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2006年9月4日 ホームページ『「日の丸・君が代の強制」と闘う人たちと勝手に連帯するレジスタンスの会』からの引越し完了しました。
今日の話題

五木の子守唄(3)


(2) おどま、かんじんかんじん、あん人たちぁ、 よか衆、
よか衆よか帯、よか着物。


 「かんじん」とは、文字後り勧進ヒジリである。 聖なる遊行者としての勧進である。それ以外の意味 はない。勧進を物乞い、乞食という意味で用いる 場合でも、それは乞食一般ではなく、出家姿の物 乞いであり、かなり新しい時代での用法である。 「ひろめよう人権」サイトの「かんじん」=「農 奴」という解釈は成り立たない。

 「あん人たち」とは定住の常民のことであり、そ れを「よか衆」というのは決して貧困者のそねみで はない。遊行流民の勧進者の悲哀をにじませながらも、 そこには定住の常民の精神に侵犯し、彼らを精神的 に支配する神人としての視線から湧出した言葉である。 そして、その「よか衆」の「よか帯、よか着物」は 勧進ヒジリによってもたらされる物だったのだ。 自由に諸国を往来する遊行勧進は経済流通の役目も 果していた。ヒジリは交易を媒介する流浪商人でも あった。

(1)
おどま盆ぎり盆ぎり盆から先ぁ、おらんと
盆が早よ来りゃ早よ戻る。


 そうした遊行漂泊の勧進ヒジリは、祖霊が里に 戻り再び山へと帰って行く盆がすぎれば、勧進ヒ ジリの仕事も終る。祖霊を背負う神人毛坊主が 山と里との間を去来するのは、春秋ではなく、 盆であった。

(3)
おどま、かんじん、かんじん、ぐわんがら打って さろこ、
ちょかで飲炊(ち)ぁてどうにねる。


 「さろく」は「あるきまわる」という意であり、 「ぐわんがら打って」とは、鉢叩き、鉦打 ち、磐叩きのことである。下の句の「ちょか」は 「どびん」、「どうにねる」は「洞に寝る」であ る。つまり、この歌詞は「がんがらを打ちながら 遊行し、どびんで飯を炊いては洞に寝る」という、 まさに遊行勧進の漂泊そのものを唄っている。

(4)
おどんがおればこそ世ん中もめる。
おどんがはってけば、花が咲く。


(5)
花は咲いたてちゃ 毒な花咲かん。
手足かゝじるいげの花。


 「かかじる」は「ひっかく」、「いげの花」は 「ばらの花」。この二つの歌詞は寓意を秘めてい るだろう。米村さんの解読をそのまま引用する。

 遊行漂泊の民と土着常民との葛藤と緊張がここ には唄われている。遊行漂泊の毛坊主はこの世の 法によって生きない。それはまさしく「鳥が自由 に屍体をついばみ得る者」に身をなしてのアウト ロー=法外人としての生である。この世を絶対と せず、この世を乗りこえた法によって生きようと する毛坊主が、自塞した土着常民の法を笑ってい る。



(6)
おどんがとっちゃんなあ、あの山おらす、
おらすと思えば行こごたる


 「とっちゃあん」は「父っあん」なのだが、こ の場合の「父っあん」は仏を意味する。父が仏の 意味を指すことについては、米村さんは別のとこ ろで詳しくふれているが、ここでは簡単に「この場合の 仏とは先祖、祖霊という水準の上での仏である」 ことを確認するにとどめる。

 つまりこの唄には遊行ヒジリ(毛坊主)が 等しく共有している「山と祖霊の山中他界観」、 さらには「祖霊の循環去来説」そのものが表象さ れている。

 以上から、米村さんは「五木の子守唄」の 出自と性格を次のようにまとめている。

 (下降型毛坊主として)すでに村落のはずれに土 着し、あるいは自分たちだけの村落を形成してしま った遊行漂泊の民が、猶も漂泊への想い捨て難く、 遊行への想いを祖霊のいます山へとはせる。その情 念の村落のなかでの立ち登り、それが五木の子守唄で ある。

 貧なるが故に生まれた唄だとする俗説は、それこ そ差別である。祖霊のいます山、まさしく球磨の山 々を軸にしての浮遊と土着の回帰がこの唄を作った ものと思われる。球磨(クマ)という地名のクマと は神の意味であることは、私から言うほどの事でも ない。五木をも含めて人吉盆地を取巻く球磨の山 村こそは、人神毛坊主(カンジンヒジリ)が浮遊し 土着する、その繰返しの聖なる場処であった。



 最後に熊本県知事選挙と相良村村長選挙の結果を 書きとめておきます。

熊本県知事の当選した蒲島郁夫氏は「川辺川ダム」 問題については、マニフェストで次のように述べて いる。

「知事就任後直ちに有識者会議を立ち上げます。 有識者会議は、気象学・河川工学・行政学・行政 法学といった分野における研究者で構成し、ダム 建設の費用対効果について、科学的・客観的そし て行財政の視点も加えた分析を行います。ダムを つくるということの環境的・社会的影響のみなら ず、熊本県がダム建設に対して賛成もしくは反対 を表明した場合、各々について、熊本県の短期的 ・長期的負担額はいくらになるのかをも緻密に計 算します。中止となった場合の、県としての代替 治水案の科学的検討、五木・相良村の更なる振興 策も検討せねばなりません。(後略)」

 たいへん慎重な姿勢を示していますが、 工事続行に疑問的であるニュアンスが私には読め ますが、どうでしょうか。

 相良村村長選は「川辺川ダム」問題では住民投票 を実施して決めると公約した中立的スタンスの徳田 正臣氏が当選。得票数は

中立の徳田正臣氏   1725票
反対派の田口道夫氏  1623票
推進派の堀川金泰氏   191票

 現段階ではっきりと工事推進を支持した村民は 5.4%にすぎないが、はたしてどのような決着を見る でしょうか。つい最近、岩国が防衛省の陰湿で卑劣 な見せ金作戦に敗北した例がある。国土交通省も同じ 穴の狢。まだ予断はできない。

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