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2006年9月4日 ホームページ『「日の丸・君が代の強制」と闘う人たちと勝手に連帯するレジスタンスの会』からの引越し完了しました。
168. 詩をどうぞ(13)
2005年1月29日(土)


 燦然たる滅びのための人類史   泉谷 明

昭和四六年五月一八日
集められたのは組合員の三人
たったの三人
象徴ですねえ
のどかな午後でした
無口な女がひとり
脱退しそびれたとしおれる四二才の男
最後ばかりに魅せられて生きてしまったぼくは三三才
こうして履歴書が赤くなっていくけれど非合法なのだろう
 か人間を考えることが
生き残りたいとおもいます
全ての終焉に立合いたい
まっすぐ渦中でせめてドスでも吐きかけたい
野次馬
それでもいい
身だしなみをキチンとやりゃいいのなら長い髪に六〇〇円
 のバイタリス一瓶まるごとぶっかけてやるご丁寧にも櫛
 目までつけてやる機動隊なみの用意はあるだけどなんだ
 いそりゃ
上司が二人
椅子が五個
まわりは木箱で
崖ではウグイス
のどかですねえ
こんな山の奥までやってくる
早いですねえ
笹を踏みわけ
花をたおして
偉大なる管理
尨大なる集権
あっぱれ
あっさりあたふたやってきて汗などぬぐう上司もやっばり
 偉大です
自己放棄の完成度において
あるいは狂躁
うらやましく尊敬します
山菜だお茶だとうろつく同僚もまた偉大
舌など出したらいけません
この際
ぼくらは出されたお茶を飲むしかないのです
ウグイス聞いて
ほのぼのと
あなたのことを考えるのです真昼角を曲っていても暗いとい
 うあなた深夜舗石に胸打ちつけねばならないあなたジャズ
 スポットから船出してしまった沢山のあなた
おかみから金貰っておかみにたてつくふとどきな奴が出てき
 たなんて単純なときに単純に死んでいった祖父
あなた
高く五月の空
遠いのは人間
深い混沌の冷気にかじかむ人間性の機構
ひっかかれた道にのばされるあたたかな血
あなた
ぼくはここまでやってきたあなたのこわがる視線を越えてねじ
 られる夢や涙とともに
正当なる理由
規範が国家なら
規範が人間なら
どうしても広がっていく?み合わないもののなかで国境を巨大
 に殺戮機器を大量に花の愚連隊や機動隊をおだてるだけです
 むことなのか
突如といえば突如です
鳥もあわてて飛びたとう
魂がゆっくりこぼれていきます
ああ愛
あなた
絶対出てってはならぬ国民の信頼を裏切ってはならない
ここのところですいいですか
そこんところですいいのです
わが魂は朝
空よ曇るな
全人類も聞け
国民の信頼を裏切ってはならないのだ
誰が
誰が
どこから派生してくることなのか己れ自身に刺してみることさえ
 しない精神的冷害
保身か
信従か
従属か
荒廃していくのは自然そのものじゃない
国家悪を根本から考えなおすときがきたのだ
民族主義という心情の小箱をぶちわらねばならない
解き放つのだ
フンドシや憤怒の締めひもを
裂け
あらゆる善良さを
幻想の如きものを
管理の倫理
過激派デモの破壊芸術その行為を語れるところまで侵入してみろ
世界を骨の髄まで明るみに出してみるのだ
死を正しく理解して
血は深い意味を生じるまで流さねばならぬ
ぼくらの達成したものは
より多くの悲鳴
より多くの裸体
縛られても走れる魂
世界で自由なのはぼく自身である人間へのあこがれを抱くぼく自身
 である
あなた
しかし
あなた
生命の風でありたいのだぼくは自由そのものでありたいのだ神よ垂直
 に落とされる敵意のなかでいま人間そのものでありたいのだ
父よ
まっとうに生きてきた父よ
あなたの息子はふるえています
涙がふるえていくのです
このささやかなぬくもりのなかで暗い道をおもいますぼくは間違って
 いたか
理性が要求する全てのものを嘲笑する断固たる拒否
自己破壊のために使えるわずかばかりの知恵よ知識よ
処分
ほざくんじゃねえ
うせろ
ぽくは一人だ
山へ放りこまれてたった一人だ
いずれにも属さぬ
いっしょに
やるなら
やれ
いやなら
やめろ

「ユリイカ」(1971年11月号)より
泉 谷 明(いずみや あきら)さん

 お名前を知る程度の方でしたが、この機会に略歴を調べた。
 青森という地域に根を下ろした詩人としてご活躍のようです。寺山修司と並び評されているよ うです。

1938 青森県生まれ 現在弘前市在住
1976 第17回 土井晩翠賞
1977 第4回 青森県芸術文化奨励賞
1979 日本ブリタニカ刊、遊びの百科全書、第10巻・「言語遊戯」に作品載録
1981 米国詩誌「ムーデー・ストリート・イレギュラース」に 中上哲夫とともに
      日本のビート詩人として紹介される「濡れて路上いつまでもしぶき」載録
1983 平凡社刊「日本の名詩」に作品載録
1986 大和書房刊「郷土の名詩」に作品載録
1993 ぎょうせい刊「ふるさと文学館・青森」に作品載録
その他 各地でのポエム・リーデング、ラジオ、テレビ番組
詩 集 
 1966  噴きあげる熱い桃色の鳥         津軽書房
 1968  ぼくら生存のひらひら           〃
 1972  泉谷明詩集・合本             〃
 1972  人間滅びてゆく血のありか         〃
 1976  濡れて路上いつまでもしぶき        〃
 1979  あなたのいる場所へ           沖積舎
 1981  泉谷明全詩集・             津軽書房
 1985  ぼくの持てるすべての抒情を吹きとばし  路上社
 1987  日は降る雪をのぼってきた         〃
 1990  魂の漂白として素足で           〃
 1996  雨の日だからポテトを食べて       亜土詩会
 1997  心配ですか               路上社
 2001  ひとひとり                〃
小 説
 1997  たびだち                路上杜

 日本とひとくくりにするのはよそう。各地でさまざまな人たちがそれぞれの地に根付いて 活躍、いや確かに生きている。
ここでも私は水田ふうさんの「海」のイメージを重ねてしまう。
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