雇用は454万人減少し、非正規雇用が490万人増えている。1985年に「労働者派遣法」が制定されて以降大企業は、不況とグローバル化を口実に、採用抑制、成果主義の導入、非正規雇用への置換えを進めてきている。政府も相次ぐ労働者派遣法の規制緩和や労働基準法の改悪、リストラ支援法等で労働者を犠牲にし、大企業が利益をあげやすくするために諸法規を変え、規制緩和を支援してきました。

 2008年版『労働経済白書』は、非正規雇用の増加について、賃金の「節約」が主要な目的であり、企業側には労働者のために柔軟な就業機会をつくるという認識は低い、としており、これまで政府が主張してきた非正規雇用化は「労働者のニーズ(要望)」によるものというのは誤りだと認めている。

(4)
 勤労者の収入は、どんどん減らされているが、その一方では企業は莫大な儲けを上げている。その儲けの分け前については既に見てきたことだが、もう一度確認しておこう。役員報酬は小泉内閣5年間で2.7倍、株主への配当は2.5倍と大幅に増やしている。その残りは内部留保である。

 高収入を上げている多くの人は大企業の経営に携わっている役員です。ある意味では事業者です。その役割で受ける報酬は「給与所得」というより「事業所得」なのです。だとすれば、事業所得として収支計算をおこない、確定申告をすべきものです。事業所得であれば、仕事にかかる経費はほとんど会社もちであり、前出のような莫大な給与所得控除を控除できなくなります。

 この所得区分については政府税制調査会でも議論をしていますが、それら役員に視点を当てたものではなく、一般サラリーマンの給与所得控除をいかに引き下げられるかの方向で検討されているのです。給与所得控除が高すぎるから現行平均30%のものを10%にまで引き下げようとする意図での議論が政府税制調査会では進められているのです。

 金持ちばかり集めているこれらの審議会委員の議論の中身は、「国民本位」とは程遠いものです。


税金とりたての仕組み


 サラリーマンにかかる税・社会保障負担の種類はたくさんある。主だったものを列挙すると、
①所得課税
 所得税(源泉所得税)、住民税
②財産課税
 固定資産税、都市計画税
③消費課税
 消費税、酒税、タバコ税、揮発油税
④その他
 自動車税・印紙税・国民健康保険税など

 これらの税金は「人税」(人にかかる税金)・「物税」(物にかかる税金)と分類することができる。「人税」のなかで最も重要なのは生活費に食い込む所得課税である。富山さんは、所得課税は『「食う前に税金を払え」という仕組みになっている』と言う。

 日本国憲法は「国民の生存権」を保障している。

第25条
 すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
 2 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。

 これを具体的に規定しているのが生活保護法であり、そこには最低保障とは何かが示されている。

第2条(無差別平等)  すべて国民は、この法律の定める要件を満たす限り、この法律による保護(以下「保護」という。)を、無差別平等に受けることができる。

第3条(最低生活)  この法律により保障される最低限度の生活は、健康で文化的な生活水準を維持することができるものでなければならない。

第57条(公課禁止)
 被保護者は、保護金品を標準として租税その他の公課を課せられることがない。

 上記の視点からみますと、所得税・住民税における課税最低限(基礎・配偶者・扶養などの基礎的控除)は、生活保護給付水準より低く、憲法の生存権保障に反するものであり、明らかな憲法違反です。

 このことは非常に重要なことです。例えば、「国民年金を30年掛けていてももらう額は生活保護給付よりも低い」との意見が出てくると、「それでは生活保護給付水準を減らします」との厚労省の対応が示され、小泉内閣は社会保障制度を次々と減額してきました。

 生活保護給付水準での最低生活費は「最低賃金」や「課税最低限」の目安になっており、その中の1つでも下がると他の2つに波及していくことを指して「3点セット」と呼ばれています。給付される年金が最低生活費に満たなければ、生活保護給付でおぎなうことは前述の生活保護法に規程されています。国はそれらを保障する義務があり、国民はそれを求める権利を保障されているのです。  それはここまでは税金はかかりませんという収入の非課税ライン、つまり「最低生活費」には課税しないという「最低生活費非課税」の原則を日本国憲法は担保するとしているにもかかわらず、現実には政府は守っていないことになります。


課税最低限の額は先進国中で最低


 少し前まで、財務省は先進国中最高と宣伝し、その額の引き下げを唱えていた。(富山さんは「財務省の国際比較の手法はおかしなものです」と指摘している。)しかし、その後の最近の比較では、諸外国の制度改革による違いが出て逆に日本が最低になり、財務省の声もずいぶんと小さくなってきている。

 最低という現状を謙虚に受け止め、諸控除の引き上げをおこなうことが、財務省の権威と誇りの回復につながるのではないでしょうか。

 また、課税最低限にはもう1つの矛盾があります。それは、所得の種類が違うと課税最低限の額が違ってくるという問題です。「同一所得の同一課税」という「水平的公平」の理念からいえば、不合理な制度となっています。

 その際立った違いを示すものとして、富山さんは次のような例を挙げている。
 夫婦子2人・片稼ぎという家族構成の場合、事業所得者の控除は人的控除だけで、その額は152万円までである。これに対して、配当所得のみの者の場合は853万円まで課税されず、源泉徴収された税額は全額還付されている。この違いは、配当所得の場合、支払い先の企業で法人税を支払った残りの分配であり、すでに前段階で税金(法人税)を払っているので、個人の確定申告でまた所得税を払うのは二重課税であるからという理屈による。

 しかし、二重課税の理屈を通用するのであれば、消費税もまた「消費とは所得の処分形態」であり所得を得る段階で既に所得税を支払っているので、配当所得同様税額控除すべき税金となります。前に説明したように「同一所得の同一課税」の考え方からすれば、国税という限りでは同一所得に課税する行為は同じであり、最も負担能力の高い配当所得が調整(減税)され、逆にもともと担税力のない消費税には適用されない(増税)というのは実に不合理です。

 「構造改革」路線によって破壊された経済的社会基盤や労働環境を是正する方策を労働運動総合研究所(労働総研)が提出している。2008年10月31日、「正規雇用の拡大と働くルールの確立で外需依存から脱し、内需拡大による景気回復ができる」との試算を発表した。その試算で基本的骨格として次の項目を挙げている。

 派遣とパートらの正規化

 サービス残業の根絶

 週休2日制と有給休暇の完全取得

 これらの項目の実施で635万人分の正規雇用を生み出すと、試算している。その試算をもう少し詳しく見てみよう。

 正規化は、正規雇用がないため派遣となった人や正社員と同じ労働時間のパート363万人が対象とされ、これによって、年収はパートなどで約240万円増の486万円、派遣で約110万円増の351万円(25歳から29歳)など計21兆2922億円増え、消費需要(家計支出)も14兆8963億円増大。誘発される国内生産は24兆2580億円増加し、国内総生産(GDP)を2.52%押し上げると試算している。

 また、中小企業の多い分野の生産増につながるため中小企業へのテコ入れにもなり、税収も国税1.3兆円、地方税0.97兆円、合わせると2兆2700億円も増えると算定している。

 以上は社会保障費の拡大などの財源にもなる。そのための資金は大企業のため込み利益(内部留保)の5.28%程度にすぎず、実現可能だとしている。

 企業の内部保留は、もともと不況時の労働者保護対策費として積み立てられたものだ。今こそそれを利用すべき時なのに、大企業の経営者どもは役員報酬や株配当は2倍以上も大幅に増やしていながら、労働者の保護のために内部保留を使うことを拒否している。役員報酬や株配当を補填するための内部保留と心得違いしているようだ。
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