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2006年9月4日 ホームページ『「日の丸・君が代の強制」と闘う人たちと勝手に連帯するレジスタンスの会』からの引越し完了しました。
今日の話題
暗闇にほのかな希望のともしび(3)


 軍靴の荒々しく傲慢な音に比して、平和への歩 みは遅々としてその足音はかぼそい。意識して聞 くことがなけば人の耳目に届きがたい。しかし、 大きく俯瞰すれば、たしかに平和への歩みは確固 として進んでいる。

 井上さんのエッセイは、次に核拡散防止の問題を 取り上げている。続いて『世界の流れの中で考える 日本国憲法』(下)を読もう。

『世界の流れの中で考える日本国憲法』(下)
「水色ペンキの入ったバケツを下げて非核地帯を 塗り広げる」

 国際法や条約などの堅い約束(ハード・ロー)や、 宣言や行動計画やガイドラインといったゆるい 約束(ソフト・ロー)によって綱のように編まれた 国際社会 ― これはなかなかおもしろい、そし てふしぎな生きものである。戦争と暴力で荒れ狂 っているかと思えば、同時に中立国(いわば良心 的兵役拒否国家)を認め合ったりしている。それ ばかりではなく、この国際社会は、わたしたちの 知らないうちに、途方もない大事業を進めていた りもするのだ。



 自公政府は「国際社会」に貢献するためと、自衛隊 の海外派遣を言挙げする。このときの「国際社会」 とはまぎれもなく「アメリカとその傘下の国々」 のことにすぎない。上の引用文で使われている「国際 社会」とは似て非なるものだ。

 真の意味での国際社会が進めている「途方もな い大事業」の一つが南極をめぐって遂行されてきた。

 かって、アルゼンチン、オーストラリア、チリ、 ニュージーランド、イギリス、フランス、ノルウ ェーの7カ国が南極の領有権を主張していた。 その領有権の争いが1957から始まった「第三回国 際地球観測年」に再燃した。とりわけ、冷戦下の もと、アメリカとソ連の相互不信が問題を大きく した。お互いに「観測にかこつけて南極に軍事基地をつくろ うとしているのではないか?」と疑った。

  国際地球観測年を主催する国際学術連合会議 は問題解決をはかって、上の7カ国にアメリカ、 ソ連、南アフリカ、ベルギー、日本の5カ国を加え て、ワシントンで会議を開いた。議論は紛糾し、 会議は決裂するかに見えた。

 そのとき、日本側が、

「わたしたちは紛争を話 し合いで解決するという憲法を持っている。これ はよりよい世界をめざすための最良の手引き書で あって、人類の知恵がぎっしり詰まっている。 それにもとづいてわたしたちはあくまでも話し合 いで解決するように主張する」

と発言……というのは、オーストラリア国立大学 で住み込み作家(ライター・イン・レジデンス) をしているときに(1976年)、この会議に出席し ていたという地理学の老教授から聞いた話だが、 なにしろ、あのときは日本中の小学生までがお小 遣いを削って献金して基金を集めてやっと築いた のが昭和基地だったし、その上、戦後初めて世界 の学術界に再登場したこともあって気合が入って いた。その気迫に圧(お)されて討論が再開され、 やがてその成果が 「南極条約」 (59年)となって結実した。



 南極条約の主な内容は次のようである。

① 南極地域の平和的利用(軍事基地の建設、 軍事演習の実施等の禁止)(第1条)
② 科学的調査の自由と国際協力の促進(第2、3条)
③ 南極地域における領土権主張の凍結(第4条)
④ 条約の遵守を確保するための監視員制度の設 定(第7条)
⑤ 南極地域に関する共通の利害関係のある事項 について協議し、条約の原則及び目的を助長する ための措置を立案する会合の開催(第9条)

 これを井上さんは次のように要約している。

「領有権は凍結する。南極は人類の共有財産であ り、世界公園である。軍事基地も軍事演習もだめ、 活動は調査研究に限られる。そして核実験も核の 持ち込みも禁止する」

 この核禁止の流れはゆっくりと広がって行った。 気がつくと、

宇宙も(1966年、宇宙条約)
中南米も(68年、ラテンアメリカ非核地域条約)
海底も(71年、海底非核化条約)
南太平洋も(85年、南太平洋非核地帯条約)
東南アジア全体も(95年、東南アジア非核兵器地 帯条約)
そしてついに
アフリカ大陸も(95年、アフリカ非核兵器地帯条 約。アフリカ統一機構閣僚理事会で採択)

どこもかしこも非核兵器地帯になっている。

 試みに、非核兵器地帯を水色のペンキで地球儀 の上に印すと、南半球全体が水色に染まる。もち ろん海底も宇宙も水色一色である。

 相も変らずなんだかんだと真っ赤になって揉め ているのは北半球のお偉方たちだけだ。名古屋大 学名誉教授の森英樹氏の名言を拝借するなら、 〈もう一つの世界は可能だ〉(『国際協力と平和 を考える50話』岩波ジュニア新書)なのだ。

 どぎつい赤を水色で塗り直そうという国際社会 のもう一つの大きな流れの先頭に立っているのは、 もちろん日本国憲法である。わたしは今日も水色 のペンキの入ったバケツを下げて生きている。



 外務省のホームページに 「わが国の軍縮外交」 というサイトがある。その第5章「非核兵器地帯」 の第3節「これまでに作成された非核兵器地帯条約」、 第5節「南極、海底、宇宙・月の非軍事化」 が上の内容に該当する。(全文をPDFファイルでダウン ロードできる。)

第4節は「構想段階にある非核兵器地帯」となってい る。項目だけ抜き書きしておく。

1.中央アジア非核兵器地帯
2.中東非核兵器地帯・中東非大量破壊兵器地帯
3.モンゴル一国非核の地位

 北半球にも「非核兵器地帯」が広がりつつある。 にもかかわらず、日本には核兵器を持ちたがってい るアホな好戦家がたくさんいる。

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