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2006年9月4日 ホームページ『「日の丸・君が代の強制」と闘う人たちと勝手に連帯するレジスタンスの会』からの引越し完了しました。
618 世界の国々での学校における国旗・国歌の扱い
2006年9月25日(月)


 「日の丸・君が代の強制」擁護論批判 の中の「2004年9月6日」付記事の一節を再録します。

(1)
 日本は卒業式や入学式のシーズンになると、国旗掲揚や国歌斉唱の是非が 議論される不思議な国である。諸外国の学校で、国旗や国歌に抵抗して、起 立しないことがあるだろうか。植民地であれば統治国に反抗する意図は理解 できるが、独立国であるのに、なぜ、国旗と国歌を無視できるのであろう。


(この意見に対して、私は次のように書きました。)

 Kさん、あなたは、まず最初に事実誤認をなさっています。日本は「卒業式 や入学式のシーズンになると、国旗掲揚や国歌斉唱の是非が議論される」から 不思議な国なのではなく、「卒業式や入学式に国旗掲揚や国歌斉唱を強制す る」から、不思議な国なのです。不思議と言うよりばかばかしい国なのです。
 日本は民主主義国家あるいは自由主義国家を自称しているようですから、 あなたが比較する諸外国も民主主義国家あるいは自由主義国家に限りましょう。
 諸外国の学校では国旗掲揚や国歌斉唱などやらないのです。私にはいま 直接調べることができませんので、信用できる人の証言を信じることにします。



 この後、高橋哲哉さんの文章を引用して、「イギリスやドイツヤフランスの学校行事で国 旗国歌が強制されるということ」が全くないを指摘しました。さらに後の方の記事で デンマークの小学校の 入学日の「儀式」の全くない素敵な行事を紹介してます。そのとき、もっと他の国々ではどうなっているのか、知りたいと思っていましたが、 そのまま調べる機会を逸していました。

  ところで昨日、はからずも阿修羅というサイトの 掲示板(政治部門)でその資料に出会いました。それを紹介します。

阿修羅アニメバナーGIFご尊顔

 出典は『内閣総理大臣官房審議室、および外務大臣官房儀典官室による1985年 資料「諸外国における国旗国歌について」』です。なんと政府がきちんと 調査していたのですね。


1)学校教育での国旗国歌の取扱い(主要40ケ国在外公館調査)

a.ヨーロッパの立憲君主国では学校での国旗掲揚や国歌斉唱をすること が殆ど無い。

イギリス:
 普通の歴史と音楽の授業で取扱い、学校行事では掲揚せず歌わない。

オランダ:
  特に教育する事はない。学校行事で掲揚や歌唱という事も特にない。

ベルギー:
  国旗掲揚の義務はなく慣例もまちまち。国歌は教育されていない。

スペイン:
  学校での規定はない。

デンマーク:
  特別の教育はしない。普通の授業で言及。国歌は行事で殆ど歌わない。

ノールウエー:
 特別な教育はしていない。両親が教えて子供はすでに歌っている。

スウエーデン:
 教科書に無い。国旗は教師に一任。国歌は学校で特別に教えない。

b.ヨーロッパの共和国ではむしろ革命をおぼえて( ママ)国旗国歌を強調する。 しかし、例外がいくつもある。次のとおりである。

ギリシャ:
 学校での規定はない。

イタリア:
 教科書には書かれず、それによる儀式は行われない。

スイス:
  学校内で実際に国歌を歌う事は殆ど無い。

ドイツ:
 各州の権限で決められる。

オーストリア:
 国旗は学校で特に扱われない。

ハンガリー:
 教科書では取り扱われていない。

旧ユーゴ:
 強制はない。教科書での取扱いも学校行事での使用もなかった。

c.アジア・アフリカ地区では、学校での 教育を求めている事が多い。

d.米州・オセアニア各国での例

カナダ:
  国旗も国歌も学校と特定の関係が見られ無い。

アメリカ:
 国旗が掲揚されるが儀式強制はない。国歌は学校と特定の関係が無い。

キューバ:
 国歌は学校での規定はない。

オーストラリア:
 国旗を政府が提供。掲揚も国歌も各学校に委ねられている。

ニュージーランド:
 学校のための統一された規準はない。

2)国歌を国民の慣習に任せ、政府が追認指示するの みで、正式の法律・勅令・大統領決定・最高議会決定で制定していないおもな 国

大韓民国・インドネシア・タイ・イスラエル・エチオピア・エジプト・ イギリス・オランダ・イタリア・スイス・デンマーク・ノールウエー・ スエーデン・フィンランド・オーストリア・ハンガリー・ブルガリア・ キューバ・ニュージーランド旧チェコ・旧ルーマニア
(40ケ国中21ケ国:1975年調査を1985年修正)



 日本の学校教育での「日の丸・君が代の強制」がたいへん異常であることが 浮かび上がってきます。「アジア・アフリカ地区では、学校での教育を求めて いる事が多い。」とありますが、おそらくはいまだ政情不安定な所謂「発展途 上国」でのことでしょう。日本では為政者たちの意識がいまだ「発展途上国」 並なのでしょう。

 ブッシュ父子が政権を担当して以来、アメリカの民主主義があやしげに なってきているが、過去の国旗や国歌に関するアメリカでの判例はさすがです。 これも資料「諸外国における国旗国歌について」からの引用です。


■アメリカでの判例

1943年 バーネット事件 連邦最高裁判決
 「国旗に対する敬礼および宣誓を強制する場合、その地方教育当局の行 為は、自らの限界を超えるものである。しかも、あらゆる公の統制から留 保されることが憲法修正第1条の目的であるところの、知性および精神の 領域を侵犯するものである」(ウエスト・バージニア州 vs エホバの証人)

1970年 バンクス事件 フロリダ地裁判決
 「国旗への宣誓式での起立拒否は、合衆国憲法で保障された権利」

1977年 マサチューセッツ州最高裁
 「公立学校の教師に毎朝、始業時に行われる国旗への宣誓の際、教師が子 どもを指導するよう義務づけられた州法は、合衆国憲法にもとづく教師の 権利を侵す。バーネット事件で認められた子どもの権利は、教師にも適用さ れる。教師は、信仰と表現の自由に基づき、宣誓に対して沈黙する権利を 有する。」

1977年 ニューヨーク連邦地裁
 「国歌吹奏の中で、星条旗が掲揚されるとき、立とうが座っていようが、 個人の自由である」

1989年 最高裁判決(国旗焼却事件)
 「我々は国旗への冒涜行為を罰することによって、国旗を聖化するものでは ない。これを罰することは、この大切な象徴が表すところの自由を損なうこと になる」

1989年 最高裁判決
 上院で可決された国旗規制法を却下。「国旗を床に敷いたり、踏みつけるこ とも、表現の自由として保護されるものであり、国旗の上を歩く自由も保証さ れる」

1990年 最高裁判決
 「連邦議会が、89年秋に成立させた、国旗を焼いたりする行為を処罰する 国旗法は言論の自由を定めた憲法修正1条に違反する。」



 今回の9.21難波判決を非難・指弾する論調が多いが、その論者たちが偏頗な ナショナリズムという「井の中」で騒いでいる「蛙」であることが如実に示さ れています。
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