2006年9月4日 ホームページ『「日の丸・君が代の強制」と闘う人たちと勝手に連帯するレジスタンスの会』からの引越し完了しました。
61. 「10・23通達」から処分まで(4)
2004年10月14日
次にやってくるのが事情聴取です。榊さんの文章からです。
『卒業式から10日余り経った日に私は補佐人として、都庁第二庁舎で告知聴聞に弁護 士の立会いを求めるためのやりとりを記録していた。都教委の役人が状況を理解せず、 いたずらに時間を長引かせていたので、私自身の聴聞の時間が迫ってきた。やむなくメ モを取ることを中断して都庁の第一庁舎へ急いだ。告知聴聞の場所はあちこちに分散し ていた。そういう訳で私は一人で会議室に入っていった。何階なのか窓の外には隣の高 層ビルが見えていた。都教委の役人二人を前にすでに校長が座っていた。その横の席に 腰をかけて挨拶した。弁護士はこの場所が分かるだろうか、来なければ一人で対応する 他はない。しばらくして背後のドアーが開いて担当弁護士の姿が見えたので、私は「や あ、お見えになりましたか、さあどうぞ中へ入ってください」と、部屋の中に導き入れ ようとした。あわてた都教委の役人は入っては困ると言って廊下に押し出した。こうな ると弁護士の立会を認める認めないの押し問答となる。これは不利益処分を前提として いる告知聴聞の機会であるから、法の適正手続きの観点から当然弁護士の立会が認めら れるべきだというのがこちらの主張である。都教委側は国際標準の手続きを無視して、 理由はないが弁護士の立会は認めないというまったく論になっていないことを言い張る。 こんなことで告知聴聞に予定された一時間が過ぎてゆく。 私も補佐人として二回弁論を聞いて論理の展開を覚えてしまったから時々役人に優し く言いきかせてあげるのだけれども、穏やかに言っても険悪にしても結局は同じことで 法の適正手続きを踏もうとしない。これは裁判段階ではとうてい許されることではな い。』(P90~P91)
「告知聴聞」などという聞いたこともない言葉が出てきました。事情聴取のことのようですが、 法律用語でしょうか。手元の「小六法」の索引を調べましたがありません。
前回で、式の直後に不起立を確認をすることを手先やスパイたちは「現認」と言っていましたが、 これもいかにも役人的ないやらしい言葉です。都教委の連中は腐れ文学者・石原のばかばかしい 言葉のセンスを身に付けたのでしょう。
事情聴取が二つあるようです。一つは校長が都教委に提出する「服務事故報告書」を作成する ために不起立者を個別に校長室に呼んで行うものです。もう一つは、校長の報告に基づいて、 都教委が不起立者を都庁などに呼び出して行うもので、それを「告知聴聞」というようです。
前者の例と後者の例を一つずつ引用します。
『卒業式後、教頭はすぐ私の後を追って職員室についてきました。事情聴取の呼び出し です。都教委のマニュアルにそう書いてあるのでしょう。疑わしき人物とされているで あろう私からひとときたりとも目を離さない密着ぶりでした。少し頭に来た私は逃げ回 りはじめました。教頭は必死で、もう鬼ごっこ状態。職員室の中をあっちへぐるぐる こっちへぐるぐる、机をはさんで行ったり来たり、途中でトイレに行って小用をしてい る間も、すぐ横で私が逃げ出さないように徹底的に見張っているありさま。教頭は普段 はけっして悪い人間ではないのですが、教育行政の末端を担わされ命令体系の中に位置 づけられると自分を見失い、自身がやっていることの意味がわからなくなってしまった のでしょう。
そうこうするうちに、本校同窓会員のHさんが職員室のほうへやって来ました。Hさ んは前日、学校に対し「『日の丸・君が代』の強制をするな、処分をするな」という申 し入れ書を送ったそうです。その彼が、教頭が私を追っかけているところを目撃して、 「人間としてやってはいけないことだぞ」「監視するな」と言うと、教頭は「監視ではな い」と答え、すかさずHさんが「嫌がる人間を追いかけることを日本では監視と言うの だ」と応じたのでした。
その後、私が事情聴取に呼び出された部屋にもHさんは強く抗議に来てくださいまし た。彼が校長室との境のドアを開けたとき、その隙間から都教委から派遣された監視役 が待機しているのが見えたのです。私は「ああ、これは本当にあってはならないことが 起きているんだな」と思いました。これはまさに悪が具現しているかのようでした。市 民社会の中で、地域の学枚の中でこのような事態がひそかに進行していることの恐ろし さをまざまざと思い知らされたのです。』(P.210~P.211)
『1月○日、渋谷区にある人事部の分室で、校長同伴で事情聴取が行われた。校長に文書 がほしいといったら、校長名による「服務事故に関する事情聴取」と書いた出張命令が出さ れた。私は同僚とともに行ったが、校長は建物の前で待っていて、同僚が一緒に中に入る のはとんでもない、と制止された。やむなく同僚は建物の外で待つことになった。
私は録音テープを持参して、管理主事と、録音をとること、それがだめならメモをとる こと、また外に出て相談することについて数分間やり取りを行った。しかし、一切認めら れないので部屋を出ようとしたが、「あなた自身で判断してください」と強い言葉で言わ れ、やむなく事情聴取に応じることにした。管理主事の言い分はあらまし以下である。
服務事項は守秘義務があります。表に出てしまったらプライバシーが守られません。 皆さんのいろんな人権を侵害することになります。
以下は、直後のメモにもとづく要点である。
管理主事「職務命令書の中で、起立して国歌を斉唱することは理解されてましたね」
立川 「はい」
管理主事「自分の意思で立たなかった、座ったということですね」
立川「はい」
管理主事「あなたの行為は、職務命令違反に該当します。このことについて何らかの処 分または措置が決められます。このことについて何かありますか」
立川「思いはありますが、ここでは話しません」
管理主事「処分にしたがっていただけるのですか」
立川「処分が決定されたら、従わざるを得ませんが、不服がある場合はまた、考えます」
管理主事「地方公務員法32条に上司の命令に従わなければならないとありますが、知っ ていますか。老婆心ながら言いますが、地方公務員として上司の命令に従わないと重い処 分になりますよ」
立川「弁明はありません」
事情聴取の記録文書を確認する。私は押印を拒否した。
管理主事「本人が拒否したと記録します」
校長が立会人として、署名、押印する。
管理主事「一回だけなら服務事故ですが、職務命令違反を何回も行うと、分限ということ に変わってきます。公務員としての資質能力を欠くという問題になってきます」
』 (『日の丸・君が代処分』より P30~P30 筆者・ 立川秀円さん)
2004年10月14日
次にやってくるのが事情聴取です。榊さんの文章からです。
『卒業式から10日余り経った日に私は補佐人として、都庁第二庁舎で告知聴聞に弁護 士の立会いを求めるためのやりとりを記録していた。都教委の役人が状況を理解せず、 いたずらに時間を長引かせていたので、私自身の聴聞の時間が迫ってきた。やむなくメ モを取ることを中断して都庁の第一庁舎へ急いだ。告知聴聞の場所はあちこちに分散し ていた。そういう訳で私は一人で会議室に入っていった。何階なのか窓の外には隣の高 層ビルが見えていた。都教委の役人二人を前にすでに校長が座っていた。その横の席に 腰をかけて挨拶した。弁護士はこの場所が分かるだろうか、来なければ一人で対応する 他はない。しばらくして背後のドアーが開いて担当弁護士の姿が見えたので、私は「や あ、お見えになりましたか、さあどうぞ中へ入ってください」と、部屋の中に導き入れ ようとした。あわてた都教委の役人は入っては困ると言って廊下に押し出した。こうな ると弁護士の立会を認める認めないの押し問答となる。これは不利益処分を前提として いる告知聴聞の機会であるから、法の適正手続きの観点から当然弁護士の立会が認めら れるべきだというのがこちらの主張である。都教委側は国際標準の手続きを無視して、 理由はないが弁護士の立会は認めないというまったく論になっていないことを言い張る。 こんなことで告知聴聞に予定された一時間が過ぎてゆく。 私も補佐人として二回弁論を聞いて論理の展開を覚えてしまったから時々役人に優し く言いきかせてあげるのだけれども、穏やかに言っても険悪にしても結局は同じことで 法の適正手続きを踏もうとしない。これは裁判段階ではとうてい許されることではな い。』(P90~P91)
「告知聴聞」などという聞いたこともない言葉が出てきました。事情聴取のことのようですが、 法律用語でしょうか。手元の「小六法」の索引を調べましたがありません。
前回で、式の直後に不起立を確認をすることを手先やスパイたちは「現認」と言っていましたが、 これもいかにも役人的ないやらしい言葉です。都教委の連中は腐れ文学者・石原のばかばかしい 言葉のセンスを身に付けたのでしょう。
事情聴取が二つあるようです。一つは校長が都教委に提出する「服務事故報告書」を作成する ために不起立者を個別に校長室に呼んで行うものです。もう一つは、校長の報告に基づいて、 都教委が不起立者を都庁などに呼び出して行うもので、それを「告知聴聞」というようです。
前者の例と後者の例を一つずつ引用します。
『卒業式後、教頭はすぐ私の後を追って職員室についてきました。事情聴取の呼び出し です。都教委のマニュアルにそう書いてあるのでしょう。疑わしき人物とされているで あろう私からひとときたりとも目を離さない密着ぶりでした。少し頭に来た私は逃げ回 りはじめました。教頭は必死で、もう鬼ごっこ状態。職員室の中をあっちへぐるぐる こっちへぐるぐる、机をはさんで行ったり来たり、途中でトイレに行って小用をしてい る間も、すぐ横で私が逃げ出さないように徹底的に見張っているありさま。教頭は普段 はけっして悪い人間ではないのですが、教育行政の末端を担わされ命令体系の中に位置 づけられると自分を見失い、自身がやっていることの意味がわからなくなってしまった のでしょう。
そうこうするうちに、本校同窓会員のHさんが職員室のほうへやって来ました。Hさ んは前日、学校に対し「『日の丸・君が代』の強制をするな、処分をするな」という申 し入れ書を送ったそうです。その彼が、教頭が私を追っかけているところを目撃して、 「人間としてやってはいけないことだぞ」「監視するな」と言うと、教頭は「監視ではな い」と答え、すかさずHさんが「嫌がる人間を追いかけることを日本では監視と言うの だ」と応じたのでした。
その後、私が事情聴取に呼び出された部屋にもHさんは強く抗議に来てくださいまし た。彼が校長室との境のドアを開けたとき、その隙間から都教委から派遣された監視役 が待機しているのが見えたのです。私は「ああ、これは本当にあってはならないことが 起きているんだな」と思いました。これはまさに悪が具現しているかのようでした。市 民社会の中で、地域の学枚の中でこのような事態がひそかに進行していることの恐ろし さをまざまざと思い知らされたのです。』(P.210~P.211)
『1月○日、渋谷区にある人事部の分室で、校長同伴で事情聴取が行われた。校長に文書 がほしいといったら、校長名による「服務事故に関する事情聴取」と書いた出張命令が出さ れた。私は同僚とともに行ったが、校長は建物の前で待っていて、同僚が一緒に中に入る のはとんでもない、と制止された。やむなく同僚は建物の外で待つことになった。
私は録音テープを持参して、管理主事と、録音をとること、それがだめならメモをとる こと、また外に出て相談することについて数分間やり取りを行った。しかし、一切認めら れないので部屋を出ようとしたが、「あなた自身で判断してください」と強い言葉で言わ れ、やむなく事情聴取に応じることにした。管理主事の言い分はあらまし以下である。
服務事項は守秘義務があります。表に出てしまったらプライバシーが守られません。 皆さんのいろんな人権を侵害することになります。
以下は、直後のメモにもとづく要点である。
管理主事「職務命令書の中で、起立して国歌を斉唱することは理解されてましたね」
立川 「はい」
管理主事「自分の意思で立たなかった、座ったということですね」
立川「はい」
管理主事「あなたの行為は、職務命令違反に該当します。このことについて何らかの処 分または措置が決められます。このことについて何かありますか」
立川「思いはありますが、ここでは話しません」
管理主事「処分にしたがっていただけるのですか」
立川「処分が決定されたら、従わざるを得ませんが、不服がある場合はまた、考えます」
管理主事「地方公務員法32条に上司の命令に従わなければならないとありますが、知っ ていますか。老婆心ながら言いますが、地方公務員として上司の命令に従わないと重い処 分になりますよ」
立川「弁明はありません」
事情聴取の記録文書を確認する。私は押印を拒否した。
管理主事「本人が拒否したと記録します」
校長が立会人として、署名、押印する。
管理主事「一回だけなら服務事故ですが、職務命令違反を何回も行うと、分限ということ に変わってきます。公務員としての資質能力を欠くという問題になってきます」
』 (『日の丸・君が代処分』より P30~P30 筆者・ 立川秀円さん)
スポンサーサイト