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2006年9月4日 ホームページ『「日の丸・君が代の強制」と闘う人たちと勝手に連帯するレジスタンスの会』からの引越し完了しました。
今日の話題3

米国の属国・日本(5)

  11月14日付の東京新聞に前回転載した「辺野古・高江リポート」の続編が掲載されました。まずそれを転載しておきます。。


 【3日】
  沖縄県名護市辺野古で開かれた県民大行動には、韓国済州島の中学校に通う生徒八人の姿もあった。
  住民が反対する中、海軍基地戯建設が強行された済州島と似た環境境にある沖縄で、米軍の新基地建設に反対する市民の運動や平和について学ぼうと、引率者のキム・ホンタク先生が企画した。
  生徒のイ・ジョンヒョンさん(十四)は「こんなにも多くの市民が反対運動に参加していて驚いた」と話した。

 【5日】
   沖縄防衛局は県の承認撤回後に回収された浮具(フロート)の設置を続けた。
   市民らは「作業をやめろ」と抗議の声を上げた。
   午前八時すぎ、汀間漁港から抗議船二隻が出港した。カヌーも十五艇ほど繰り出し、海上での抗議活動を展開した。
   海上保安庁のゴムボートとの間で小競り合いが起こり、市民が拘束される場面もあった。
 【8日】
   辺野古の新基地建設工事の再開からー週間が経過。
   政府は大浦湾側での海上作業を進める。この日には沖合の長島と平島の近くにもオイルフェンスを設置した。
   今後は辺野古崎よりも西、辺野古橋側での設置作業を進めていくとみられる。
   海上と米軍キャンプ・シュワブのゲート前では、市民らが抗議し、工事断念を求めた。

 【10日】
   沖縄防衛局は臨時制限区域を示すオイルフェンスとフロートで大浦湾を囲った。
   市民らは「大浦湾を壊すな」「違法工事を止めろ」などと怒りの声を上げた。
   辺野古側は作業中で同フュンスや浮具でまだ囲われていない。

   抗議市民はカヌー十五艇と船三隻で抗議行動を展開。
   ロープを同フェンスに結び付けるなどして抗議の意志を示し、周辺を警備する海上保安官ともみ合う場面もあった。

  シュワプのゲート前では市民約百人が集まり、新基地建設反対を訴えた。

  さて、今回は過去記事の中から「辺野古問題」が始まった経緯を論じている部分を取り上げることにします。
  まずカテゴリ『沖縄に学ぶ』の中の記事『沖縄問題の本質(8):日本には国境がない』を読んで、日本が米国の属国(というより、ここでは植民地と言った方が適切でしょう)になった経緯を要約しておきましょう。


 日本がアメリカの植民地状態に置かれていることを示す文書がある。それは、1957年2月14日、日本のアメリカ大使館から本国の国務省にあてて送られた基礎資料を基に作成された秘密報告書である。
 その報告書は当時、再選されたばかりだったアイゼンハワー大統領が、世界中の米軍基地の最新状況を把握するため、フランク・ナッシュ大統領特別補佐官に命じてつくらせた極秘報告書で、「ナッシュ・レポート」と呼ばれている。

 日本国内におけるアメリカの軍事行動のきわだった特徴は、その規模の大きさと、アメリカにあたえられた基地に関する権利の大きさにある。〔安保条約にもとづく〕行政協定は、アメリカが占領中に保持していた軍事活動のための権限と権利を、アメリカのために保護している。安保条約のもとでは、日本政府とのいかなる相談もなしに米軍を使うことができる。

 米軍の部隊や装備なども、地元とのいかなる取り決めもなしに、また地元当局への事前連絡さえなしに、日本への出入りを自由におこなう権限があたえられている。すべてが米軍の決定によって、日本国内で演習がおこなわれ、射撃訓練が実施され、軍用機が飛び、その他の非常に重要な軍事活動が日常的におこなわれている。

 こうした米国の日本国に対する植民地扱いは現在まで連綿と続けられている。その一例として東京新聞の連載記事<税を追う>の昨日(2018.11.16:金)の記事「歯止めなき防衛費(3)進む日米一体化 軍事戦略の一翼担う」を転載しておこう。


 四回目の核実験、続く長距離弾道ミサイルの発射。2016年2月、北朝鮮の挑発行為に半島情勢は緊迫の度合いを増していた。

  ハリス氏は今年2月の米下院軍事委員会でも日本の地上イージス導入の効果を聞かれ、
  「私や海軍、太平洋艦隊の負荷の一部を軽減することになるだろう」
 と明言した。日本国内では今も、「トランプ氏に買わされた」との声がくすぶる。

  地上イージスを運用する陸上自衛隊でトップの陸幕長まで務めた冨澤暉(ひかる)氏は、日本で先にミサイル弾道を探知すれば米国は迎撃しやすいと分析。日米一体の運用を見据えた配備とみる。
  「日本にとってミサイル防衛はあったほうがいいが、米国は日本を守るためだけに売るわけではない」

  政府が配備候補地に挙げるのは、陸自の新屋演習場(秋田市)とむつみ演習場(山口県萩市、阿武町)。
  北朝鮮から秋田、山口に向かう延長線上には、それぞれ米軍基地のあるハワイとグアムが位置する。
  もし、北朝鮮がグアムを狙ってミサイルを発射したらどうするのか。
  防衛省の答えは「地上イージスで対応することも理論上は考えられる」。
  日本を守るための兵器が米国を守るために使われる可能性を認めた。

  「地上イージスだけでなく、どんどん日米の軍事一体化が加速している。」
  民主党政権で防衛相を務めた北沢俊美氏は、第二次安倍政権下での日米同盟の変貌ぶりに目を見張る。

  転機は15年9月、他国を武力で守る集団的自衛権の行使に道を開いた安全保障関連法の成立だ。
  自衛隊の戦闘機や護衛艦が、米軍機や米艦を警備するケースが増えている。日米安保政策に長年かかわってきた米国務省   の元高官でさえ、「五年前にはあり得なかった光景だ」と言う。

  官邸で安保政策を担当する薗浦健太郎首相補佐官は
  「今や日米同盟は、かつてないほど強固。揺るぎない絆により、同盟の抑止力・対処力は大きく向上し、日本の安全はより確固たるものになった。」 と主張する。

    今年9月、海上自衛隊は中国が進出を強める南シナ海で潜水艦の訓練を実施したと発表した。
  「極秘であるはずの潜水艦の行動を公表することは、本来ありえない。」
  北沢氏は異例の公表に、米国にすり寄る日本の姿を重ねて続けた。
  「集団的自衛権が容認された証しとして世界にアピールする。おもねってるんだ、米国に」

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今日の話題3

米国の属国・日本(4)

 前回で紹介した鎌田慧さんの「本音のコラム」の下に「話題の発掘」というコラム欄があり、そこの今回の記事は『辺野古・高江リポート』でした。
 米国の属国の傀儡政権は沖縄の民意を無視して暴力的に辺野古の新基地建設工事を押し進めている。その問題の現況を取り上げている琉球新報の記事を転載したもので現時点での辺野古の様子を知ることができます。


 辺野古・高江リポート

 【10月31日】
  沖縄県名護市辺野古での新基地建設を巡り、国土交通相が知事の埋め立て「承認」撤回の執行を停止する措置を決定してから一夜明けた。米軍キャンプ・シュワブ沿岸部での工事作業は確認されなかった。
 基地ゲート前では建設に反対する市民ら約四十人が座り込み、 「何度、沖縄を愚弄するのか」などと抗議した。

 【11月1月】
  沖縄防衛局は、工事に反発する市民の声が海上やキャンプ・シュワブのゲート前で飛び交う中、工事を再開した。
  海上で抗議する十六艇のカヌーは海上保安庁に排除され(抗議船に海保職員乗り込む弾圧の様子を捉えた写真が掲載されている)、浜から沖合に延びる浮桟橋が設置されるなど作業は着々と進められた。
  市民は「工事を止めるのが翁長雄志前知事の遺志、沖縄の民意だ」と訴え、決して諦めないことを誓った。

 【2日】
  浮具(フロート)を並べる作業が続き、新基地建設に反対する人たちは抗議船やカヌーで工事の中止を求めた。
  海上保安庁は海を監視し、反対の意思を示す人たちを拘束している。抗議船「不屈」には海保職員が乗り込み、約四十分間、拘束が続いた。

 【3日】
  新基地建設に反対するオール沖縄会議の県民大行動がキャンプ・シュワブのゲート前で開かれた。千人(主催者発表)が駆け付けた。
  前名護市長で、オール沖縄会議共同代表の稲嶺進さんが
 「絶対に負けずひるまず、しなやかに最後の最後まで、みんなの力をチムグクル(人の心にある深い思いを指す沖縄の方言)を一つにして頑張ろう」
 と呼び掛けた。市民は互いに手を取り合いガンバロー三唱し、建設阻止を改めて誓った。

 この記録を受け継ぐように、今日(11月13日)の東京新聞の社説が辺野古移設を取り上げ「民意伝えて打開策探れ」と政府を批判していた。正論です。これも転載しておきます。


   (前文)
  沖縄県名護市辺野古への米軍新基地建設を巡り、県と政府の集中協議が始まった。
  政府は無理やり再開した工事を直ちに止め、米側との再交渉など、県民が納得できる打開策を示すべきだ。

  協議は、六日の玉城デニー知事と菅義偉官房長官の会談で合意された。菅氏の受け入れ判断は良いが、工事続行は納得できない。県の埋め立て承認撤回に対し防衛省が行った効力停止の訴えを、国土交通相が認めて工事が再開された。
 脱法的との批判もある手続きは見直しが当然だろう。
 九日に謝花喜一郎副知事と杉田和博官房副長官の間で行われた初協議は、米軍普天間飛行場の辺野古移設「阻止」と「推進」と、双方が立場を主張するに終わった。
 十日に沖縄を訪れた岩屋毅防衛相と玉城氏の会談も平行線をたどった。このままでは溝は埋まらない。沖縄の民意は直近二回の知事選で明確にされた。ここは政府側が打開策を提示するしかない。
 普天間返還と県内移設で日米両政府が合意して二十二年。両国の政権は何度も代わり、日本周辺の安全保障環境も変わりつつある。
 この機に政府がすべきは、沖縄の民意を米側に伝えて再交渉に臨むことではないか。トランプ米大統領は就任前、海外駐留米軍の運用見直しに言及した経緯がある。
 普天間を拠点とする海兵隊が今後も沖縄に常駐する意義があるか、突っ込んだ議論を期待する。
 折しも、玉城氏も訪米し沖縄の声を米政府関係者らに届けようとしている。沖縄からの平和の構築を掲げる玉城氏には、基地の島を返上し、どんな役割を果たせるかを積極的に発信してほしい。
 政府は、普天間返還のために辺野古移設が「唯一の解決策」と繰り返してきた。「沖縄の同意を得て移設が決定された」とも言う。
 だが、軍民共用や使用期限の条件付きで県知事らが移設を容認したことはあっても現在の基地固定案を県民が信任したことはない。
 そもそも普天間飛行場自体、沖縄戦中、戦後に住民の土地を強制接収して造られた。移設なしの返還が道理である。政府は認識を根本から変えるべきだ。
 県は、国交相の決定を不服とし月内に国地方係争処理委員会へ申し立てる準備を進める。協議期間も一応月末までとされるが、双方にはじっくり話し合いを進めるよう望む。今夏の台風被害で、辺野古埋め立て土砂の現場搬入が難しくなっている。工事も決して急ぐときではない。

今日の話題3

米国の属国・日本(3)

 東京新聞の連載記事「税を追う」を用いて日本政府の「米国の属国」ぶりを取り上げてきましたが、11月6日の「本音のコラム」で鎌田慧(ルポライター)さんが東京新聞の記事以外の「米国の属国」ぶりを示す事実を繰り込みながら「頑張る新聞!」と題する論説を書いて、「米国の属国」ぶりを厳しく批判しています。これを全文転載させて頂くことにします。


 頑張る新聞!

  防衛省はなぜ、山口と秋田に,地上配備型迎撃システム(イージス・アショア)を配備するのか。
  二基で二千三百五十二億円。一発四十億円のミサイル代などを含めると総額八千億円以上もの浪費になりそうなのに。

  ハワイに向かう北朝鮮の弾道ミサイルを秋田で、グアムへ向かうのを山口県萩市で落とすとか、米国第一主義の防衛計画。
  そもそも北朝鮮が米国にミサイルを発射させないようにする努力が積極的平和主義」だ。
  「南北の融和と民生安定に、隣国として力を尽くすべきではないのか。

  地上イージスを配備する明確な理由、必要性が私には見えない。
  兵器に託す未来を子どもたちに残すわけにはいかない」と自社の新聞に書いたのは
 『秋田魁新報』の小笠原、直樹社長だ。
  地上イージスが配備されれば「蟻の一穴」。県は半永久的なミサイル基地となり、再び「強兵路線」に転じる、
との強い憂慮を書いた。
  紙面には記者が東欧の配備地を取材するルポを掲載し、社長先頭の基地反対キャンペーンですがすがしい。

  東京新聞も「兵器ローン残高 5兆円突破 米から購入 安倍政権で急増」
 と、米の「後見人」から浪費を強要されている、グロテスクな安倍政治を視覚化する記事を連発。

  沖縄では基地建設は認めない、とする県民投票が始まる平和憲法存亡の秋。
  新聞が力を示す時だ。
 

今日の話題3

米国の属国・日本(2)

 日本が米国の属国であることを如実に示しているのが在留米国軍の存在であり、その米軍の異常な暴虐無人ぶりを許している法的根拠が「日米地位協定」です。
 日米地位協定については『沖縄に学ぶ』の中の記事『機密文書「日米地位協定の考え方」』でかなり詳しく論じていますが、前回の末尾で予告したように、この問題に対する詳細で分かりやすい論考に出会ったので、その論考の紹介を兼ねて、再度この問題を取り上げることにしました。

 その論考は季刊『現代の理論』(デジタル)17号(2018年11月1日発行・発信)の中の前田哲男(ジャーナリスト)さんによる論考【日米地位協定を考える―基地問題を軸に…安倍軍拡・脱専守防衛の基盤が「日米安保条約」です。この論考の目次は次の通りですが、本稿のテーマに直接関連する「1と2」を転載させて戴くことにします(tennsaその他の項は必要に応じて直接お読みください)。
はじめに
1.ルーツとしての「日米行政協定」
2.行政協定を引き継いだ60年安保の「地位協定」
3.沖縄への適用 大田知事の改正提起
4.「新ガイドライン」に見る基地使用の新段階
5.「全国知事会」が見直し提言に踏みきる
おわりに



1.ルーツとしての「日米行政協定」

 地位協定は、正式名称を「日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第6条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定」という。

 そもそも慣習国際法の世界では、軍隊は(海外または外国の地にあっても)その属する国家の延長とみなされ、治外法権を主張できるとされる。そこから「派遣国」と「受け入れ国」とのあいだに国家主権をめぐる根源的な矛盾とあつれきが生じることとなる。

 20世紀前半までの国際社会では、自外国領土への外国軍隊の駐留は例外的な事象、たとえば、(戦闘の結果としての)「戦時占領」、または(満州に駐屯した関東軍のような)植民地における「駐屯軍」といった特殊ケースしかなかった。
 ところが、第2次世界大戦後の冷戦期になると、米ソ両陣営とも外国に自国軍を常駐させる状態が一般化し、その結果、派遣国軍隊の治外法権と、受け入れ国の領土主権との調整をはかる必要から「軍隊の地位に関する協定」がむすばれるようになった。
 NATO地位協定、米韓地位協定などとともに日米地位協定も、その類型に属する。

 日本の場合でいうと、敗戦から占領期をへて独立回復(1951年のサンフランシスコ平和条約)がなされたのと同日、アメリカと安全保障条約(旧安保)が調印され、そこに「日本国内及びその附近にアメリカ合衆国がその軍隊を維持することを希望する」(前文)と規定されたため、「米軍隊を規律する条件」(第3条)として「日米行政協定」(当時は地位協定をそうと呼んだ)がむすばれた。
 「基地」をめぐる日米摩擦の歴史がここにはじまるのである。

 派遣国の「軍隊主権」と受け入れ国の「領土主権」の衝突という根本的な問題にくわえ、「日米行政協定」はより卑屈かつ従属的な内容を盛りこんでいた。
 サ条約は、「占領軍は、いかなる場合にも90日以内に日本国から撤退しなければならない」(第6条 占領の終結)と規定していた。本来なら、当時、全国に2824か所、26万人いた米軍兵士(軍政下にあった沖縄をのぞく)は基地もろとも消滅するはずだった。
 しかし、吉田茂内閣による安保条約締結がそれをふいにした。米側交渉代表J.F.ダレスは「我々が望むだけの軍隊を、望む場所に、望むだけの期間、駐留させる権利を獲得する」(全土基地方式)方針を主張し、日本側がそれを受けいれたからである。
 その結果、平和条約発効時に存在した「占領軍基地」の主要部分は、そのまま(安保条約にもとづく)「駐留軍基地」へと看板を書き替えただけで(独立回復から90日が経過しても)米軍管理・米軍管理下に据え置かれることとなった(岡崎・ラスク交換公文によりそれを認可した)。
 さらに重要なことは、「日米行政協定」交渉が「内閣の一般行政事務」として行政府かぎりで処理され、その内容は国会にはかられず、批准・承認も必要ない形式、つまり国民のあずかり知らぬ政府間交渉で取り決められたことである。

   「独立回復」をよろこぶ国民は、安保条約の裏側にそのような「占領軍基地の永続化」がかくされている事実を知るよしもなかった。
 もっと悲惨だったのは沖縄基地の場合だった。平和条約で日本政府は、沖縄を本土から切り離し米統治下とすることに同意したため、それまでの「戦時占領」が継続され「銃剣とブルドーザー」による基地収奪が以後もつづくのである。

2.行政協定を引き継いだ60年安保の「地位協定」

 1957年、岸信介内閣が「安保改定」に乗りだし、60年6月、現行安保条約が成立した。
 さまざまな論点、また警官隊導入による強行採決など、いくつもの問題点があるが、ここでは基地問題にしぼって見ていこう。

 結局のところ、改定安保では「日米行政協定」が「日米地位協定」と名称変更されたほかは、米軍基地の権益になんの変更ももたらさなかった。
 いちおう「地位協定」は国会の承認を要する安保条約の付属協定として上程された。しかし、内容といえば「行政協定」時代とかわりない「排他的な基地管理権」と「米兵犯罪は米軍に」を継承し、保証するものであった。

 たしかに地位協定は、国会に「承認案件」として提案された。とはいえ、全文28条からなるこの協定の実質審議はおこなわれなかった。なぜなら、60年2月、衆議院に設置された「特別委員会」審議の論点は、安保条約本体がもつ幾多の問題点――改定そのものの必要性、極東の範囲、集団的自衛権、海外派兵など――に集中し、そのうえ、審議なかばにして強行採決された結果、関連批准案件である「地位協定」の各条について、それが、いかなる根拠、意義、限度をもつものか、などの質疑はいっさいなされなかったからである。

 もし、60年安保国会で地位協定の逐条審議がおこなわれていたなら、その不平等性、従属性はもっとはやく国民の知るところとなっていただろう。
 「思いやり予算」と称する(名前からしてうさん臭い)支出費目、全国どこにも設定できる「低空飛行訓練空域」など、拡大解釈による運用――それを可能とする「駐留軍用地特別措置法」「刑事特別法」「航空法特例法」などの「安保特例法」――がうまれる余地はなかったにちがいない。
 しかし、審議打ち切り・強行採決でその機会は失われた。

 したがって、日米戦後史の流れに則していうとつぎのようになる。

 占領時代の米軍基地特権は、1952年、(国会審議なしの)<吉田安保>に継承され、60年の<岸安保>も、ほぼおなじ権益を(実質的な国会審議抜きで)追認した。
 その結果、在日米軍基地にかんしては(立法府の意思さえ反映されずに)占領期の強制接収をひきずった状態で、基地提供が、いわば<既得権益>として順送りに継承されてきたのだ、と。
 とりわけ沖縄基地の場合は、(改定された安保条約のもとでも)いぜん「日本の施政の外」に置かれたので、占領=軍政そのものの基地使用がつづくこととなった。

 ここで「全土基地方式」というキーワードの移り変わりを考えてみる。
 占領期において「占領軍調達命令」は抗弁を許されぬ絶対のものだった。必要とされる場所すべてが接収の対象とされた。
 <吉田安保>では(ダレスのいう)「望む場所・望む期間・望むだけの兵員」を満足させるため「駐留軍用地特別措置法」が制定された(1952年)。
 一方的な基地指定に反対して「内灘闘争」や「砂川事件」「妙義闘争」など多くの反基地運動が起こったことはよく知られている。

 「地位協定」時代になると、「日米合同委員会」(第25条)という常設機関がすべてを取り仕切るようになり、その合意と決定が安保運用にかんする最高方針となった。
 地位協定第2条は「個個の施設及び区域に関する協定は、合同委員会を通じて締結しなければならない」と規定する。裏を返せば、合同委員会の合意があれば、全国どこにでも基地新設が可能となる仕組みだ。合同委員会メンバーに閣僚はいない。
 日本側・外務省北米局長、米側・在日米軍司令部副司令官がトップである。その下に20を超す省庁横断型の分科委員会と部会がもうけられて案件を処理する。思いやり予算なら「財務分科委員会」、低空飛行訓練空域は「施設分科委員会」や「航空分科委員会」といった具合である(辺野古新基地の場合は「SACO実施部会」が受けもつ)。

 日米合同委員会の議事録や合意文書は「非公開が原則」とされ、決定事項は(実施の必要上)官報に掲載されるが、国会承認がもとめられることはない。情報開示請求も受けつけず、文字どおり<闇の権力>である。
 このような機関で、(辺野古など)基地の新設、(低空飛行訓練など)空域の使用が協議され、「閣議決定」にいたるのである。そうしてできた基地は、第3条(基地管理権)によって「運営し、維持し、占有し、整備し、警備し、及び管理すること」が保証される。
 いまなお「占領期を引きずっている」というのは、そのような意味においてである。

今日の話題3

米国の属国・日本(1)

 《米国の属国・日本》 をカテゴリ名とした記事を2年ほど前に書いていますが、最新の情報を用いて、それを補充しようと思い立ちました。

 東京新聞の11月1日・11月2日の第一面のトップ記事のテーマは「税を追う」で、11月2日の記事の表題は
   『米兵器維持費2兆7000億円』
でした。記事を全文転載しておきます。


<前書き>
 防衛省が米国政府の対外有償軍事援助(FMS)を利用して導入、あるいは導入を予定している戦闘機「F35A」など五種の兵器だけで、廃棄までの20~30年間の維持整備費が2兆7千億円を超えることが同省の試算で分かった。
 同省は2019年度のFMSによる維持整備費に千75億円を見込んでいるが、F35Aなどの本格的な配備はこれからで、将来的に年間の維持整備費が大幅に増え、防衛予算を圧迫していく。 (「税を追う」取材班)

<本文>
 日本などの同盟国がFMSを利用して米国から兵器を購入する際、米国政府は最新技術の流出を避けるため、秘匿性が高い部分の修理整備はFMSに基づき、製造元の米国メーカーが行うことを求めている。
 購入国は兵器を廃棄するまで、維持整備費を米国政府に払い続けることになる。

    防衛省の試算によると、42機導入するF35Aの場合、機体の購入費(計5千9百65億円)に加え、米国政府などに支払う維持整備費に30年間で約1兆2千8百億円を見込む。

  このほか購入費が高い輸送機「オスプレイ」(17機)▽無人警戒機「グローバルホーク」(3機)▽早期警戒機「E2D」(6機)▽地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」(2基)は、20~30年間の維持整備費計約1兆4千3百億円がかかる。

  既に配備されているのはF35Aの9機だけで、配備が進むごとに維持整備費は大きく膨らむ。

  日本側が維持整備の一部を請け負う場合もあるが、米国から兵器を導入すると整備や技術指導を担う米国の技術者らが日本に滞在することになり、その渡航費や人件費は日本側が「技術支援費」として支払う。
 米国から取り寄せる部品も高額なため、輸入兵器の維持整備費は、国内で調達するより割高になる。

  国産・輸入両方の高額兵器の購入費は複数年度で支払うことができ、2年目以降が後年度負担(ローン残高)と呼ばれる。
  12年度まで3兆円前後で推移していた兵器ローン残高は、安倍政権による米国製兵器の導入拡大で急増。19年度予算で約5兆3千4百億円に達する見込み。
  さらに今後FMSによる維持整備費が膨らめば、兵器ローンの増加に、歯止めがかからなくなる恐れがある。

  このように米国の言いなりに軍事費を貢いでいる仕組みを牛耳っているのは米国の「軍産複合体」という組織です。「軍産複合体」についても過去にいろいろな記事で取り上げていますが、改めて端的に説明するとすると次のような組織です(ウィキペディアから抜粋しました)。
 《アメリカでの軍産複合体は、軍需産業と国防総省、議会が形成する経済的・軍事的・政治的な連合体 》です。

 勿論、歴代の日本政府は軍産複合体に迎合して政治権力を維持してきたのです。現在の安倍政権の「辺野古工事」問題に対する民意無視の強硬姿勢はその一つの現れです。
  《米国の属国・日本》でも沢山の論考を利用させていただいた孫崎亨さんが今『世界と日本の正体』という連載記事を書いていらっしゃいますが、 その記事の一つの表題が
 『沖縄知事選で大敗の安倍政権、米国軍産複合体と強固な関係…・・』でした。

 さて、以上のような日本の「米国の属国」を強いている法的根拠についても過去記事でたびたび取り上げてきていますが、その問題に対する詳細で分かりやすい論考に出会ったので、次回でそれを紹介する予定です。